「長編(完結)」
生まれ変わっても
生まれ変わっても 18
驚き顔のテヨンと視線がぶつかり、パク・ハも、えっ、というような顔をした。
パク・ハにしてみれば、イ・ガクの部屋で休んでもらい、明日の朝には食事を作って共に食べ、会社に送り出そう、とそう思っただけで他意はなかったのだが、テヨンの表情を見て、彼がどう受け取ったかを一瞬にして理解した。
パク・ハの頬にみるみる赤みが差してくる。
「あ、えぇっと、ほら、部屋には着替えもあるし・・・。それに、だから、その・・・ああ、ここはあなたの家だし。それに・・・それに、もう遅いじゃない?」
パク・ハは狼狽えた様子で、言い訳めいたことを言う。
イ・ガクに、ここは誰の家だ?とよく言われてもいた。
テヨンの家と言うなら、確かに名義は彼なのだから間違ってもいない。
しかし、既に夜中であることは確かかも知れないが、自宅まで車を使いほんの十数分、しかも二十代半ばの男性が、これからこの家を後にしたからといって何の問題があるだろう。
テヨンを、男女の艶事を抜きにして泊める理由としては、あまりにも説得力に欠けている。
パク・ハは、ますます顔が火照ってくるのを感じた。
もちろん、テヨンに求められたからといって拒むことはあり得ないが、初めての夜を、彼女の方から誘った、などと思われたくなかった。
要するに、テヨンの方から誘って欲しい、彼の求めに応じたということにしたい、そういう女心だ。
テヨンは、うつむき加減で、ふっと笑った。
「大叔母様とね。朝食だけは一緒に摂るようにしてるんだ。」
パク・ハは、私よりもおば様?と思ったのが顔に出た。
「無断外泊なんてしようものなら、からかわれるだろうな。・・・たとえ、何もなくても、ね。」
テヨンは"たとえ" に力を込めて含みを持たせる。
僕を、泊めたりなんかしたら・・・・。
彼としては、パク・ハと深い関係になることを、当然、望んではいる。
最初は彼女に誘われたと思って、驚きもしたが、それならそれでいいとも思った。
しかし、真っ赤になって言い訳をする彼女を見れば、単に口を滑らせただけなのだと分かる。
初めて二人がキスを交わした時と同じ。勢いや流れで奪ってしまう男だと思われたくないのだ。
きちんとしたい、とそう思っている。
パク・ハが意図するようなイ・ガクの部屋に泊まるだけ、で済むとはテヨン自身は思っていない。
テヨンは更に続けた。
「僕はそんなの構いはしないけど?・・・君は、大叔母様の、あの、おしゃべり攻撃に耐えられる?」
テヨンが"あの" に力を込めたので、パク・ハは思わず吹き出した。
確かにソリなら、どこで何をしていたのか、と色々と詮索してくるに違いない。
ましてパク・ハの屋根部屋に泊まったと知れば、大喜びで二人をはやし立てそうだ。
「分かったわ。今夜は帰るのね?」
テヨンはソリのことを持ち出して、パク・ハに誘われたからそうなった、という既成事実を作ることを回避した。
玄関先で抱き合って、キスをした。
「遅いから、見送りはいいよ。きちんと戸締りして休んで。」
「ええ。ありがとう。」
テヨンは靴を履いて、パク・ハを振り返った。
「大叔母様が・・・」
また、おば様?
「今度、大叔母様が友達と旅行に行くと言ってる。・・・その時に、また、来るよ。だから、準備しておいて。」
テヨンは、じゃあ、また明日、と片手を挙げると屋根部屋を出て行った。
バタン。
パク・ハは呆然と立ち尽くす。
じ、じゅ、準備って、何の?・・・ど、どういう意味?
まさか、オムライスを準備しろってこと、なわけ・・・ないよね。
今度っていつよぉ!?
車を走らせながら、テヨンは、はあぁーっ、と溜息を吐いた。
惜しいことを、したかも知れない。
イ・ガクならどうした?・・はは・・・奴も、僕だ・・・。
「据え膳喰わぬは男の恥」とはよく言うが、据える前に下げさせたのはテヨン自身だ。
それは、テヨンの優しさか、はたまた、格好を付けたかっただけなのか・・・。
いずれにしろ、今度、ソリを確実に旅行へと追い出さなければならないことだけは、確かなようだ。
パク・ハにしてみれば、イ・ガクの部屋で休んでもらい、明日の朝には食事を作って共に食べ、会社に送り出そう、とそう思っただけで他意はなかったのだが、テヨンの表情を見て、彼がどう受け取ったかを一瞬にして理解した。
パク・ハの頬にみるみる赤みが差してくる。
「あ、えぇっと、ほら、部屋には着替えもあるし・・・。それに、だから、その・・・ああ、ここはあなたの家だし。それに・・・それに、もう遅いじゃない?」
パク・ハは狼狽えた様子で、言い訳めいたことを言う。
イ・ガクに、ここは誰の家だ?とよく言われてもいた。
テヨンの家と言うなら、確かに名義は彼なのだから間違ってもいない。
しかし、既に夜中であることは確かかも知れないが、自宅まで車を使いほんの十数分、しかも二十代半ばの男性が、これからこの家を後にしたからといって何の問題があるだろう。
テヨンを、男女の艶事を抜きにして泊める理由としては、あまりにも説得力に欠けている。
パク・ハは、ますます顔が火照ってくるのを感じた。
もちろん、テヨンに求められたからといって拒むことはあり得ないが、初めての夜を、彼女の方から誘った、などと思われたくなかった。
要するに、テヨンの方から誘って欲しい、彼の求めに応じたということにしたい、そういう女心だ。
テヨンは、うつむき加減で、ふっと笑った。
「大叔母様とね。朝食だけは一緒に摂るようにしてるんだ。」
パク・ハは、私よりもおば様?と思ったのが顔に出た。
「無断外泊なんてしようものなら、からかわれるだろうな。・・・たとえ、何もなくても、ね。」
テヨンは"たとえ" に力を込めて含みを持たせる。
僕を、泊めたりなんかしたら・・・・。
彼としては、パク・ハと深い関係になることを、当然、望んではいる。
最初は彼女に誘われたと思って、驚きもしたが、それならそれでいいとも思った。
しかし、真っ赤になって言い訳をする彼女を見れば、単に口を滑らせただけなのだと分かる。
初めて二人がキスを交わした時と同じ。勢いや流れで奪ってしまう男だと思われたくないのだ。
きちんとしたい、とそう思っている。
パク・ハが意図するようなイ・ガクの部屋に泊まるだけ、で済むとはテヨン自身は思っていない。
テヨンは更に続けた。
「僕はそんなの構いはしないけど?・・・君は、大叔母様の、あの、おしゃべり攻撃に耐えられる?」
テヨンが"あの" に力を込めたので、パク・ハは思わず吹き出した。
確かにソリなら、どこで何をしていたのか、と色々と詮索してくるに違いない。
ましてパク・ハの屋根部屋に泊まったと知れば、大喜びで二人をはやし立てそうだ。
「分かったわ。今夜は帰るのね?」
テヨンはソリのことを持ち出して、パク・ハに誘われたからそうなった、という既成事実を作ることを回避した。
玄関先で抱き合って、キスをした。
「遅いから、見送りはいいよ。きちんと戸締りして休んで。」
「ええ。ありがとう。」
テヨンは靴を履いて、パク・ハを振り返った。
「大叔母様が・・・」
また、おば様?
「今度、大叔母様が友達と旅行に行くと言ってる。・・・その時に、また、来るよ。だから、準備しておいて。」
テヨンは、じゃあ、また明日、と片手を挙げると屋根部屋を出て行った。
バタン。
パク・ハは呆然と立ち尽くす。
じ、じゅ、準備って、何の?・・・ど、どういう意味?
まさか、オムライスを準備しろってこと、なわけ・・・ないよね。
今度っていつよぉ!?
車を走らせながら、テヨンは、はあぁーっ、と溜息を吐いた。
惜しいことを、したかも知れない。
イ・ガクならどうした?・・はは・・・奴も、僕だ・・・。
「据え膳喰わぬは男の恥」とはよく言うが、据える前に下げさせたのはテヨン自身だ。
それは、テヨンの優しさか、はたまた、格好を付けたかっただけなのか・・・。
いずれにしろ、今度、ソリを確実に旅行へと追い出さなければならないことだけは、確かなようだ。
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