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「長編(完結)」
生まれ変わっても

生まれ変わっても 24

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From: テヨンさん
To: パク・ハ
Subject: 今夜は・・・

テヨンです。
大叔母様は、無事に旅立ったよ。
今日、夕方、用事があるんだ。
直接、屋根部屋に向かうから、先に帰ってて。
今夜は、君の手料理が食べたいな。


やっぱり、うちに来て泊まるつもりなのよね?
・・・この間は、本当に、ただ泊まっただけだったけど・・・
あの時は、私が、帰らないでって言ったんだし、突然だったし・・・
今夜って・・・。

テヨンからのメールを読んで、独り考え込むパク・ハ。
とりあえず、何が食べたい?と返信してみた。
すぐに、何でも。オムライスがおいしかったな。と返ってきた。

もう、何も考えず食事の準備のことだけを考えよう、そう思って買い物リストを書き始める。

オムライスの他には、サラダと、スープと・・・ビールとか準備した方がいいかしら?
となると、おつまみも必要よね。

料理と食材に思いを巡らしながら、ふと、テヨンさんは、ピンクが好きかな?レースが好きかな?などと思ってしまい、パク・ハは独り赤面して俯いた。



「ご注文の御品でございます。」

テヨンは、それを見て満足げに頷いた。

「それでは、包装してもよろしいですか?」

「はい。お願いします。・・・あの、リボンはこれを掛けてもらえませんか?」

テヨンが差し出したのは、以前パク・ハと自分の手に結わえ付けた、あの『運命の赤いリボン』だった。

「かしこまりました。・・・少し長いようですので、先を少々カットしてもよろしいでしょうか?」

「お任せします。」

店員はにこやかに頷くと、少々お待ちください、と言って奥に引っ込んだ。



「お待たせいたしました。こんな感じでよろしかったですか?」

光沢があり高級感のある包装紙で包装されたそれには、赤いリボンが花のようにあしらわれて、いかにも女性が喜びそうに見えた。

「余ったリボンはどういたしましょうか?」

「え?・・・じゃあ・・・」

テヨンが店員に希望を伝えると、またもにこやかに、かしこまりました、と言ってくれる。

「贈られる方はお幸せでございますね。」

店員はそう言って、きれいに包装されたそれを紙袋に入れて渡してくれた。



テヨンが次に訪れたのは花屋だった。

店内をきょろきょろと見渡して、どうしたものか、と考える。
カウンターに近付くと、いらっしゃいませ、と店員に声を掛けられた。

「あの、女性が喜びそうな花を、ください。」

店員は少し困ったように微笑んだ。

「お相手の方の、お好みの花をご存知ですか?」

「え?・・・花は何でも好きみたいだけど・・・」

店員は苦笑する。何でも好きなら、花というだけで喜ぶだろうに・・・。

「花束ですか?それともアレンジメントで?・・・お相手の方のイメージをお聞かせ頂けますか?」

「抱えきれないほどの花束っていうのが、女性は嬉しいって聞いたんですけど・・・。」

「そりゃあ、もちろんですよ!私なら泣いて喜びます。」

そうですか、と言ってテヨンは照れたように笑う。

彼女のイメージですよね?・・・小柄でほっそりしていて、かわいらしくて、笑顔が素敵で・・・。
しっかりしてるんだけど、守ってあげたくて・・・。

テヨンの言葉を店員はふんふんと聞いている。

料理が上手で・・・思いやりがあって、いつも元気をくれるんです。

「伺った感じですと、黄色やオレンジ、ピンクなんかの暖色系で、淡く柔らかい色がよろしいですかね?」

それにしても、相当、惚れ込んでるわね、と店員は思った。

「はい、お任せします。」

じゃあ、と店員は店内を歩き回りながら花を選び、次々に手に取っていく。


長身のテヨンでさえ、やっと前が見える、というほどの大きな花束を抱えて花屋を後にした。




ピンポーン。

パク・ハが玄関のドアを開けると、大きな花束が迫ってきた。
その花束の横から、ひょいっとテヨンが顔を覗かせて、にっこりと笑った。

「テヨンさん!どうしたの?この花。」

「プレゼントだよ。」

パク・ハは嬉しそうに受け取った。前が見えなくなるほどの花たちに顔を埋めるようにして、その香りを嗅ぐ。

「こんなにたくさんのお花、どうしよう。花瓶が足らないわ。」

テヨンさん、ありがとう。嬉しい。と言ってパク・ハの方からテヨンの頬に口づける。
どういたしまして、と彼はパク・ハの唇にキスをした。

さあ、どうぞ、と促され、花束を抱えるパク・ハに続いて、テヨンもリビングに進んだ。

「着替えてきてもいい?」

テヨンはもうすっかり勝手知った様子で、イ・ガクの部屋へと向かおうとする。
そこはもう彼の部屋で、この屋根部屋自体が彼の家に違いなかった。


パク・ハはテヨンのくれた花束を、花瓶の大きさに応じて分けて活けたが、やはり花瓶が足らない。
グラスやガラスの器、小物入れがわりにしていたブリキのお洒落なバケツも、使えそうなものは皆使って、花を活けた。
リビングやダイニングを花で飾る。
ちょっとしたパーティーの雰囲気になった。

パク・ハは花瓶の一つを持って、二階のテヨンの部屋へと向かった。
ドアをノックすると、テヨンの返事があったので、ドアを開けた。

「テヨンさん、ここにも飾っ・・・・」

着替えの最中で、上半身に何も着けていないテヨンの姿が目に飛び込んでくる。
広い肩幅、男らしい胸板。引き締まったその身体。
男の色香に、パク・ハは息を飲んだ。一瞬、テヨンの肉体に見惚れる。

あわてて手にしていた花をすぐそこにあった棚の上に置くと、パク・ハはテヨンに背を向けた。
小さく、ごめんなさい、と言って俯く。

そのまま部屋を出ようとするパク・ハを、テヨンがその肩に手を置いて止めた。
パク・ハの耳元に口を近づけ、耳たぶに唇が触れそうで触れない距離でテヨンが囁いた。

「僕の、生着替え、見ていく?」

耳にかかる息のくすぐったさと、テヨンの言葉に驚いて、パク・ハは思わず振り向いた。
今度は間近にテヨンの肉体を見てしまった。
きゃっと叫んでまた後ろを向く。

「後で、パッカのも見せて。」

パク・ハは部屋を飛び出した。
閉じたドアにもたれかかったが、そのまま、へなへなと崩れ落ちてしゃがみ込む。

「あんぽんたん!テヨンさんのばかっ!」

ドア越しにテヨンの笑い声が聞こえた。

今日のテヨンさんって・・・・いつもと違う・・・。

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~ Comment ~

(≧∇≦)

いつもと一味違う「仕事」の出来る男テヨン。
目的があると変わりますね〜。やれば出来る子ってやつですねw
パクハがピンクかレースで悩んでいますけど、テヨンはその中身が目的なので、どちらでもいいと思いますw
プレゼントを用意するテヨン、食事を準備するパクハ。相手に真心の全てを…どんどん2人の心が近づいて…素敵な夜に期待しちゃいます♪

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Re: (≧∇≦)

ほっほ様
やれば出来るテヨン、今後どう「仕事」をこなしてくれるか、期待大ですねぇ。w
パク・ハにはピンクのレース付きを提案しておこうと思っています。ww

Re: NoTitle

か****さま
テヨンの好みは、白のレースとの予想ですね?私はピンクのレースと思ってます。WW
テヨンの生着替え=ユチョンの生着替え、などと思って生唾ごっくんものです。w
生殺しに続いて、生着替えも、この言葉が書きたかっただけという・・・やっぱり私は、変な人ですね。(^_^;)

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