「長編(完結)」
生まれ変わっても
生まれ変わっても 31
パク・ハが安らかな寝息を立てている。テヨンの腕枕で、気持ち良さそうに。
彼は眠る彼女にキスをした。
「う、うーん。」
パク・ハはテヨンにすり寄ってくる。
彼女の眠りを妨げないよう注意しながら、テヨンはパク・ハを抱き直すと、彼も静かに目を閉じた。
一つになれたと思った時、互いの総てが混じり合うような感覚を覚えた。
青い色と赤い色が、ぐるぐると回転し、その速度を増し、青と赤という別々だった色が混ざって溶け込んで、紫色になった・・・・そんな感じ。
魂が溶け合って、別々の人間なのに互いの感覚が一つになった・・・・そんな感じ。
1+1=2 結局、別々の人間、そういうのではなく
1+1=1 別々の人間が正真正銘一つになった、そんな風に思えた。
ふわぁ・・・。テヨンはあくびをするとパク・ハと共に眠りに落ちていった。
唇に、柔らかく暖かな感触を感じた。
テヨンが目を開けるとパク・ハの微笑みに出会った。
「起きて、テヨンさん。」
パク・ハに口づけで起こされる日が来ようとは・・・。テヨンは嬉しさを隠さず、にっこりと笑う。
「おはよう。パッカ。」
「おはよう。テヨンさん。」
ベッドに片肘を付いていたパク・ハが立ち上がろうとするのを、テヨンがその手を引いて止めた。
「お腹、空いた。」
「朝ご飯できてるわ。だから、起きて。」
「オンマ。おっぱい、ちょうだい。」
テヨンはあっという間にパク・ハを組み敷き、パク・ハのシャツの裾をたくし上げようとする。
パク・ハは、テヨンに跨られて動けない。
彼女はにっこりと笑うと、自由になる足をぐっと引き寄せた。
そのまま膝頭がテヨンの尾骶骨にヒットする。
うっ・・・・。
彼は声も上げられず、肩からベッドに倒れ込んだ。
「そうそう同じ手が通用するもんですか。起きて、朝ご飯食べて。今日も仕事でしょ?」
「・・・うぅ、痛いじゃないか。・・・歩けないから、今日は休む。」
「何、言ってるの。働かない旦那はごめんよ。」
パク・ハは片目を瞑ると、笑いながら部屋を出て行った。
テヨンは立ち上がり、痛そうに尾骶骨を押さえたが、頬はすっかり緩みきっている。
はは・・・旦那だって。
テヨンが着替えてダイニングに行くと、おいしそうな匂いが立ち込めていた。
「テヨンさん。今日はスーツなのね。」
「うん?ああ。重要な仕事があってね。」
「やっぱり、休んでられないじゃない?」
「まあ、そうかな?・・・ところでパッカ、今夜、僕と家に来て大叔母様に会ってくれないか?」
彼の言う重要な仕事とは、家族に結婚の承諾を得るということだった。
「できれば、明日は店を休んで欲しい。おばあ様の所に一緒に行って欲しいんだ。」
食事をしながら今後のことを話し合う。
パク・ハの実母の許にも挨拶に行かねばなるまい。
義母も一緒に香港に行ってもらおう、セナにも会えるしきっと喜ぶ、そんな話にもなった。
婚約式もする必要があるだろう、会社関連の人物でパク・ハの知らない者も招待せざるを得ない。
僕と結婚すると気苦労も増えるよ、それでもいい?とテヨンが笑った。
テヨンとの結婚、それが急に現実味を帯び始める。
パク・ハは翡翠のリングのはまった左手で、胸元のネックレスに触れた。
やっぱり、止めようかしら?
嘘だろ?
嘘よ。世子嬪よりは、ヨン家の嫁の方が気楽なんじゃないかしら?
二人の笑い声が響く。
テヨンは郊外に向けて車を走らせていた。
パク・ハが今日は店を早終いすると言った。
着替えてテヨンの家に行くと言うから、屋根部屋に迎えに行ってやらねばならない。
夕方までに帰る必要がある。
ソリに結婚の承諾を得て・・・と言っても、反対などされるはずがないから形ばかりの挨拶みたいなものだ。
明日には祖母の墓を訪ねて報告をする。
近いうちにパク・ハの義母にも承諾を得に行って、その次は香港にも行く。
テヨンの立場上、婚約式も省略できないだろうし、結婚式も二人だけで、というわけにもいくまい。
自分はこんなにしがらみがあったのかと改めて思い知らされる。それが嫌でNYに逃げ出した。
しかし、パク・ハの言う通り王世子に比べればどれほどのことがあるだろう。
自分は自由で、パク・ハと生涯、共に居られる。
パク・ハと結婚する。
それに伴って現実的に忙しくなる前に、どうしても訪ねたい所がテヨンにはあった。
テヨンは、歴史上の王、イ・ガクの陵墓の前に立った。
イ・ガク。僕はパッカと結婚するよ。
今日は彼女を連れて来なかった。・・・また二人で来るから・・・今日は男同士の話をしよう。
イ・ガク。ありがとう。
おばあ様を大事にしてくれて。
僕がするべきだったことをしてくれて。
やっと、礼が言えるようになったんだ。
ずっと、君の存在が大きすぎた。君に嫉妬してたよ。
彼女と出会えて、幸せだったかい?
幸せだったはずだろ?
君は僕で、僕は君だ。
僕は彼女と出会えて幸せだ。だから、君も幸せだったはずだ。
彼女のいない世界をどう生きたんだ?
恋文をたった一通したためて、君はどうやって生きたんだ?
この墓で、共に眠る女性と幸せだったのか?
僕として生まれ変わって、パッカに出会って、結婚するということは、その女性には心をあげられなかった。
そうだろう?違うか?
その女性は幸せだったかな?
責める気はないよ。
君の立場を思えば仕方がないことだ。
僕だって、パッカがチャン会長の娘でなかったら・・・
それでも、僕は彼女を妻に求めたに違いないけれど。
王世子には難しかっただろう?
彼女以外の妻を拒むことも、パッカを求めることも。
イ・ガク。永遠にパッカと共にと誓ったそうだね。
やっぱり君は僕だ。
僕も永遠の愛を誓ったよ。
今、この時代、君の誓いは僕が果たす。
僕ができずにいたことを君がしてくれたように、君ができなかったことは僕が果たすさ。
また、彼女と二人で来るから・・・安心して眠っていてくれ。
テヨンはパク・ハと結ばれて、ずっと感じていた喪失感と飢餓感がなくなった。
そうであるならば、イ・ガクもまた安らいだに違いない、テヨンはそう思っている。
______________
彼は眠る彼女にキスをした。
「う、うーん。」
パク・ハはテヨンにすり寄ってくる。
彼女の眠りを妨げないよう注意しながら、テヨンはパク・ハを抱き直すと、彼も静かに目を閉じた。
一つになれたと思った時、互いの総てが混じり合うような感覚を覚えた。
青い色と赤い色が、ぐるぐると回転し、その速度を増し、青と赤という別々だった色が混ざって溶け込んで、紫色になった・・・・そんな感じ。
魂が溶け合って、別々の人間なのに互いの感覚が一つになった・・・・そんな感じ。
1+1=2 結局、別々の人間、そういうのではなく
1+1=1 別々の人間が正真正銘一つになった、そんな風に思えた。
ふわぁ・・・。テヨンはあくびをするとパク・ハと共に眠りに落ちていった。
唇に、柔らかく暖かな感触を感じた。
テヨンが目を開けるとパク・ハの微笑みに出会った。
「起きて、テヨンさん。」
パク・ハに口づけで起こされる日が来ようとは・・・。テヨンは嬉しさを隠さず、にっこりと笑う。
「おはよう。パッカ。」
「おはよう。テヨンさん。」
ベッドに片肘を付いていたパク・ハが立ち上がろうとするのを、テヨンがその手を引いて止めた。
「お腹、空いた。」
「朝ご飯できてるわ。だから、起きて。」
「オンマ。おっぱい、ちょうだい。」
テヨンはあっという間にパク・ハを組み敷き、パク・ハのシャツの裾をたくし上げようとする。
パク・ハは、テヨンに跨られて動けない。
彼女はにっこりと笑うと、自由になる足をぐっと引き寄せた。
そのまま膝頭がテヨンの尾骶骨にヒットする。
うっ・・・・。
彼は声も上げられず、肩からベッドに倒れ込んだ。
「そうそう同じ手が通用するもんですか。起きて、朝ご飯食べて。今日も仕事でしょ?」
「・・・うぅ、痛いじゃないか。・・・歩けないから、今日は休む。」
「何、言ってるの。働かない旦那はごめんよ。」
パク・ハは片目を瞑ると、笑いながら部屋を出て行った。
テヨンは立ち上がり、痛そうに尾骶骨を押さえたが、頬はすっかり緩みきっている。
はは・・・旦那だって。
テヨンが着替えてダイニングに行くと、おいしそうな匂いが立ち込めていた。
「テヨンさん。今日はスーツなのね。」
「うん?ああ。重要な仕事があってね。」
「やっぱり、休んでられないじゃない?」
「まあ、そうかな?・・・ところでパッカ、今夜、僕と家に来て大叔母様に会ってくれないか?」
彼の言う重要な仕事とは、家族に結婚の承諾を得るということだった。
「できれば、明日は店を休んで欲しい。おばあ様の所に一緒に行って欲しいんだ。」
食事をしながら今後のことを話し合う。
パク・ハの実母の許にも挨拶に行かねばなるまい。
義母も一緒に香港に行ってもらおう、セナにも会えるしきっと喜ぶ、そんな話にもなった。
婚約式もする必要があるだろう、会社関連の人物でパク・ハの知らない者も招待せざるを得ない。
僕と結婚すると気苦労も増えるよ、それでもいい?とテヨンが笑った。
テヨンとの結婚、それが急に現実味を帯び始める。
パク・ハは翡翠のリングのはまった左手で、胸元のネックレスに触れた。
やっぱり、止めようかしら?
嘘だろ?
嘘よ。世子嬪よりは、ヨン家の嫁の方が気楽なんじゃないかしら?
二人の笑い声が響く。
テヨンは郊外に向けて車を走らせていた。
パク・ハが今日は店を早終いすると言った。
着替えてテヨンの家に行くと言うから、屋根部屋に迎えに行ってやらねばならない。
夕方までに帰る必要がある。
ソリに結婚の承諾を得て・・・と言っても、反対などされるはずがないから形ばかりの挨拶みたいなものだ。
明日には祖母の墓を訪ねて報告をする。
近いうちにパク・ハの義母にも承諾を得に行って、その次は香港にも行く。
テヨンの立場上、婚約式も省略できないだろうし、結婚式も二人だけで、というわけにもいくまい。
自分はこんなにしがらみがあったのかと改めて思い知らされる。それが嫌でNYに逃げ出した。
しかし、パク・ハの言う通り王世子に比べればどれほどのことがあるだろう。
自分は自由で、パク・ハと生涯、共に居られる。
パク・ハと結婚する。
それに伴って現実的に忙しくなる前に、どうしても訪ねたい所がテヨンにはあった。
テヨンは、歴史上の王、イ・ガクの陵墓の前に立った。
イ・ガク。僕はパッカと結婚するよ。
今日は彼女を連れて来なかった。・・・また二人で来るから・・・今日は男同士の話をしよう。
イ・ガク。ありがとう。
おばあ様を大事にしてくれて。
僕がするべきだったことをしてくれて。
やっと、礼が言えるようになったんだ。
ずっと、君の存在が大きすぎた。君に嫉妬してたよ。
彼女と出会えて、幸せだったかい?
幸せだったはずだろ?
君は僕で、僕は君だ。
僕は彼女と出会えて幸せだ。だから、君も幸せだったはずだ。
彼女のいない世界をどう生きたんだ?
恋文をたった一通したためて、君はどうやって生きたんだ?
この墓で、共に眠る女性と幸せだったのか?
僕として生まれ変わって、パッカに出会って、結婚するということは、その女性には心をあげられなかった。
そうだろう?違うか?
その女性は幸せだったかな?
責める気はないよ。
君の立場を思えば仕方がないことだ。
僕だって、パッカがチャン会長の娘でなかったら・・・
それでも、僕は彼女を妻に求めたに違いないけれど。
王世子には難しかっただろう?
彼女以外の妻を拒むことも、パッカを求めることも。
イ・ガク。永遠にパッカと共にと誓ったそうだね。
やっぱり君は僕だ。
僕も永遠の愛を誓ったよ。
今、この時代、君の誓いは僕が果たす。
僕ができずにいたことを君がしてくれたように、君ができなかったことは僕が果たすさ。
また、彼女と二人で来るから・・・安心して眠っていてくれ。
テヨンはパク・ハと結ばれて、ずっと感じていた喪失感と飢餓感がなくなった。
そうであるならば、イ・ガクもまた安らいだに違いない、テヨンはそう思っている。
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← 【 お礼画像と、時々SS 掲載してます 】
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~ Comment ~
Re: タイトルなし
か****さま
コメ欄はたまに不具合が出ますねぇ。申し訳ありません。
それでも、コメントをくださいまして、ありがとうございます。
「狼と7匹の子ヤギ」ですね。この際、「狼とパッカ羊」でいいんじゃないでしょうか?w
パッカの膝蹴り・・・急所にヒットするところだったので、さすがに、書き換えました。ww
コメ欄はたまに不具合が出ますねぇ。申し訳ありません。
それでも、コメントをくださいまして、ありがとうございます。
「狼と7匹の子ヤギ」ですね。この際、「狼とパッカ羊」でいいんじゃないでしょうか?w
パッカの膝蹴り・・・急所にヒットするところだったので、さすがに、書き換えました。ww
- #220 ありちゃん
- URL
- 2015.01/06 19:32
- ▲EntryTop
NoTitle
欠けた月を埋めるように人は出会い・・・
5人の頃の曲にそんなフレーズがありました(好きだったな…なのに、思い出すのに今日1日かかったという!ああ、老化現象)
甘々テヨン×姉さん女房パク・ハみたいな明るさがいいですね!
私の頬も弛みっぱなしです。
5人の頃の曲にそんなフレーズがありました(好きだったな…なのに、思い出すのに今日1日かかったという!ああ、老化現象)
甘々テヨン×姉さん女房パク・ハみたいな明るさがいいですね!
私の頬も弛みっぱなしです。
- #223 阿波の局
- URL
- 2015.01/06 22:42
- ▲EntryTop
Re: NoTitle
阿波の局さま
私は5人の頃はよく知らなくて・・・・
でも、ちらほら曲を聴いたりすると、いい歌多いし、やはり、うまいですよね。♡
テヨンが甘ったれてきましたね。キャラ、定まらず・・・(苦笑)
私は5人の頃はよく知らなくて・・・・
でも、ちらほら曲を聴いたりすると、いい歌多いし、やはり、うまいですよね。♡
テヨンが甘ったれてきましたね。キャラ、定まらず・・・(苦笑)
- #224 ありちゃん
- URL
- 2015.01/07 00:37
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