FX

「長編」
生まれ変わっても

生まれ変わっても 33

 ←拍手コメント(1/8~11)へのお礼です。 →나비(ナビ)‐蝶
次話はこちら→生まれ変わっても 34
___________________________________________________

ヨン家の邸。
パク・ハは緊張の面持ちでテヨンに続いた。


「ただいま。」

「お帰りなさい。早かったのね。」

「・・・お邪魔します。」

「あら、パッカ。いらっしゃい。」

ソリはにこやかにパク・ハを迎えてくれた。
そして、ハッとしたようにテヨンに近付き、彼に耳打ちをする。

「テヨン。あなた・・・昨夜は・・・。」

「ああ、パッカに大事な話があったから・・・夜は、自分の部屋で寝たよ。」

パク・ハと一緒に、とは敢えて言わない。

「あ、そう。そうよね。・・・それなら、いいのよ。そう、良かったわ。」

ソリはソファに座りかけて、また立ち上がった。

「そう、そう。パッカにお土産があるのよ。忘れるところだったわ。」

お手伝いさんにコーヒーを持って来るよう言って、二人に座るように促すと、自分は自室に向かった。


テヨンとパク・ハは並んで腰掛けた。テヨンがパク・ハの手を握る。

「緊張してるの?」

「え?ええ、そうかも。」

「大丈夫だよ。大叔母様は君のこと、大歓迎じゃないか。」

ほどなくしてお手伝いさんがコーヒーを運んできた。ソリも包みを持って現れる。
パク・ハはテヨンの手から自分の手を離そうとしたが、テヨンの方が離そうとしなかった。

「パッカ。これ。気に入ってくれるといいんだけど。」

「あ、ありがとうございます。」

ソリの視線が二人の繋がれた手に落とされた。

「もう、仲が好いわね。」

羨ましい・・・、とぼそりと呟き、そのまま、二人の向かいに腰かける。

「大叔母様、大事な話があるんだ。」

「何よ?結婚でもしようって言うの?」

「そうだよ。」

「あら、そう。・・・って、本当なの?テヨン!」

「なんで、驚くの?」

「だって、いくら言ってもそんな素振りも見せないで!ああ、でも、良かった!」

パッカ。婚約式のドレス、一緒に選びに行きましょうね。
そうだわ、私もドレス、新調しなくちゃ!
結婚式はうんと豪華に、ね。
忙しくなるわね。新婚旅行はどこに行く?ああ、楽しみだわ。

ソリは二人には目もくれず、うっとりとしながら、口だけ動かし続けた。

他人が聞いたら、一体誰が花嫁なのか分からなかったかもしれない。


テヨンが、明日は二人で祖父母や両親に報告に行く、と告げると、ソリは、だったら今夜はパク・ハもこの家に泊まるといい、と言った。
そのつもりではなかったから、パク・ハは準備をしてきていない。
彼女が、どうしようかと考えていると、自分が屋根部屋に泊まる、とテヨンが言いだした。

「彼女は、泊まりの準備はしてきてないんだ。向こうには僕の部屋もあるから・・・。」

「そう?ゆっくり話がしたかったのに・・・まあ、いいわ。食事くらいはしていくでしょ?」

「はい。ありがとうございます。」

ソリは嬉しそうに頷くと、二人分の夕食を追加してもらうためキッチンに向かった。
ソリの姿が消えると、テヨンがパク・ハの耳元で囁く。

「家に泊まったら、部屋が別々になっちゃうからさ。」

「あら、向こうでも別々よ。」

「なんで?!」

テヨンの方が唇を尖らせている。パク・ハは思わず吹き出した。

「テヨンさんの部屋もあるけど、私の部屋もあるもの。」

「君の部屋は、もう使用禁止だ!」

「何、それ?そんなの、横暴よ!」

唇を尖らせるのはパク・ハの番だった。
それから、二人で顔を見合わせて笑い声を上げた。

「あら、楽しそうね。何の話?」

そこへ、ソリがやって来る。パク・ハはテヨンを横目で見て、ソリに向き直った。

「おば様、聞いてください。テヨンさんたら、屋根部屋の私の部屋を・・・。」

テヨンはあわてて、パク・ハの口を手で覆う。

「やだ・・・テヨ・・・離し・・」

「何、やってんのよ。いちゃつくなら他でやってちょうだい!」

三人の笑い声が響いた。




小高い丘の上に、納骨堂は建っていた。
敷地内の芝生はきれいに整備され、ちょっとした公園といった雰囲気だ。
テヨンはパク・ハを伴い、白い建物を通り過ぎ、更に奥へと進んでいく。

「ここは、うちの子会社が管理運営してる納骨堂だよ。ヨン家の納骨堂はこの奥なんだ。」

一際大きく、荘厳な建物が見えてきた。

ここよりずっと郊外の山の中に、ヨン家の先祖達は眠っている。
テヨンの両親が亡くなる少し前、納骨堂のビジネスも展開し始めた。
両親が亡くなったのを機にヨン家の納骨堂が建てられ、まずテヨンの曾祖父母と祖父がここに移された。そして、両親もここで眠りに付き、祖母も眠っている。
そのうち、もっと上代のご先祖様の墓参りをする日も来ることだろう。


中は一般的な納骨堂と同じように、扉付きのロッカーの集合体のようになっていた。
一区画に夫婦単位で遺骨が納められている。
この建物はヨン家専用の納骨堂だから、それぞれは大きめの造作になっており、名前も刻まれ、遺影も飾られていた。

パク・ハは自分の父が眠る納骨堂とは、全然違う、と思った。
彼女の父親はもっと一般的な、番号だけで管理されるような、小さな箱の中で眠っている。

「いつか、僕達も眠ることになる場所だよ。・・・君のお父さんの所にも挨拶に行かないといけないね。」

ヨン家の嫁は、世子嬪よりは気楽かもしれないが、それでもなかなか大変そうだ。


献花台に花を供え、最も丁寧な礼を捧げる。

テヨンの祖母はパク・ハのことを誤解したまま逝ってしまった。その死に彼女の姉が深く関わってもいる。
パク・ハの胸中は複雑だ。

「父さん、母さん。おじい様。そして、おばあ様。僕の愛する女性(ひと)です。天から見ていたでしょう?彼女以外に僕の妻は考えられない。だから、見守っていて。」

テヨンはそう言って、また頭(こうべ)を垂れた。
パク・ハもまた、隣で深く頭を下げる。

全身全霊でテヨンさんを支えよう。

パク・ハは静かに決意をしていた。



屋根部屋に戻って一息ついた。
それぞれ、着替えて楽な服装になる。
テヨンが、デートに行こう、とパク・ハを誘った。



テヨンがパク・ハを連れ出したのは昌徳宮(チャンドックン)だった。
芙蓉池(プヨンジ)に架かる橋を、手を繋いで歩く。

パク・ハはずっと、テヨンと一緒にここを訪れたいと思っていた。しかし、言い出せずにいた。

「テヨンさん。どうして、ここへ?」

「イ・ガクに会いたいかなと思ってさ。」

彼の陵墓には別の女性が共に眠っている。パク・ハには、ここの方がいいのではないか、とテヨンは思った。

「君は僕のものになるから、諦めろって言ってやるんだ。」

テヨンはいたずらっぽく笑った。

そうね・・・。チョハを忘れることはできない。だけど、テヨンさんと共に歩むと決めたことは伝えておかなきゃ。



芙蓉池の、水面(みなも)すれすれに、一匹の蝶が舞っていた。



兄弟らしき子供が二人、じゃれ合いながら橋の上を走ってきた。
きゃあきゃあと騒ぎながら追いかけっこをしている。
弟が兄を追い回す。兄は捕まるまいと、右に左に逃げ惑う。

そのとき、兄がパク・ハに勢いよくぶつかった。
バランスを崩したパク・ハを、テヨンが引き寄せようとする。
どうにか持ちこたえたテヨンに、今度は追ってきた弟がぶつかった。


きゃあ!
うわぁ!

ばっしゃーん


テヨンは身を翻しパク・ハを橋の方に押しやったつもりだったが、二人とも池に落ちてしまった。

ぶくぶくとあぶくが立ってよく見えない。
池のはずなのに、なぜか勢いよく水が押し寄せてくる。

「人が落ちたぞ!」

人々が騒ぎだし、二人にぶつかった兄弟も座り込んでわんわんと泣いていた。


テヨンもパク・ハも手を伸ばすがお互いに届かない。

ぶくぶく ぶくぶく

泡立つ水の中で、テヨンの手が微かに見えた。
パク・ハは必死にその手を掴もうとする。

テヨンの手が透けていく。

水の中、パク・ハの目の前で、テヨンは掻き消えていった。


テヨンさん!イヤっ!・・・チョハぁ。イヤよ!

テヨンさん!

テヨンさん!どこっ?


必死にテヨンの姿を探した。どこにもいない。そのうち、息が続かなくなってくる。
彼女は水面に顔を出した。思い切り息を吸い、また潜ろうとする。

そこに数人の男性が手を伸ばしてきて、彼女を水から引き揚げた。

「テヨンさん!テヨンさん!・・・お願い、彼を探して!」

「お嬢さん、落ち着いて。ここは池だ。すぐに見つかる。」



芙蓉池の水面は何事もなかったかのように静まり返っていた。

池を覗き込むパク・ハの身体から滴り落ちる水滴が、小さな波紋を作っているばかりだった。



テヨンは、水の中から上がってこない。


芙蓉池の上を、一匹の蝶がひらひらと舞っていた。


_____________

次話はこちら→生まれ変わっても 34
 【 お礼画像と、時々SS 掲載してます 

↓↓↓ランキングに参加中!ぽちっ と応援 ヨロシク!


↓↓↓ 更新通知を受け取れます。
  
生まれ変わってもの関連記事
総もくじ 3kaku_s_L.png はじめまして
総もくじ 3kaku_s_L.png 長編
総もくじ 3kaku_s_L.png 長編(連載中)
総もくじ 3kaku_s_L.png 短編集
総もくじ 3kaku_s_L.png 短話シリーズ
総もくじ 3kaku_s_L.png ユチョン応援☆妄想祭り
総もくじ 3kaku_s_L.png コラボレーション
総もくじ 3kaku_s_L.png 雑記
総もくじ  3kaku_s_L.png はじめまして
総もくじ  3kaku_s_L.png 長編
総もくじ  3kaku_s_L.png 長編(連載中)
もくじ  3kaku_s_L.png 短期連載中
総もくじ  3kaku_s_L.png 短編集
総もくじ  3kaku_s_L.png 短話シリーズ
総もくじ  3kaku_s_L.png ユチョン応援☆妄想祭り
総もくじ  3kaku_s_L.png コラボレーション
総もくじ  3kaku_s_L.png 雑記
もくじ  3kaku_s_L.png お礼
もくじ  3kaku_s_L.png お知らせ
もくじ  3kaku_s_L.png 限定記事
もくじ  3kaku_s_L.png その他
もくじ  3kaku_s_L.png 未分類


 




  • 【拍手コメント(1/8~11)へのお礼です。】へ
  • 【나비(ナビ)‐蝶】へ

~ Comment ~

NoTitle

えっ?えっ?
テヨン、過去へ飛んだ??
蝶が舞っているということは、プヨンが誘った?
それとも、ガクでしょうか?

次が待ち遠しい!

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: NoTitle

阿波の局さま

テヨン、どこ行ったんでしょうね。・・・って、ばっくれたって、仕方ないですが・・・(汗)

> 次が待ち遠しい!

ありがとうございます。m(__)m
首が長くなるかも知れませんので、お気をつけて。ww

Re: タイトルなし

か****さま
こんばんは。
ソリのお土産・・・行先も書いてないし、思わず省略。(苦笑)
くまの置物とかにしようと思いましたが・・・(北海道かよっ!)温泉まんじゅうかも知れません。w

ええ、ええ。テヨンはやはり御曹司。w

予想外でしたか?先の読める展開しか書けない私には最上級の褒め言葉ですね。ありがとうございます。

大きいお子様はしょうがないかなぁ。・・・でも、下の息子さん、ますますかわいい!♡

「しばらく経って」いいですよね。私も好きです。
ジョンウももちろん好き。♡(実は若ジョンウも好きです。W)

Re: タイムスリップした?

t*******さま
お忙しい中、ありがとうございます。お時間あるときにちょろっと覗いて頂けると。
(まとめ読みもオツなもんです。w)

> 意外な展開に、チョットわくわくです。
続きが断片的にしか頭の中になくて、私はドキドキしてます。(ああ、どうしよう。苦笑)

Re: いや~!!

か***さま
パッカがちょっとかわいそうですよね。書きながら、彼女を思うといたたまれませんでした。(涙)
波乱は、総て私が起こす・・・。もちろん、解決しますけども。(苦笑)

分かります。動画を漁るのは、私もやります。W
管理者のみ表示。 | 非公開コメン卜投稿可能です。
  • 【拍手コメント(1/8~11)へのお礼です。】へ
  • 【나비(ナビ)‐蝶】へ