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「長編(連載中)」
生まれ変わっても -朝鮮編-

生まれ変わっても 41

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会議室、と言っても何もない小さな部屋だった。テヨンと臣下三人は車座になって腰を下ろした。

「まず、イ・ガクが倒れたのは陰謀なんかじゃないよ。」

三人は息を飲んでテヨンの言葉に耳を傾けた。

「君たちが陰謀なんて言うから、アナフィラキシーを疑ったんだけどさ・・・」

「あなひら・・・?」

「アレルギー体質の人が、そのアレルゲンを摂取してしまってショック症状を起こすことだよ。」

三人は難しい顔をしている。

「つまり、イ・ガクの場合、何かの間違いで蟹を口にしちゃったら、命にも関わるような重篤な症状を引き起こすってことだよ。蟹は彼にしてみたら毒と同じだ。」

「チョハ。恐れながら・・・」

チサンがおずおずと口を開いた。

「いいよ。言いたいことがあるならすぐに言って。」

「チョハがお倒れになる前の膳に、蟹が乗っていたらしいとの情報が・・・」

「何だって!?それで?彼は食べたのか?」

自分が蟹アレルギーだと分かっていて口にするなどあり得ない。

「いえ、夕餉を摂られる前にお倒れになられた、と聞き及んでおります。」

意識不明になったおかげで蟹を口にせずに済んだということか・・・。良かったのか、悪かったのか・・・。

「食事係は、蟹を出しちゃいけないことぐらい知っているだろ?」

「はい。チョハ。・・・それ故おかしいと思い調べたのですが、チョハがこちらにお見えになる直前に雇い入れられた者が、今は姿を消しております。」

「陰謀にしては、随分とお粗末だね。」

「はい。蟹そのものをご覧になって、チョハが口にするはずはございません。もしや、ただの脅しであるやも知れませぬ。」

マンボがそう言った。

「だったら、僕は急いで都に帰る必要があるということだね。」

「はい。左様のようです。チョハ。」

マンボはそう答えたが、チサン、ヨンスルの二人はどういうことか分からぬという顔だった。

蟹が原因ではないにしろ、王世子が倒れたという事実が、その首謀者に知られている可能性が高い。
テヨンが王世子として王宮に戻れば、その命を危うくせんと企らむ者に対して牽制となるだろう。

テヨンが説明してやると、チサンとヨンスルも納得した。

「とにかく、アナフィラキシーでなくて良かったよ。もし、そうだったら僕の手には負えなかった。アドレナリンの筋肉注射が有効だけど、ここにはあるわけがないからね。」

「チョハは、チョハがお倒れになられた原因が分かられますので?」

ヨンスルがテヨンに尋ねた。

「君たちのチョハは、麻疹(はしか)に感染してる。」

三人に動揺が走る。ワクチンのないこの時代、命も落としかねない恐ろしい伝染病だ。

「心配しなくていい。彼は大丈夫だ。」

テヨンは、敢えて何でもないようにさらりとそう言った。

テヨンは、アナフィラキシーよりは良かった、とは思っているが、彼とて麻疹の治療ができるわけではないのだ。
感染し発症してしまった以上、ワクチンを接種する以外には現代でも治療法があるわけではない。

ただ、イ・ガクは王位に着く、王世子の立場のまま命を落とすことはない、その史実だけを拠りどころにそう言ったに過ぎない。

「チョハは大丈夫であられたとしても、チョハに感染するようなことにでもなったら・・・」

「あのさ、僕のことも、イ・ガクのことも、同じ"チョハ"で呼ぶの止めてくれないかな?ややこしい。」

「「「申し訳ありませぬ。チョハ。」」」

「いちいちひれ伏さなくてもいいよ。」

三人が平伏するのを、テヨンは溜息交じりに見やった。

「僕は、麻疹に罹ったことがあるから大丈夫だよ。むしろ、君たち・・・しっかり、手洗い、うがいをしろよ。食事も睡眠も十分に摂らなきゃ。」

ぐううぅぅぅ。きゅるきゅるきゅるぅ。

誰かの腹の虫が鳴いた。
チサンとマンボが、ヨンスルを肘でつついている。

「そう言えばお腹空いたね。腹が減っては良い考えも浮かばぬ、だろ?」

テヨンはそう言って片目を瞑った。



時間が惜しいからと、食事をしながらいろいろと話し合う。

「麻疹のウィルスをばらまくとか、イ・ガクを感染させるように仕向けるとか、そんなバイオテロはこの時代では考えにくいよね。早急に感染源を調べて、できるだけ拡大するのを防がなきゃ。もうすでに流行り始めてると考えた方がいい。宮廷内に麻疹の患者らしい人はいなかった?」

「いえ、宮廷内で病人が出たという話はございませんでした。」

「じゃあ、ここでは?」

「こちらの離宮にもチョハ以外は、誰も・・・。」

「ここいら一体の住民や、湯治に来ている人々の状況も把握しなきゃいけない。発熱している人がいたら隔離した方がいいな。・・・イ・ガクがここに来たのはいつ?」

「十日ほど前です。チョハ。」

「麻疹の潜伏期間は一週間から二週間。・・・やはり、都で伝染されたか?世子なんて、だれかれ構わず会ったりできないだろ?本当に宮廷内で病人はいなかったの?」

チサンは、テヨンはもちろん、マンボやヨンスルにも視線を送られて困った顔をした。

「あっ!」

マンボが声を上げた。

「チョハ!恵民署(へミンソ)です!チョハが・・・あの方がこちらに来られる数日前に、恵民署を視察なされました!」
「おお、そうだ!ソン司書、よく思い出した。」
「あの時、チョ・・・あの方は、熱にうなされる子供を診ておいででした!」

「恵民署に寄ってから、王宮に帰るぞ!それから、イ・ガクの看病をしてくれる人間が必要だ。過去に麻疹に罹って無事だった人を早急に探してくれ!」

「「「承知致しました。チョハァ。」」」

「だから、いちいちひれ伏さなくてもいいってば!」

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看護求人応募します

あ~チョハ、私が人工呼吸したい…
アレルギーじゃなくて、麻疹じゃいらないか…
麻疹なら、私もかかってるから、看病したい(しつこい…)
本編の現代では、最後の方は結構イ・ガクに対して敬意の薄れた場面のある部下3人でしたが、さすがに過去に戻ると、ひれ伏し敬意が増しますね。
「だから、ひれ付さなくていいってば」
チョハは偉そうな物言いが可愛いんだけど、テヨンは、世子扱いに戸惑って、普通に接してよ~って感じがこれまた可愛い(*^^*)

ヨンスル達がテヨンの付いて都に戻ると、
チョハが心配だし、テヨンの側に3人が居ないとこれまた心配だし…
私、ありちゃんさまの思惑どおりに嵌まってるんでしょうね(^_^;)

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Re: タイトルなし な*様へ

な*様

目に浮かぶ、とは嬉しいです。(^.^)
麻疹でした。今なら、そう心配することもないですけどね。

パッカ、気になりますよね。
テヨンに頑張ってもらって、早く還ってもらいたいものです。

Re: 看護求人応募します ふにゃん様へ

ふにゃん様

> あ~チョハ、私が人工呼吸したい…
はい。私もしたいです。(^.^)
> 麻疹なら、私もかかってるから、看病したい(しつこい…)
私もしたいです。(^.^)
テヨンから口移し水分補給でもいいですね。(^.^)

> チョハは偉そうな物言いが可愛いんだけど、テヨンは、世子扱いに戸惑って、普通に接してよ~って感じがこれまた可愛い(*^^*)
良かったです。♪

> 私、ありちゃんさまの思惑どおりに嵌まってるんでしょうね(^_^;)
ニヤリ。

Re: タイトルなし か****様へ

か****様

はい、麻疹でした。現代なら、そう怖くはない病気ですけどね。でも、しんどさは一緒ですかね。

か****さんも、ご家族も大変でしたね。
特にお母さんは大変!母は偉大です!
そんな中私のブログをお訪ねいただき、感謝、感謝であります。
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