FX

「長編」
目覚めたテヨン

目覚めたテヨン 8

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まわりの皆が僕の知らない話をする。それが、苦痛でたまらなかった。

そもそも事の始まりからして、へんてこだったんだ。

目覚める前の記憶も曖昧で、分かることと分からないことが交錯していたが、NYにいたはずなのに、いきなり病院のベッドの上にいて、しかも米国じゃなかった。

僕が目覚めた時、大叔母は僕の首根っこに抱きついてきて、おいおいと泣きながら良かったと何度も繰り返した。そこには、懐かしいおばあ様はおらず、テム従兄さんもいなかった。叔父の姿もなかった。
何度か会ったことがあるだけの、おばあ様の会社の役員が、今は社長だと言って一緒に来ていた。

いろんな話を聞かされた。

信じ難かたいことばかりだったけれど、どれも真実だった。

会社に入ったとき、僕には何もかもが初めてで見知った者もいなかったのに、前からそこにいたかのように皆が接してきた。
それは、初心者のような僕を気遣って皆がそうしてくれている、というのとはまるで違う。
僕を、彼らのよく知る人物だと思っていて、当たり前に接している、というだけのことなのだ。
唯一の家族となった大叔母でさえも、しばしば、彼と僕とを混同した。

僕は僕だ!

と叫ぶ代わりに仕事に没頭し、成果を上げようとし、現実に実績も残したが、彼の評価が高まるだけのように感じていた。

ピョ社長といると楽だった。社長だけが、僕を、彼と別人として扱ってくれる。

・・・その社長にも、彼と同一人物のようだと言われた。

ショックだったが、実は安心もした。
いつしか、彼も僕だったのかも知れない、と思うようになってきていて、パク・ハさんに見覚えがあるのも、僕が彼だったからに違いないと思い始めていたから。

NYでの、海での事件の記憶を失くしているように、僕自身が「僕の振りをする彼」として皆の前に現れたのに、それも忘れてしまったんだ、と思い込もうとしていた。

そうでありながら、僕は僕なのに・・・とも思っている。

人といる時、僕は「僕の振りをする彼の振りをしているんだ」と思うことで、精神の均衡を保っていたのかもしれない。

自分の中の矛盾を解決するには、記憶を取り戻すしかない。


そして、僕は思い出した。

眠っていた僕と、彼は、別々の人間として確かに存在していたんだ。
僕と彼は別人だ。

僕は、いつ、どこでパク・ハさんに会ったんだろう?

彼女のことを、思い出さなければならないと、心の底から思った。

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