「短話シリーズ」
企業戦士
企業戦士 - 2
カラン。
入口のドアが開いた。
「いらっしゃいませ。あ、キムチーム長!」
「こんにちは、パク・ハさん。いつもの、お願いします。」
キムチーム長は爽やかな笑顔をその顔に浮かべ、常連らしく「いつもの」と注文を告げた。
パク・ハは、はい、とこれまた飛び切りの笑顔で果物を手に取る。
テヨンが見たら、その笑顔は僕だけのものにして、とやきもきするに違いない。
「いつもたくさんお買い上げ頂いて、ありがとうございます。」
「ははは。普段は部下をこき使っているので、せめてものご機嫌取りです。パク・ハさんのジュースは栄養剤より良く効く。皆、良く働いてくれますよ。」
キムチーム長は片目を瞑った。
「うふふ。それは、嬉しいですね。」
「あと、今日はリンゴジュースも一つください。」
キムチーム長の注文は、決まってミックスジュースばかりを7つだ。珍しいこともあるな、とパク・ハは思い、知らずにそれが口に出ていた。
「珍しいですね?」
「本部長に差し入れです。・・・働き過ぎで、こちらにもお越しになっていないでしょう?」
「ええ。・・・電話やメールは貰ってますけど。」
「私達に能力が無くて、申し訳ないです。」
頭を下げるチーム長に、とんでもないわ!と首を振る。
「テヨンさんから、キムチーム長はとても優秀で頼りになるんだ、ってよく聞かされてますよ。」
「ホントですか?それは光栄だな。じゃあ、リンゴジュースで更にゴマを擦っておくことにします。」
彼はおどけたように笑った後、ふと真面目な顔をした。
「でも、やはり私達がもっと頑張らないと・・・。本部長を縛り付けてしまってますからね。
婚約者にお会いになることもままならないなんて、あまりにも心苦しいですから。」
「しょうがないですよ。・・・そういう立場の人ですもの。」
「パク・ハさんは随分とお優しい。」
キムチーム長は、ふう、と息を吐いた。
「私と仕事のどっちが大切なの!・・・と、怒ったりはしないのですか?」
前半は芝居がかった高い声色でわざと捲し立て、後半は穏やかにそう問いかける。
「比べるものではないですよね?・・・それに、もし、仕事だよ、なんて言われたら辛いわ。」
パク・ハは苦笑する。
「まさか!本部長は、絶対、パク・ハさんの方が大切に決まっています。」
「うふふ、ありがとうございます。・・・正直言って寂しいですけど・・・身体を壊さないかとそっちの方が心配で。」
「・・・はい。あの働きぶりは私も尊敬するところですが・・・最近はかなりお疲れの様子で、私達も心配しています。」
テヨンさんがいい部下に恵まれていて、良かった。
パク・ハは穏やかに微笑みながら、はい どうぞ と、仕事ができるだけではない心映えも素晴らしいチーム長にジュースのカップが収まった紙袋を手渡した。
「キムチーム長。・・・あの・・・お願いがあるんですけど・・・。」
え?とチーム長はパク・ハの顔を見る。
「もちろん。パク・ハさんのお願いなら、喜んで。」
にっこりと微笑み頷くキムチーム長がいた。
翌日。
これで良し!
パク・ハはその中身をチェックして蓋を閉じた。
大切に、大判のハンカチで包む。
本当は、毎晩、毎朝、栄養満点の手料理を食べさせてあげたい。
でも、帰っても来ないのだから仕方がない。
せめて、お昼ぐらいは・・・。
彼の大好きなオムライス。喜んでくれるかな?
カラン。
約束した時間通りにキムチーム長が現れた。
「すみません、お忙しいのに・・・。」
「いいえ。お安いご用ですよ。」
キムチーム長はやはり爽やかに笑っている。
「キムチーム長にも、と思ったんですけど・・・彼女さんに悪いかな、と思って・・・。」
パク・ハはおずおずと、その代りにこれを、といつものジュースの紙袋を差し出した。
「お気遣いありがとうございます。私に弁当を作ってくれる女性 なんて居ませんよ。・・・本部長が羨ましい限りです。」
キムチーム長ほどの男性 に恋人がいないなんて。
「・・・じゃ、次はキムチーム長の分も一緒に・・・。」
「ありがたいお話ですが遠慮しておきます。せっかくリンゴジュースでゴマを擦ったのに・・・
本部長に睨まれてしまったのでは、努力が水の泡になってしまいますから。」
彼は片目を瞑ってそう言うと、お預かりして行きます、と弁当箱の包みを手に取った。
では、とイケメン有能チーム長は、颯爽とパク・ハの店を後にしたのである。
入口のドアが開いた。
「いらっしゃいませ。あ、キムチーム長!」
「こんにちは、パク・ハさん。いつもの、お願いします。」
キムチーム長は爽やかな笑顔をその顔に浮かべ、常連らしく「いつもの」と注文を告げた。
パク・ハは、はい、とこれまた飛び切りの笑顔で果物を手に取る。
テヨンが見たら、その笑顔は僕だけのものにして、とやきもきするに違いない。
「いつもたくさんお買い上げ頂いて、ありがとうございます。」
「ははは。普段は部下をこき使っているので、せめてものご機嫌取りです。パク・ハさんのジュースは栄養剤より良く効く。皆、良く働いてくれますよ。」
キムチーム長は片目を瞑った。
「うふふ。それは、嬉しいですね。」
「あと、今日はリンゴジュースも一つください。」
キムチーム長の注文は、決まってミックスジュースばかりを7つだ。珍しいこともあるな、とパク・ハは思い、知らずにそれが口に出ていた。
「珍しいですね?」
「本部長に差し入れです。・・・働き過ぎで、こちらにもお越しになっていないでしょう?」
「ええ。・・・電話やメールは貰ってますけど。」
「私達に能力が無くて、申し訳ないです。」
頭を下げるチーム長に、とんでもないわ!と首を振る。
「テヨンさんから、キムチーム長はとても優秀で頼りになるんだ、ってよく聞かされてますよ。」
「ホントですか?それは光栄だな。じゃあ、リンゴジュースで更にゴマを擦っておくことにします。」
彼はおどけたように笑った後、ふと真面目な顔をした。
「でも、やはり私達がもっと頑張らないと・・・。本部長を縛り付けてしまってますからね。
婚約者にお会いになることもままならないなんて、あまりにも心苦しいですから。」
「しょうがないですよ。・・・そういう立場の人ですもの。」
「パク・ハさんは随分とお優しい。」
キムチーム長は、ふう、と息を吐いた。
「私と仕事のどっちが大切なの!・・・と、怒ったりはしないのですか?」
前半は芝居がかった高い声色でわざと捲し立て、後半は穏やかにそう問いかける。
「比べるものではないですよね?・・・それに、もし、仕事だよ、なんて言われたら辛いわ。」
パク・ハは苦笑する。
「まさか!本部長は、絶対、パク・ハさんの方が大切に決まっています。」
「うふふ、ありがとうございます。・・・正直言って寂しいですけど・・・身体を壊さないかとそっちの方が心配で。」
「・・・はい。あの働きぶりは私も尊敬するところですが・・・最近はかなりお疲れの様子で、私達も心配しています。」
テヨンさんがいい部下に恵まれていて、良かった。
パク・ハは穏やかに微笑みながら、はい どうぞ と、仕事ができるだけではない心映えも素晴らしいチーム長にジュースのカップが収まった紙袋を手渡した。
「キムチーム長。・・・あの・・・お願いがあるんですけど・・・。」
え?とチーム長はパク・ハの顔を見る。
「もちろん。パク・ハさんのお願いなら、喜んで。」
にっこりと微笑み頷くキムチーム長がいた。
翌日。
これで良し!
パク・ハはその中身をチェックして蓋を閉じた。
大切に、大判のハンカチで包む。
本当は、毎晩、毎朝、栄養満点の手料理を食べさせてあげたい。
でも、帰っても来ないのだから仕方がない。
せめて、お昼ぐらいは・・・。
彼の大好きなオムライス。喜んでくれるかな?
カラン。
約束した時間通りにキムチーム長が現れた。
「すみません、お忙しいのに・・・。」
「いいえ。お安いご用ですよ。」
キムチーム長はやはり爽やかに笑っている。
「キムチーム長にも、と思ったんですけど・・・彼女さんに悪いかな、と思って・・・。」
パク・ハはおずおずと、その代りにこれを、といつものジュースの紙袋を差し出した。
「お気遣いありがとうございます。私に弁当を作ってくれる
キムチーム長ほどの
「・・・じゃ、次はキムチーム長の分も一緒に・・・。」
「ありがたいお話ですが遠慮しておきます。せっかくリンゴジュースでゴマを擦ったのに・・・
本部長に睨まれてしまったのでは、努力が水の泡になってしまいますから。」
彼は片目を瞑ってそう言うと、お預かりして行きます、と弁当箱の包みを手に取った。
では、とイケメン有能チーム長は、颯爽とパク・ハの店を後にしたのである。
~ Comment ~
出た~!
出ましたね、イケメン有能チーム長!
前回のテヨンのやり取りを見た時から、パクハとはどんなやり取りをしていたか気になっていたので、このお話が読めて嬉しいです~w
話す事といい、やる事といい、いちいちカッコいいですね(*^^)
すっかりチーム長の虜になってる私です(笑)
それにしても、彼女いないなんて…。
ありちゃんさん、ぜひこのイケメンにも春を!(>_<)
なんなら誰か紹介しますよ?…なんて(笑)
このシリーズ大好き7です!
また続きを楽しみにしてます~ww
前回のテヨンのやり取りを見た時から、パクハとはどんなやり取りをしていたか気になっていたので、このお話が読めて嬉しいです~w
話す事といい、やる事といい、いちいちカッコいいですね(*^^)
すっかりチーム長の虜になってる私です(笑)
それにしても、彼女いないなんて…。
ありちゃんさん、ぜひこのイケメンにも春を!(>_<)
なんなら誰か紹介しますよ?…なんて(笑)
このシリーズ大好き7です!
また続きを楽しみにしてます~ww
- #1022 kaya
- URL
- 2015.10/29 22:40
- ▲EntryTop
Re: か****様へ
か****様
はちきんって初めて聞きました。
そうですか、男勝り・・・男性4人分とは・・・そりゃ、そこらの軟な男では敵いませんなぁ。w
スヨンとテヨンの対面。ええ、私も楽しみです。w
(ちょっと待て・・・どっちが書くことになるんだろう?)
> ホント、コラボ最高〜ヾ(≧∇≦*)/
楽しんで頂けて、私たちも嬉しいです。
はちきんって初めて聞きました。
そうですか、男勝り・・・男性4人分とは・・・そりゃ、そこらの軟な男では敵いませんなぁ。w
スヨンとテヨンの対面。ええ、私も楽しみです。w
(ちょっと待て・・・どっちが書くことになるんだろう?)
> ホント、コラボ最高〜ヾ(≧∇≦*)/
楽しんで頂けて、私たちも嬉しいです。
Re: 出た~! kaya様へ
kayaさま
> 出た~!
って、お化けじゃないんですから。www
> 前回のテヨンのやり取りを見た時から、パクハとはどんなやり取りをしていたか気になっていたので、このお話が読めて嬉しいです~w
楽しんで頂けて、良かったです。
> 話す事といい、やる事といい、いちいちカッコいいですね(*^^)
> すっかりチーム長の虜になってる私です(笑)
そういう方、多いです。♡
> それにしても、彼女いないなんて…。
> ありちゃんさん、ぜひこのイケメンにも春を!(>_<)
> なんなら誰か紹介しますよ?…なんて(笑)
ほほぉ。彼もテヨンに負けず劣らず忙しそうですが、大丈夫でしょうか?
「私と仕事とどっちが大切なの!」と言いだしそうな女の子は、敬遠されるかも知れません。w
> このシリーズ大好きです!
> また続きを楽しみにしてます~ww
ありがとうございます。m(__)m
> 出た~!
って、お化けじゃないんですから。www
> 前回のテヨンのやり取りを見た時から、パクハとはどんなやり取りをしていたか気になっていたので、このお話が読めて嬉しいです~w
楽しんで頂けて、良かったです。
> 話す事といい、やる事といい、いちいちカッコいいですね(*^^)
> すっかりチーム長の虜になってる私です(笑)
そういう方、多いです。♡
> それにしても、彼女いないなんて…。
> ありちゃんさん、ぜひこのイケメンにも春を!(>_<)
> なんなら誰か紹介しますよ?…なんて(笑)
ほほぉ。彼もテヨンに負けず劣らず忙しそうですが、大丈夫でしょうか?
「私と仕事とどっちが大切なの!」と言いだしそうな女の子は、敬遠されるかも知れません。w
> このシリーズ大好きです!
> また続きを楽しみにしてます~ww
ありがとうございます。m(__)m
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