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「コラボレーション」
ヨン家の嫁

ヨン家の嫁 ~事件発生 2~

 ←ヨン家の嫁 ~事件発生~ →ヨン家の嫁 ~事件解決~
【コラボレーション】
「ヨン家の嫁」「友情の証」は下記の順番でお読みください。
statice →ヨン家の嫁 →友情の証 →世間の目 (→小話) →聞きたかった事 →政略結婚? →新たな動き →他人の空似
他人の空似? →接近 (→小話~電話~) →狙われた彼女 →事件発生 →事件発生 2 ←今ここ



スヨンも意識を失ってしまった。

男は厭らしい薄ら笑いを浮かべている。
スヨンを抱え、パク・ハの隣の椅子に腰かけるようにもたれかからせた。

「・・・ねぇ。このコを縛るのはやめて。」

男はパク・ハを見た。

「無抵抗の女性を縛るなんて・・・いい男が、台無しよ。」

男はにやにや笑いを止める。

「は?『いい男』ってのは、俺のことか?」

「そうよ。他に誰が居るの?・・・女性には優しくしなきゃモテないわよ。」

男はパク・ハに近付いた。

「・・・俺は『いい男』か?」

『いい男』であるはずがない。

パク・ハやスヨンへの乱暴狼藉。
その容貌たるや、脂ぎった顔に落ちくぼんだ眼。
猫背で首が前に落ち、そのくせやたらに大きい。熊のような男だ。
おまけに気味の悪い薄ら笑いを浮かべている。

とにかく、スヨンまで縛らせるわけにはいかない。
自分も、どうにかこの縄を解かせなければ・・・。
パク・ハは肚に力を込める。声が震えないようにありったけの勇気を振り絞って言葉を続けた。

「ええ。・・・惚れ惚れするようなイケメンだけど・・・優しくないのは、いただけない、わ。」

微笑んで片目を瞑ってみせた。

「イケメン・・・?」

「ねえ、ライトを点けてくれない?」

男はパク・ハを訝しむような目で見降ろしてくる。

「・・・私・・・・明るくないと・・・興奮、しないの。」

男は一瞬、目を見開き、またあの気持ち悪い薄ら笑いを浮かべた。
そして長い舌を出して唇を舐めまわしている。
気持ち悪いこと、この上ない。

「へえぇ。俺も明るい方が興奮するよ。・・・スイッチは何処だ?」

「ちょっと分かりにくい所にあって・・・私が点けるわ。・・・縄を解いて。」

果たして思惑通りに縄を解いてくれるだろうか?
どのみち、このままでは逃げられない。

「逃げたりしないわよ。・・・楽しみましょ。」

男はぎらつく目でにやにやと笑った。


悪寒が走る。気持ちが悪い。


男は隠し持っていたナイフで、パク・ハを拘束する縄を切り始めた。

パク・ハは自分で自分の身体を抱きしめる。身体の力を抜いて息を長く吐いた。
刃物を持つこの気持ちの悪い大柄な男と、どう戦うか・・・。

立ち上がり、男に向かってにっこりと笑いかける。

「ありがとう。ねえ、ジュースを飲まない?このお店、割と評判なのよ。」

カウンターの向こう、キッチンスペースに入ると総てのライトを点け、ジューサーの電源も入れる。
急に明るくなった店内で、眩しさに男が顔をしかめた。

本来はまだ営業している時間帯だ。灯りを点けていれば客が来るかもしれない。
誰かがブラインドの隙間から中の異変に気付いてくれるかもしれない。

ライトの眩しさでスヨンも目を覚ましそうになっている。

「ん、・・・うーん。」

パク・ハは慌てて、でもそれを悟られないように、果物をジューサーに放り込む。
スイッチを入れるとジューサーは勢いよく廻り始め、その音でスヨンの声が掻き消えた。


ガーッガーッと廻るジューサーの音に、スヨンも完全に目を覚ました。

スヨンは大柄な男の背中越しにパク・ハの姿を見た。
一瞬、何が起こっているのか分からなかったがすぐにハッとする。
声を上げそうになって、自分で自分の口を塞いだ。
震える肩を抱きしめる。

パク・ハはどうにかして逃げるために、男と対峙しているに違いない。
気付かれるわけにはいかない。震えている場合ではない。

パク・ハはジュースをカップに注ぎ入れる。

ハナ

トゥル

・・・セッ! 
「どうぞ、召し上がって!!」

にやにや笑いを続ける男の顔めがけてジュースをぶちまける。
男は、うわっ、と叫びよろめいた。

「スヨン!逃げて!助けを呼んで!」


スヨンは震える足で、店を飛び出す。


パク・ハは咄嗟にそこにあった調理器具を掴んでカウンターから飛び出した。

「こんの・・・アマっ!」

男が体勢を立て直す前に、手にしていた調理器具を大きく振りかぶる。

思い切り息を吸い込んでぇ

ヤァッの掛け声と共に渾身の力を込めて男の頭に叩きつけた!


ガンっ!


フライパンは男の頭にクリーンヒット!!


もう1発!
月に代わってお仕置きよ!!


ゴンっ!


男は四つん這いになって頭を振っている。
どんな石頭なのか・・・フライパンの方が変形している。

これ、ティファールの一級品なのに・・・。

そんなことを考えている場合ではない。逃げなければ!
しかし、外に逃げるにはこの男の脇をすり抜けねばならない。

更にもう1発お見舞いしようとした時、男がナイフを向けてきた。
パク・ハはフライパンを盾にして後ずさる。

ゆらりと立ち上がった男は横を向いて、ぺっと唾を吐き捨てた。

「へへへ・・・元気なねーちゃん。・・・俺は、はねっかえりも嫌いじゃないぜ。」

男はにやりと笑って、振り向いたと思ったら店の入り口の鍵をガチャリとかけてしまった。

パク・ハの方に向き直り、じりじりと迫ってくる。

「あ、あんたなんか、怖くないわ!!」

精一杯の虚勢を張るが、後ずさっているうちにパク・ハの背中が壁に当たった。

「もう、逃げられないぜ。」

後ろ手に壁を探るとドアノブに触れた。
パク・ハは素早くドアを開けて中に入る。中から鍵をかけた。


男はトイレのドアノブをガチャガチャと廻している。

「開けな。・・・明るい所で、楽しもうぜ。」


開けるわけがないでしょっ!バーカ!

______________________________________

皆様、こんばんは。

コミカルに・・・なんてできないですよぉ。

セーラームーンを入れてみたけど・・・なんとも中途半端な、コミカルさ加減。(苦笑)
この中途半端さ加減は・・・読み返すと、実はかなり恥ずかしいです。(//>ω<)

パク・ハの武器と言えば、フライパン!(ドラマ第2話参照のことw)
フライパンで、月に代わってお仕置きしてもらいましたが・・・やばいことになってます。(汗)

kayaさん
ここでバトンを渡してしまったら、青ざめますよね?


実はまだ続きがあります。

カラオケでマイクを持って離さない人みたいになっちゃってますが・・・もう1話だけ行かせてください。(^^ゞ



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~ Comment ~

♪~ゆちょ~んの笑顔にみ~ちびかれ~
なん~ども読み返す~♪
(セーラームーン、サビ)

まだひとり立ち向かうパッカ。頑張ってますね~
さて、先に助けに来るのは、テヨン?ジョンウ?
待ってま~す♪

Re: ふにゃん様へ

ふにゃん様

セーラームーンの替え歌素敵!

> まだひとり立ち向かうパッカ。頑張ってますね~
守られてるばかりの女じゃないですよ。w

> さて、先に助けに来るのは、テヨン?ジョンウ?
> 待ってま~す♪
ユチョン、一人二役で大変だ!


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このコメントは管理人のみ閲覧できます

パクハー!

パクハすごい!素敵すぎる!!
自分のことだけじゃなく、スヨンまで気遣い立ち向かうパクハ!
惚れました。特にセーラームーンのくだりと、最後の「バーカ!」に(笑)

ありちゃんさん、全然大丈夫ですよ!
手に汗握る展開ですが、これは十分コミカルですww
シリアス展開に持ち込んだ責任を感じていましたが、ありちゃんさんに救われました(^^)

さて、どちらが先に到着するか。助けを呼びに行ったスヨンも気になりますね。
もう何曲(何話?)でも歌っちゃって下さい!
私も一緒にハラハラしながら(いつ回ってくるかどきどきしながら。笑)、展開を見守らせていただきますww

Re: か****様へ

か****様

いつもありがとうございます。

ムラのある更新で、ホント、スミマセン。
バトンを受け取った時は、どうすんの?と青ざめてたんですが・・
一旦妄想が湧き始めると止まらなくなって・・・
一気に書き上げてしまった感があるので、区切って更新です。
要するにストックが出来ちゃったので、更新速度が上がったんですが・・・これからは・・・
そんな訳で無理してはないですよ。お気遣いありがとうございます。

> 緊迫感満載なのに、セーラームーンって、思わず笑っちゃいました(。 ノ∀<)σ
ああ、良かった。目指したのはそこなので、ほっとしました。w 

テヨンか、ジョンウか・・・とにかく急げ!!

Re: パクハー! kaya様へ

kayaさま

あ、なんかお気に召して頂けたようで、感謝、感謝であります。

> 手に汗握る展開ですが、これは十分コミカルですww
そうですか?良かった。目指したのは緊張感の中の笑いです。w

> シリアス展開に持ち込んだ責任を感じていましたが、ありちゃんさんに救われました(^^)
いや、はい、責任感じてくださいね。w 大変でしたから・・・。ww
と言うのは冗談ですが、パク・ハが縛られてたのには参りました。
フライパンはすぐに思いついたのですが、まず縄を解かないことには、って。ww
いやあ、あの色仕掛けは・・・ぜぇったいキモかったに違いない!
(テヨン相手なら、全然OKですけどねぇ。ww)

> もう何曲(何話?)でも歌っちゃって下さい!
いや、あと1曲(1話)でマイク譲ります!ww
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