「短話シリーズ」
クリスマス
リサーチ
気分転換に、一階のカフェに下りてきた。
「彼に、バッグをおねだりしたんだ!」
「へえぇ。私の彼は、ボア付のコートを買ってくれるって。」
「私、ネックレスがいいな。」
皆、色めき立って語尾にハートマークが付きそうな、女の子たちの会話。
・・・そうか。そういうプレゼントが嬉しいんだ・・・。
僕はコーヒーを啜った。
「リサーチ活動にも熱心でいらっしゃいますね。」
聞きなれた声に顔を上げると、キムチーム長が微笑んでいた。
いや、ただ聞き耳をたてていただけで・・・。
彼らしい言い回しが、くすぐったい。
「パク・ハさんへの贈り物でお悩みですか?」
・・・ふう。キムチーム長に隠し事は通用しない。
僕は素直に観念することにして、コーヒーカップを置いた。
「はい。かなり難題で・・・。
欲しい物はある?と訊いたら、お店のミキサーだと答えるんです。
しかも、中古品を探してもらっているところだ、って嬉しそうに言うし・・・」
僕は溜息を漏らした。
「パク・ハさんらしいですね。」
キムチーム長も思わず吹き出している。
「そうじゃなくて、クリスマスのプレゼントだよ?と訊き直したら、
特には・・・と黙り込んでしまって。・・・逆に、欲しいものは何?と僕に訊いてくるんですよ。」
「それは困りますね。」
「はい。本当に困ってます。」
「無欲というのは素晴らしいことですが・・・こういう場合には手強いですね。」
あれ?キムチーム長もそういう女性の経験あり?
いつもプライベートに関することはさらりとかわすキムチーム長。
そんな彼の恋愛事情が気にならないはずがない。
「男には面子がありますからね。」
そう!さすがキムチーム長!
僕にだって、パッカを喜ばせたい!というプライドは、ある。
あなたならどうします?
口にはしなかったけれど、我知らず身を乗り出していた。
「女性への贈り物のリサーチでしたら・・・」
キムチーム長は首を傾げる。
「男の私より、ユウチーム長の方が得意分野かも知れません。」
はっ?ユウチーム長だって?
爆弾発言をして微笑むキムチーム長に、思わず眉をひそめてしまった。
冗談じゃない!彼女にリサーチなんて頼んだら、何を勧められるか分かったもんじゃない!
「まあ、ですが・・・彼女の場合、広がり過ぎて収拾が大変ですので、今回は止めておきましょう。」
まるで仕事の差配でもしているように涼しい顔でそう言って、にっと笑う。
僕は内心胸を撫で下ろした。
もしかして・・・
いや、もしかしなくても、僕をからかっている?
「でも、悩める相手がいるというだけで、私には羨ましい事です。ご健闘を祈っております。」
僕をからかった挙句、僕を悩ませている難題に対する答えも、彼自身の恋愛事情も煙に巻いて、
いつもの爽やかな笑顔で、キムチーム長はその場を去って行った。
キムチーム長なら、良いヒントを与えてくれるかも、って思ったんだけど・・・。
やっぱり、自分で考えるのが当然・・・だよ、な。
恵まれた生活をさせてもらっている、とはずっと思ってきたんだ。
だけど、贅沢をしているつもりはなかった。
でも
パッカに出会ってから、彼女との意識の違いを感じることがしばしばある。
パッカは幼いころに家族と離れて暮らす境遇で、慎ましい生活をしてきた。
滅多に買い物をしない彼女が『素敵な洋服を見つけたの。とってもお買い得で。』と嬉しそうに帰ってきたある日。
何気なく値段を聞いたら、僕の買う服とは零 の数が二つも違った。
料理をする彼女を手伝った時。
切り終わった野菜の皮を捨てようとしたら『それも料理に使えるわ。もったいないでしょ。』と言われてしまって、本当に美味しい料理になって出てきた。
そんな事がある度、彼女は『私、貧乏くさいでしょ?』と笑うけど、僕はそんな風には思わない。
無駄をせず、物を大切にする彼女を尊敬してる。
多くの人は、男も女も、僕の『家』を知るとその態度が変わった。
彼女は変わらない。
流されない。
だから、僕も彼女のことを変わらず好きでいる。いや、どんどん好きになる。
だけど、男心は複雑で・・・ちょっと贅沢をさせて彼女を喜ばせたい、とも思う。
その為に僕は仕事を頑張っている、と言っても過言ではないのだから。
星付のレストランに連れて行ったら、『とても美味しいけど、なんだか落ち着かないわ。』
試着したドレスをすべて買ったら、『私は身体が一つしかないから、そんなにたくさん着られないわ。』
パッカは遠慮がちに、微笑みながらそんな風に言う。
分かっていたことだけど・・・
彼女の気持ちはお金では動かない。
僕自身を試されているような気さえする。
であればこそ、どうしても彼女が心から喜ぶプレゼントをしたい。
パッカ。・・・君は何が嬉しい?
パッカ。・・・君の望みは何?
キムチーム長の言う通り。
こうやって君の為に悩むことさえも、僕には幸せなことなんだ。
僕には・・・
君自身が、最高のプレゼントだよ。
それにしても・・・クリスマス、何を贈ろう?
「彼に、バッグをおねだりしたんだ!」
「へえぇ。私の彼は、ボア付のコートを買ってくれるって。」
「私、ネックレスがいいな。」
皆、色めき立って語尾にハートマークが付きそうな、女の子たちの会話。
・・・そうか。そういうプレゼントが嬉しいんだ・・・。
僕はコーヒーを啜った。
「リサーチ活動にも熱心でいらっしゃいますね。」
聞きなれた声に顔を上げると、キムチーム長が微笑んでいた。
いや、ただ聞き耳をたてていただけで・・・。
彼らしい言い回しが、くすぐったい。
「パク・ハさんへの贈り物でお悩みですか?」
・・・ふう。キムチーム長に隠し事は通用しない。
僕は素直に観念することにして、コーヒーカップを置いた。
「はい。かなり難題で・・・。
欲しい物はある?と訊いたら、お店のミキサーだと答えるんです。
しかも、中古品を探してもらっているところだ、って嬉しそうに言うし・・・」
僕は溜息を漏らした。
「パク・ハさんらしいですね。」
キムチーム長も思わず吹き出している。
「そうじゃなくて、クリスマスのプレゼントだよ?と訊き直したら、
特には・・・と黙り込んでしまって。・・・逆に、欲しいものは何?と僕に訊いてくるんですよ。」
「それは困りますね。」
「はい。本当に困ってます。」
「無欲というのは素晴らしいことですが・・・こういう場合には手強いですね。」
あれ?キムチーム長もそういう女性の経験あり?
いつもプライベートに関することはさらりとかわすキムチーム長。
そんな彼の恋愛事情が気にならないはずがない。
「男には面子がありますからね。」
そう!さすがキムチーム長!
僕にだって、パッカを喜ばせたい!というプライドは、ある。
あなたならどうします?
口にはしなかったけれど、我知らず身を乗り出していた。
「女性への贈り物のリサーチでしたら・・・」
キムチーム長は首を傾げる。
「男の私より、ユウチーム長の方が得意分野かも知れません。」
はっ?ユウチーム長だって?
爆弾発言をして微笑むキムチーム長に、思わず眉をひそめてしまった。
冗談じゃない!彼女にリサーチなんて頼んだら、何を勧められるか分かったもんじゃない!
「まあ、ですが・・・彼女の場合、広がり過ぎて収拾が大変ですので、今回は止めておきましょう。」
まるで仕事の差配でもしているように涼しい顔でそう言って、にっと笑う。
僕は内心胸を撫で下ろした。
もしかして・・・
いや、もしかしなくても、僕をからかっている?
「でも、悩める相手がいるというだけで、私には羨ましい事です。ご健闘を祈っております。」
僕をからかった挙句、僕を悩ませている難題に対する答えも、彼自身の恋愛事情も煙に巻いて、
いつもの爽やかな笑顔で、キムチーム長はその場を去って行った。
キムチーム長なら、良いヒントを与えてくれるかも、って思ったんだけど・・・。
やっぱり、自分で考えるのが当然・・・だよ、な。
恵まれた生活をさせてもらっている、とはずっと思ってきたんだ。
だけど、贅沢をしているつもりはなかった。
でも
パッカに出会ってから、彼女との意識の違いを感じることがしばしばある。
パッカは幼いころに家族と離れて暮らす境遇で、慎ましい生活をしてきた。
滅多に買い物をしない彼女が『素敵な洋服を見つけたの。とってもお買い得で。』と嬉しそうに帰ってきたある日。
何気なく値段を聞いたら、僕の買う服とは
料理をする彼女を手伝った時。
切り終わった野菜の皮を捨てようとしたら『それも料理に使えるわ。もったいないでしょ。』と言われてしまって、本当に美味しい料理になって出てきた。
そんな事がある度、彼女は『私、貧乏くさいでしょ?』と笑うけど、僕はそんな風には思わない。
無駄をせず、物を大切にする彼女を尊敬してる。
多くの人は、男も女も、僕の『家』を知るとその態度が変わった。
彼女は変わらない。
流されない。
だから、僕も彼女のことを変わらず好きでいる。いや、どんどん好きになる。
だけど、男心は複雑で・・・ちょっと贅沢をさせて彼女を喜ばせたい、とも思う。
その為に僕は仕事を頑張っている、と言っても過言ではないのだから。
星付のレストランに連れて行ったら、『とても美味しいけど、なんだか落ち着かないわ。』
試着したドレスをすべて買ったら、『私は身体が一つしかないから、そんなにたくさん着られないわ。』
パッカは遠慮がちに、微笑みながらそんな風に言う。
分かっていたことだけど・・・
彼女の気持ちはお金では動かない。
僕自身を試されているような気さえする。
であればこそ、どうしても彼女が心から喜ぶプレゼントをしたい。
パッカ。・・・君は何が嬉しい?
パッカ。・・・君の望みは何?
キムチーム長の言う通り。
こうやって君の為に悩むことさえも、僕には幸せなことなんだ。
僕には・・・
君自身が、最高のプレゼントだよ。
それにしても・・・クリスマス、何を贈ろう?
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~ Comment ~
やっぱり…
キムチ、ーム長の嫁に名乗りを上げても良いですかっ!?
…悩めるテヨンのお話にふふ、と笑みをこぼしつつもチーム長の華麗なテヨン捌きに惚れてしまいます。
なにあげるんでしょうね?
続きを楽しみにしています。
もちろん、彼女はなんだって喜んでくれるに違いないでしょうが。それこそポストカードの裏のスケッチだって(惚)
血迷った冒頭の叫びお詫びしつつ、短いコメで失礼します<(_ _)>
…悩めるテヨンのお話にふふ、と笑みをこぼしつつもチーム長の華麗なテヨン捌きに惚れてしまいます。
なにあげるんでしょうね?
続きを楽しみにしています。
もちろん、彼女はなんだって喜んでくれるに違いないでしょうが。それこそポストカードの裏のスケッチだって(惚)
血迷った冒頭の叫びお詫びしつつ、短いコメで失礼します<(_ _)>
- #1133 さち
- URL
- 2015.11/30 23:34
- ▲EntryTop
Re: 阿波の局さまへ
阿波の局さま
> 君と共に 過ごせた今日に 感謝する
> 明日を語れる 幸せ思う
じんわり、暖かいお歌ですね。穏やかな気持ちになります。(^-^)
何もなくても共にいて、共に楽しんでくれて、共に笑顔でいてくれたら、それだけで素敵なプレゼントですよね。
そう思っていても、
でも、たまには何かくれ!と夫に訴えてしまうのは・・・私が俗物的だからなんでしょう。
ま、元気で傍にいてくれるから言えるんですけどね。(苦笑)
> 君と共に 過ごせた今日に 感謝する
> 明日を語れる 幸せ思う
じんわり、暖かいお歌ですね。穏やかな気持ちになります。(^-^)
何もなくても共にいて、共に楽しんでくれて、共に笑顔でいてくれたら、それだけで素敵なプレゼントですよね。
そう思っていても、
でも、たまには何かくれ!と夫に訴えてしまうのは・・・私が俗物的だからなんでしょう。
ま、元気で傍にいてくれるから言えるんですけどね。(苦笑)
Re: 宝***様へ
宝***さま
こんにちは。
私も言われてみたいです!・・・ユチョンに・・・。(笑)
キムチーム長、人気あるなぁ。ww
クリスマス本番・・・・怖いなぁ。いろいろ・・・
期待しないでお待ちくださいませ。って言うか、間に合うのだろうか・・・(汗)
こんにちは。
私も言われてみたいです!・・・ユチョンに・・・。(笑)
キムチーム長、人気あるなぁ。ww
クリスマス本番・・・・怖いなぁ。いろいろ・・・
期待しないでお待ちくださいませ。って言うか、間に合うのだろうか・・・(汗)
Re: か****様へ
か****さま
こんにちは。
ホント、寒くなりましたよね。
体調崩されてるのですか?お母さんは休めなくて辛いですね。
コラボも最後まで楽しんでくださってありがとうございました。
二人のユチョン、書いてて楽しかったです。
(イ・ガクとテヨンとはまた違う面白さがありますね。♡)
ゼロの数、私も3つは違いそうです。(笑)
宝石店のチラシは分かるのですが・・・電気屋さん、って。
か****さん、新しい家電が欲しいですか?私は電気ケトルが欲しいです。(笑)
こんにちは。
ホント、寒くなりましたよね。
体調崩されてるのですか?お母さんは休めなくて辛いですね。
コラボも最後まで楽しんでくださってありがとうございました。
二人のユチョン、書いてて楽しかったです。
(イ・ガクとテヨンとはまた違う面白さがありますね。♡)
ゼロの数、私も3つは違いそうです。(笑)
宝石店のチラシは分かるのですが・・・電気屋さん、って。
か****さん、新しい家電が欲しいですか?私は電気ケトルが欲しいです。(笑)
Re: やっぱり… さち様へ
さち様
> キムチ、ーム長の嫁に名乗りを上げても良いですかっ!?
おお!マジですか?競争率高いですよ!!
「ご健闘をお祈りしております。」(← キムチ、-ム長風に。笑)
> もちろん、彼女はなんだって喜んでくれるに違いないでしょうが。
そうですよね。・・・でも、そこは面子にかけて飛び切りの物を・・・
(自分で首絞めてどうすんだ!私!)
> 血迷った冒頭の叫びお詫びしつつ、短いコメで失礼します<(_ _)>
いえいえ、いつも楽しいコメをありがとうございます。(^0^)/
> キムチ、ーム長の嫁に名乗りを上げても良いですかっ!?
おお!マジですか?競争率高いですよ!!
「ご健闘をお祈りしております。」(← キムチ、-ム長風に。笑)
> もちろん、彼女はなんだって喜んでくれるに違いないでしょうが。
そうですよね。・・・でも、そこは面子にかけて飛び切りの物を・・・
(自分で首絞めてどうすんだ!私!)
> 血迷った冒頭の叫びお詫びしつつ、短いコメで失礼します<(_ _)>
いえいえ、いつも楽しいコメをありがとうございます。(^0^)/
Re: パスワード申請 は***様
は***様
パスワードを送信いたしました。
ご確認くださいませ。
パスワードを送信いたしました。
ご確認くださいませ。
NoTitle
明日を語れる 幸せ思う
我が娘、20歳になりますが今だにお父さん大好きっ子です。
父親と娘、どうかするとなかなかうまくいかないときもあるようですね…
男性って、プレゼントをしたがるんですが、それだけで愛情を表現していると勘違いしがちなのかも。
娘曰く、プレゼントも嬉しけど、一緒に遊んでくれるのが一番いいんですって。
うちの旦那も子供たちが小さい頃公園に連れて行ったり、ゲームセンターに行ったりよく遊んでましたもんね。
クリスマスには、残らないもの、音楽を聴くとか共に時間を過ごすというのはどうでしょうね〜、チーム長?