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「短話シリーズ」
ごっこ遊び

ようこそ、屋根部屋へ ~パク・ハ編~

 ←ようこそ、屋根部屋へ ~イ・ガク編~ →拍手コメント(2/13~16)へのお返事です。
屋根部屋の灯りは点いていなかった。

あれ?
テヨンさん、出掛けてるのかしら?
今日は午後から家でするコトがあるって言ってたのに・・・。

私は急いで玄関のロックを解除してドアに手を掛けた。


ガチャリ


「いらっしゃいませ。」


え?


薄暗がりの中、テヨンさんが迎えてくれる。
でも・・・その姿は・・・。

スーツの中の薄紫色のカラーシャツは胸元までボタンが外され、ゴールドのネックレスが揺れているのが見えた。
左耳にはピアスも光っている。
髪はワックスで立ち上げられ、形の良い額が露わになっていた。・・・いつもと印象が、違う。


テヨンさんは、私の手からスーパーの袋を掠め取ると、こちらへどうぞ、とリビングの方へといざなおうとする。


私は何だかドキドキして彼の後に付いて行った。


リビングは暗かった。
天井のメインライトは点いておらず、スタンドのオレンジ色の光も仄暗く、観葉植物の姿をぼぉっと浮かび上がらせているだけ。
テーブルの上には何本かのろうそくの炎が揺らめいていた。

ソファに座るよう促されたのだけれど、・・・私は緊張してしまって、浅く腰掛けていた。
テヨンさんは床に片膝をついて、どうぞ、と湯気の立つおしぼりを拡げて手渡してくれる。

「ようこそ。クラブ『屋根部屋(オクタッパン)』へ。」

クラブ?屋根部屋(オクタッパン)

お嬢さん(アガッシ)、楽にして。
最初は何をお持ちしましょうか?ビール?焼酎?」


え?・・・これって、ホストクラブのつもりなの?


「えっと・・・ビールを。」

「分かりました。」

テヨンさんは微笑んで応じてくれた。その笑顔がやけにセクシーで、私はドキドキが止まらない。

部屋が暗くて、良かったかも・・・火照った頬を見られずに、済む。


テヨンさんはビールで満たされたピッチャーとビアグラスを二つ運んできた。
次いで、チーズや生ハムが盛られた皿も持ってくる。

ビアグラスに液体を注ぎ入れ、一つは私に渡してくれた。もう一つはテヨンさん自身が手に取り、私の隣にすっと腰かける。
彼は身体ごと私の方を向いてグラスを傾け・・・またセクシーに微笑んだ。

「お近づきに、乾杯しましょう。」

私は彼の顔をまともに見ていられなくて、グラスを持つ少し骨ばった長い指に視線を固定していた。

お嬢さん(アガッシ)の美しさに、乾杯。」

そのままの流れでグラスを合わせたけれど・・・。
“美しい”なんて、言葉のチョイスが間違ってる、と思う。

今日の私の格好ときたら、何の飾り気もない白い綿のシャツに細身のジーンズ、上にパーカーを羽織っただけの普段着。
化粧だって全くしてないわけではないけれど・・・。
思わず、溜息が出ちゃう。

「浮かない顔だね?お嬢さん(アガッシ)。」

「その“お嬢さん(アガッシ)”って言うの、止めて。
いつも通り“パッカ”って呼んでよ。」

私は唇を突き出して抗議した。
テヨンさんは優しく微笑んでいる。


それは、いつもの優しい微笑みの筈なのに・・・何かが、違う。艶があると言うのか・・・。


「パッカ。」

彼は、低く湿っぽい声で私を呼んだ。

「パッカ。・・・これで、いい?」

私は呪縛に掛かったみたいにテヨンさんの瞳に捉えられて、動けない。
何なの?どうしちゃったの?

「それで?パッカ、浮かない顔の理由は何?」

「・・・私・・・美しく、ないよ。」

「どうして?綺麗で、可愛いよ。」

私は首を横に振った。

「困ったお嬢さん(アガッシ)だね。僕を信じてはくれないのか・・・。」

「だって!私、普段着よ?
テヨンさんがこんな風にお酒が飲みたかったのなら・・・
私だって、飛び切りのお洒落をしたのに!」

テヨンさんは一瞬目を見開いて、次にはにこりと笑った。
・・・どきっとする。

「それは嬉しいね。・・・僕もお洒落をした甲斐があったってことだ。
パッカは・・・」

テヨンさんの腕が伸びてきて、身体をグッと引き寄せられた。

「こういうの、好き?」

私はどぎまぎして・・・それでも、こくりと頷いた。

「僕、イケてるかい?」

「・・・素敵よ。・・・ドキドキする。」

「じゃあ、僕の店『屋根部屋(オクタッパン)』に通ってくれるね?」

・・・何、それ?
この遊び、そんなにしょっちゅうするつもりなの?

「どうしようかしら?あなた、モテそうだもの。お客さん、いっぱい付いてるでしょ?」

わざとそっぽを向いて、目だけで彼のことを見る。
テヨンさんは悪戯っぽく笑ってた。

「それが、パッカだけなんだよね。・・・パッカだけだから、特別サービスするよ。」

テヨンさんはやおらビアグラスを掴んだ。
グラスに口を着けてビールを飲む。

・・・違う。口に含んでるだけだわ。

と思ってる間に、そのまま口づけられてしまった。

テヨンさんの冷たい唇から、もっと冷たくてほろ苦い液体が注ぎ込まれてくる。


・・・こんなの、悪酔いしそう。


私がビールを飲み下したのを確認して、彼はその舌で私の唇に残る液体を舐めとった。
そのまま顎から首筋へと彼の冷えた唇が下がっていく。


「・・・テヨンさん、待って。」

「サービスは、これからだよ。」


私は抵抗できなくなって、そっと瞳を閉じた。




___________

そして、遂にパク・ハ編。

こちらも読者様のコメントに触発されての妄想でした。

いやあ、
テヨンのホストクラブ・・・行ってみたい。
(ホストクラブなんて行ったことありません。なので、どんなところかも知りません。


バレンタインには間に合いませんでしたが・・・
クラブ『屋根部屋(オクタッパン)』3部作ってことで、お楽しみ頂けたら幸いです。

いや、元々バレンタイン企画ってワケでもなかったんですけどね。

連載、頑張るって、誰が言ったのかなぁ。
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Re: おでこ て*****様へ

て*****さま

よかったですか?
よかったぁ。i-184^m^

一応、髪を立ち上げてるユチョンのステキ写真を見ながら、文章にしようと四苦八苦してたんですが・・・
そっちを思い浮かべちゃいましたか。ww
7:3分けのホストって・・・。(笑)

でも、楽しんで頂けたので、結果オーライです!
ありがとうございました。(^^ゞ

Re: t*******様へ

t*******さま

もう、どうしてこうツボをつくコメントをくださるんですかね。ww
嬉しいです。
はい、文章遊びです。(^.^)

また寒の戻りがあって、昨日、今日はここら辺りでも雪がチラついてたりしてるんですが・・・
雪の中から顔を出すフキノトウのごとく、春を感じてもらえたですかね?
(ってt*******さんのコメントもらうまでは、そんな素敵なコト考えもしてませんでしたが・・・汗)

Re: t*********0様へ

t*********0さま

楽しんで頂いて、何よりです。
こちらこそ、ありがとうございます。

ホストのイ・ガク、ですか。
ビジュアル的にはテヨンと一緒ですが・・・そのSっぷりが、人気を博するかも?ww

Re: p********53様へ

p********53さま

あ、ウケた。^m^
そうそう、「結局行き着くところは、そこなんだ。(゜o゜)」というお話でした。(笑)
心安ーい感じで書けるので、私もこういうお話、好きです。ww

ホント、暖かかったり、寒かったり・・・昨日、今日なんて雪がチラついてますよ!
ですが、私も旦那も元気です。ありがとうございます。<m(__)m>
p*******53さんもお身体、気を付けてくださいね。

Re: ほ**様へ

ほ**さま

はい。テヨンはチャラ男にはなり切れませんよねぇ。^m^
口移しのアルコール、テヨンならイ・ガクと違って、優しーく飲ませてくれると思います。
こんな飲まされ方なら、水でも悪酔いしそうです。(笑)

「極上ホスト」!
ホントだ!!
私もユチョンに貢いじゃってる!!∑(゚Д゚ )
ドンペリ(DVD)も予約しちゃった!ww
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