「短話シリーズ」
ごっこ遊び
特効薬
玄関のロックを解除して家の中に入る。
リビングを通り過ぎてキッチンへ。
買ってきた食材を冷蔵庫に仕舞った。
水のペットボトルを取り出してコーヒーメーカーに注ぎ、スイッチを入れる。
マグカップを手にリビングに向かい、ソファに腰掛けた。
コーヒーを一口啜って一息入れる。
ああ、美味しい。
パク・ハが寛いでいると、二階の部屋のドアが開く気配を感じた。
「テヨンさんいたの?一緒にコーヒー飲まない?」
テヨンの為にコーヒーを入れようと、キッチンへ行くために立ち上がった。
階段を上りきった先の吹き抜け部分を見上げ、二階の様子を窺うが、テヨンの姿は見えず、返事もない。
確かにドアが開いたような気がしたのだけれど・・・。
パク・ハは階段を上り、テヨンの部屋のドアをノックした。
「どうぞ。」
ああ、やっぱりいたのね。
パク・ハはドアを開け中に入る。
テヨンはデスクに着いていた。
回転式の椅子に腰かけたまま、くるりと身体の向きを変えパク・ハを正面から見る。
「どうぞ。ここに座って。」
彼が指し示す先を見れば、テヨンの正面に小さな椅子が据え付けられている。
「まずは問診をするから、座って。」
テヨンはメガネを掛け、白衣を纏っていた。
お医者さんごっこ?
いやはや、こんなイケメン医師がいたら、何か理由を付けては診察に訪れる女性が後を絶たないことだろう。
パク・ハは半ば呆れたように、顔を横に向けふうっと息を吐いた。
それでも、テヨンの遊びに付き合うことにしたらしく、彼の指示通り、目の前の椅子に腰を落ち着ける。
お名前は?
パク・ハです。
年齢は?
29です。
今までに大きな病気や怪我をしたことはありますか?
子供のころに事故に・・・ああ、大人になって肝移植を受けました。
食物アレルギーはありますか?
ありません。
薬剤でアレルギーを起こしたことは?
ないです。
テヨンは真面目な顔をして聞きながら、デスクに向かってペンを走らせている。
テヨンさんてば、本格的過ぎ!そんなことを思って、パク・ハもなんだか楽しくなってきた。
「今、授乳中ですか?」
「・・・いいえ。」
「妊娠中ですか?」
「・・・多分、違います。」
「多分?」
その可能性が全くないわけではないが、彼はそれを期待しているのだろうか・・・。
「可能性がないわけではない?」
こんな遊びを仕掛けておいて、その可能性の張本人がこんな質問をしてくるなんて・・・何を考えているんだろう。
「・・・ええ、まあ。」
「分かりました。」
テヨンはキャスター付きの椅子を転がしてパク・ハとの間を詰めた。
パク・ハは思わず身体を反らせる。
「触診できないから、避けないでくれます?」
テヨンは、困りますね、と笑った。
そして、触りますよ、と手を伸ばす。
テヨンの長い指が服の上からパク・ハの鎖骨の下あたりに触れた。
そのまま脇に向かって指を滑らせる。
彼女の胸のふくらみが始まるか始まらないかの部分、その柔らかさを感じるか感じないかの絶妙な位置。
パク・ハは『前を開けて』なんて言われるのじゃないかとドキドキしていたのに、服の上からで・・・
あからさまに触るという訳でもなく・・・
しかもテヨンはいたって涼しい顔をしているのだ。
自分が“それ”を期待していたようで、パク・ハは恥ずかしさを覚える。
「鼓動が速いですね。」
テヨンは、あくまでも自分は医師である、という態度を崩さないから、彼女は益々恥ずかしくなってきた。
「頬も、ちょっと赤いかな?」
そう言いながら、パク・ハの顔を見つめる。
テヨンの双眸に熱は感じられない。
自分ばかりが熱くなっている。
パク・ハは耐えきれなくなって、顔を逸らせた。
テヨンは両手を伸ばしてパク・ハの頬を包み込むと、また自分の方に向けさせる。
「ダメですよ。よく見せてくれなきゃ。」
「・・・止めて。」
「どうして?治療に来たんでしょう?」
何の治療だと言うのか・・・。
一方的に翻弄されて、ドキドキさせられて、身の内に熱がこもってきて・・・
しかも、それを涼しい顔で楽しんでるくせに。
パク・ハはテヨンを睨みつけた。
・・・つもりだったけれど、目の中に宿っている熱を彼に確信させたにすぎない。
テヨンはメガネを外して、そっとデスクに置いた。
「薬をあげるよ。」
彼はパク・ハの唇を塞ぎ、角度を変えながら、二度、三度と食む。
パク・ハの体温が一気に上昇した。
「随分熱が上がって来たね。・・・もっと良く効く薬が必要みたいだ。」
白衣を脱いだテヨンの目に揺らぐ炎を、パク・ハは力なく見つめる。
ヨン・テヨン医師は、そのまま患者を抱き上げベッドに運んだのだった。
特効薬を与えるために。
___________
どこまで続ける?
そこはかとなくエロい「ごっこ遊び」。
漏れ出る妄想を留める術を知らない私でした。
タイトルとカテゴリで、その内容はなんとなく予想がついてたと思います。
オチもこうなるだろうと思われてたと思います。
寒いんだもの。
寒いから暖まりたいんだもの。
と言うわけで、日の高いうちからパク・ハを翻弄するテヨンでした。
連載がうっ止まってて申し訳ない限りですが・・・
書きやすいものから書かないと、皆様をキリン化してしまうんですもの・・・。
って言い訳です。
許して。
リビングを通り過ぎてキッチンへ。
買ってきた食材を冷蔵庫に仕舞った。
水のペットボトルを取り出してコーヒーメーカーに注ぎ、スイッチを入れる。
マグカップを手にリビングに向かい、ソファに腰掛けた。
コーヒーを一口啜って一息入れる。
ああ、美味しい。
パク・ハが寛いでいると、二階の部屋のドアが開く気配を感じた。
「テヨンさんいたの?一緒にコーヒー飲まない?」
テヨンの為にコーヒーを入れようと、キッチンへ行くために立ち上がった。
階段を上りきった先の吹き抜け部分を見上げ、二階の様子を窺うが、テヨンの姿は見えず、返事もない。
確かにドアが開いたような気がしたのだけれど・・・。
パク・ハは階段を上り、テヨンの部屋のドアをノックした。
「どうぞ。」
ああ、やっぱりいたのね。
パク・ハはドアを開け中に入る。
テヨンはデスクに着いていた。
回転式の椅子に腰かけたまま、くるりと身体の向きを変えパク・ハを正面から見る。
「どうぞ。ここに座って。」
彼が指し示す先を見れば、テヨンの正面に小さな椅子が据え付けられている。
「まずは問診をするから、座って。」
テヨンはメガネを掛け、白衣を纏っていた。
お医者さんごっこ?
いやはや、こんなイケメン医師がいたら、何か理由を付けては診察に訪れる女性が後を絶たないことだろう。
パク・ハは半ば呆れたように、顔を横に向けふうっと息を吐いた。
それでも、テヨンの遊びに付き合うことにしたらしく、彼の指示通り、目の前の椅子に腰を落ち着ける。
お名前は?
パク・ハです。
年齢は?
29です。
今までに大きな病気や怪我をしたことはありますか?
子供のころに事故に・・・ああ、大人になって肝移植を受けました。
食物アレルギーはありますか?
ありません。
薬剤でアレルギーを起こしたことは?
ないです。
テヨンは真面目な顔をして聞きながら、デスクに向かってペンを走らせている。
テヨンさんてば、本格的過ぎ!そんなことを思って、パク・ハもなんだか楽しくなってきた。
「今、授乳中ですか?」
「・・・いいえ。」
「妊娠中ですか?」
「・・・多分、違います。」
「多分?」
その可能性が全くないわけではないが、彼はそれを期待しているのだろうか・・・。
「可能性がないわけではない?」
こんな遊びを仕掛けておいて、その可能性の張本人がこんな質問をしてくるなんて・・・何を考えているんだろう。
「・・・ええ、まあ。」
「分かりました。」
テヨンはキャスター付きの椅子を転がしてパク・ハとの間を詰めた。
パク・ハは思わず身体を反らせる。
「触診できないから、避けないでくれます?」
テヨンは、困りますね、と笑った。
そして、触りますよ、と手を伸ばす。
テヨンの長い指が服の上からパク・ハの鎖骨の下あたりに触れた。
そのまま脇に向かって指を滑らせる。
彼女の胸のふくらみが始まるか始まらないかの部分、その柔らかさを感じるか感じないかの絶妙な位置。
パク・ハは『前を開けて』なんて言われるのじゃないかとドキドキしていたのに、服の上からで・・・
あからさまに触るという訳でもなく・・・
しかもテヨンはいたって涼しい顔をしているのだ。
自分が“それ”を期待していたようで、パク・ハは恥ずかしさを覚える。
「鼓動が速いですね。」
テヨンは、あくまでも自分は医師である、という態度を崩さないから、彼女は益々恥ずかしくなってきた。
「頬も、ちょっと赤いかな?」
そう言いながら、パク・ハの顔を見つめる。
テヨンの双眸に熱は感じられない。
自分ばかりが熱くなっている。
パク・ハは耐えきれなくなって、顔を逸らせた。
テヨンは両手を伸ばしてパク・ハの頬を包み込むと、また自分の方に向けさせる。
「ダメですよ。よく見せてくれなきゃ。」
「・・・止めて。」
「どうして?治療に来たんでしょう?」
何の治療だと言うのか・・・。
一方的に翻弄されて、ドキドキさせられて、身の内に熱がこもってきて・・・
しかも、それを涼しい顔で楽しんでるくせに。
パク・ハはテヨンを睨みつけた。
・・・つもりだったけれど、目の中に宿っている熱を彼に確信させたにすぎない。
テヨンはメガネを外して、そっとデスクに置いた。
「薬をあげるよ。」
彼はパク・ハの唇を塞ぎ、角度を変えながら、二度、三度と食む。
パク・ハの体温が一気に上昇した。
「随分熱が上がって来たね。・・・もっと良く効く薬が必要みたいだ。」
白衣を脱いだテヨンの目に揺らぐ炎を、パク・ハは力なく見つめる。
ヨン・テヨン医師は、そのまま患者を抱き上げベッドに運んだのだった。
特効薬を与えるために。
___________
どこまで続ける?
そこはかとなくエロい「ごっこ遊び」。
漏れ出る妄想を留める術を知らない私でした。

タイトルとカテゴリで、その内容はなんとなく予想がついてたと思います。
オチもこうなるだろうと思われてたと思います。
寒いんだもの。
寒いから暖まりたいんだもの。
と言うわけで、日の高いうちからパク・ハを翻弄するテヨンでした。

連載がうっ止まってて申し訳ない限りですが・・・
書きやすいものから書かないと、皆様をキリン化してしまうんですもの・・・。
って言い訳です。
許して。

~ Comment ~
連載であれ、なんであれ....
楽しませていただいております!お医者さんごっこ、
ちょっと、これとは違うけど、幼い頃、大好きでしたよ。
お医者さんでなく、患者になるのが好きでした。
内科系、うんと丈夫な私は、弱いのに憧れてましたから....
朝礼の時、めまいとかしてみたかったです!
(友達にそんな人がいて、なぐられそうになりましたけど)
テヨンが相手なら、どっちの役も喜んで....
ちょっと、これとは違うけど、幼い頃、大好きでしたよ。
お医者さんでなく、患者になるのが好きでした。
内科系、うんと丈夫な私は、弱いのに憧れてましたから....
朝礼の時、めまいとかしてみたかったです!
(友達にそんな人がいて、なぐられそうになりましたけど)
テヨンが相手なら、どっちの役も喜んで....
まずいですって!
大人のお医者さんごっこはー、
だってお注射ってっっ!(σ≧▽≦)σ
…おっと、鼻血が。
医者テヨン、内科系医の設定ですか?
その方が、知的っぽいですもんね!
整形なんて大工ですからね!
でも、足の指先から舐めるように撫で上げていく感じとか、「敢えて痛いことするのが整形だから」なんてSチックなことを言ってみたりも良いですよね、
テヨンなら!(力込めて)
病棟回診で、特室の扉締め切って、何してるんだろうテヨン先生、あの部屋、パクハさんだよね、先生の好み、どストライクだもんさー、
とか、カウンターで噂したいです。
いや、敢えてそこで服薬指導に割って入りたい。
たとえ、点数取れない日でも!
…久々のコメントなのに、申し訳ありません。
とても、楽しかったです。ふふふ。
だってお注射ってっっ!(σ≧▽≦)σ
…おっと、鼻血が。
医者テヨン、内科系医の設定ですか?
その方が、知的っぽいですもんね!
整形なんて大工ですからね!
でも、足の指先から舐めるように撫で上げていく感じとか、「敢えて痛いことするのが整形だから」なんてSチックなことを言ってみたりも良いですよね、
テヨンなら!(力込めて)
病棟回診で、特室の扉締め切って、何してるんだろうテヨン先生、あの部屋、パクハさんだよね、先生の好み、どストライクだもんさー、
とか、カウンターで噂したいです。
いや、敢えてそこで服薬指導に割って入りたい。
たとえ、点数取れない日でも!
…久々のコメントなのに、申し訳ありません。
とても、楽しかったです。ふふふ。
- #1253 さち
- URL
- 2016.02/19 01:15
- ▲EntryTop
Re: みるくまま様へ
みるくまま様
> 連載も良いですが、こんな単発もいいですねぇ
楽しんで頂けて嬉しいです。
妄想が止まらなくなると忘れないうちに書く感じです。
結果、知らないうちにシリーズ化されてしまうと言う、しかも短期で・・・。(苦笑)
> いつもいつも楽しませてくれてありがとうございます!!
こちらこそいつもお越しくださりコメントまで。
ホントにありがとうございます。
> 連載も良いですが、こんな単発もいいですねぇ
楽しんで頂けて嬉しいです。
妄想が止まらなくなると忘れないうちに書く感じです。
結果、知らないうちにシリーズ化されてしまうと言う、しかも短期で・・・。(苦笑)
> いつもいつも楽しませてくれてありがとうございます!!
こちらこそいつもお越しくださりコメントまで。
ホントにありがとうございます。
Re: やすべぇ様へ
やすべぇ様
そのように言って頂けて感謝であります。
更新頻度にムラのあるブログですので、皆様の忍耐力と優しさだけが頼りです。(涙)
> 朝礼の時、めまいとかしてみたかったです!
> (友達にそんな人がいて、なぐられそうになりましたけど)
あ、分かります。病弱に見られるのに憧れたりして・・・本当に病弱な方からは怒られそうですけど・・・(汗)
> テヨンが相手なら、どっちの役も喜んで....
そうですよね!あ、でも、私、やはり患者がいいかも。♡
そのように言って頂けて感謝であります。
更新頻度にムラのあるブログですので、皆様の忍耐力と優しさだけが頼りです。(涙)
> 朝礼の時、めまいとかしてみたかったです!
> (友達にそんな人がいて、なぐられそうになりましたけど)
あ、分かります。病弱に見られるのに憧れたりして・・・本当に病弱な方からは怒られそうですけど・・・(汗)
> テヨンが相手なら、どっちの役も喜んで....
そうですよね!あ、でも、私、やはり患者がいいかも。♡
Re: p********53様へ
p********53さま
こちらこそ、いつもお越しいただきましてありがとうございます。
チョハ version・・・・
すみません、正直考えていませんでした。(汗)
チョハなら脈診して、煎じ薬を(臣下に)準備させて・・・終わり?
ああ、ドラマ内ではパク・ハはホントに病気でしたもんね。そっか、これは「ごっこ遊び」ですもんね。
設定を思いつくといいですけど・・・今の所、なんも思いついてませんです。スミマセン。
こちらこそ、いつもお越しいただきましてありがとうございます。
チョハ version・・・・
すみません、正直考えていませんでした。(汗)
チョハなら脈診して、煎じ薬を(臣下に)準備させて・・・終わり?
ああ、ドラマ内ではパク・ハはホントに病気でしたもんね。そっか、これは「ごっこ遊び」ですもんね。
設定を思いつくといいですけど・・・今の所、なんも思いついてませんです。スミマセン。
Re: さち様へ
さち様
ありあまるお気持ちのコメ、大変うれしいです。ww
さすが、ご職業柄のコメントで、なるほどぉと感激してしまいました。
テヨン先生、パク・ハさんの回診だけやたらに長いよねぇ、とか?
妄想して一人でにやけてました。(笑)
> だってお注射ってっっ!(σ≧▽≦)σ
もちろん、特効薬はお注射で・・・( ´艸`)
楽しいコメをありがとうございました。
ありあまるお気持ちのコメ、大変うれしいです。ww
さすが、ご職業柄のコメントで、なるほどぉと感激してしまいました。
テヨン先生、パク・ハさんの回診だけやたらに長いよねぇ、とか?
妄想して一人でにやけてました。(笑)
> だってお注射ってっっ!(σ≧▽≦)σ
もちろん、特効薬はお注射で・・・( ´艸`)
楽しいコメをありがとうございました。
- #1260 ありちゃん
- URL
- 2016.02/22 17:13
- ▲EntryTop
Re: て*****様へ
て*****さまへ
テヨン先生の特効薬が必要なのは、私もです!(笑)
「ごっこ遊び」シリーズにハマって頂いてありがとうございます。(笑)
私自身がハマっちゃったから、シリーズ化しちゃったんですけどね。
他にどんな「ごっこ遊び」がありますかねぇ?
大人がやって楽しいものって・・・。
テヨン先生の特効薬が必要なのは、私もです!(笑)
「ごっこ遊び」シリーズにハマって頂いてありがとうございます。(笑)
私自身がハマっちゃったから、シリーズ化しちゃったんですけどね。
他にどんな「ごっこ遊び」がありますかねぇ?
大人がやって楽しいものって・・・。
NoTitle
エロいの嫌いじゃないです・・・・むしろ好きですっ!(/ω\)
連載も良いですが、こんな単発もいいですねぇ
いつもいつも楽しませてくれてありがとうございます!!