同じ空の下

「小話ボタン」に掲載していた小話を集めたものです。
※「小話ボタン」からは取り下げました。


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テヨンの復興支援（支援物資）


本部長、日本の九州で大地震が起こりました。

何だって？大変じゃないか！
すぐに支援物資を用意してください！

はい。何を、どれだけ手配しましょうか？

そうですね・・・まずは飲料水を。空輸で可能な分だけ。
とりあえず、１０００万ほど寄付もするようにしましょう。
継続的に支援できるようチームも組む必要がありますね。
キムチーム長、そちらのチームも任せていいですか？

はい、もちろんです。では、早速。


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テヨンの復興支援（寄付）


ノックの音がした。

僕は書類に目を通しながら、はい、と返事をする。
ドアが開いて現れたのはユウチーム長だった。

「本部長。緊急の企画を提案します。」

「何の企画ですか？」

僕は書類を捲る手を止めずに言った。

「今、日本の大地震を受けて人々の防災意識が高まっています。
防災グッズの売上げの一部を、支援金として寄付してはどうでしょうか？」

え？
ユウチーム長にしては、いいこと言うじゃないか。

僕はユウチーム長を見た。

「企業イメージがＵＰすること間違いなしです。」

・・・そういうことか。
思わず、小さく溜息を漏らしてしまう。

「どうせなら、売上げを全額寄付しましょう。」

「え！全額ですか？」

「ええ。特定商品の１日分の売上げを全額。」

「原価分も？」

「そうです。」

ユウチーム長は、そんな、と呟き更に何か言おうとした。
僕は手を上げてそれを制する。

「全体から見ればごくわずかな商品の、それもたった１日分の売上です。
最初から利益はないものと考えれば、
商品の原価分と経費分を寄付するのと同じことです。」

ユウチーム長は少し考える素振りを見せて頷いた。

「こちらが支出する額以上の金額を寄付できるという訳ですね。
企業イメージも高まるし、被災地も喜ぶ。
流石は本部長！抜け目がないですね。」

あんたじゃあるまいに・・・まあ、いいさ。

「急いで相応しい商品をピックアップしてください。」

ユウチーム長は、はい、と言って部屋を出て行った。


彼女が有能なのは確かだ。動機はどうあれ、支援につながるなら悪いことじゃない。


さてと、僕は社長に許可を得てくることにしよう。


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テヨンの復興支援（ツアー）


ノックの音がした。
僕は書類を捲る手を止めて、はい、と返事をする。
ドアが開いて現れたのはユウチーム長だった。

「本部長、お呼びでしょうか？」

「ええ。お待ちしてましたよ。」

ユウチーム長は僕のデスクの前まで進み出た。

「ユウチーム長。
先日の支援企画はとても良かった。
商品の選定をあなたに任せて正解だったな。
流石ですね。」

ユウチーム長は小さくいいえと言って首を横に振る。
だけど、その表情は嬉しそうだった。

「今度は、パッケージツアーを企画してくれませんか？
旅行先は、日本の九州で。」

「えっ？」

デスクの上で手を組む僕を、ユウチーム長が驚いた顔で見ている。

「今、この時に？
よりによって九州へのパッケージツアーを、ですか？」

「そうです。
被害の少なかった地域ではお店も営業し始めてる。
無傷のレジャー施設、宿泊施設もたくさんある。
それなのに、有名な温泉地も閑古鳥が鳴いていると聞きます。」

「なるほど！穴場だという訳ですね！
高級旅館も簡単に押さえられるでしょうし・・・
交渉次第ではぐっと安価にできるかも知れない・・・。」

いや、そうではないんだけど・・・。まあ、いいさ。

「全体的なプランニングはあなたにお任せしますが
安全面と危機管理の体制だけはしっかりとお願いします。
そして、あんまり安く買い叩かないでくださいよ。
こういう時に取引相手を苛めてしまうのは、よろしくない。」

「はい。恩を売っておいて損はないですからね。」

そうじゃない！！

流石にギロリと睨んでやると、ユウチーム長は肩を竦めた。

「早速リサーチしたいと思います。」

一礼すると、有能美人チーム長は逃げるように部屋を出て行った。

まったく・・・

僕は思わす溜息を吐く。

確かに有能なんだよ。あの人は・・・。
結果的に支援になるなら、動機は問うまい。
彼女なら上手くやるに違いないのだから。