「短編集」
読みきり
素敵なヒト
素敵なヒトに出会った。
バイト先のカフェで、窓拭きをしていたの。
高い所は背が届かなくて、ぴょんぴょんとジャンプしながら拭いていた。
何度目かのジャンプの後、着地に失敗して倒れそうになって・・・
「きゃあっ!」
盛大に叫び声を上げて、頭から床に突っ込みそうになる。
ぎゅっと目を瞑った。
ん?
あたし、宙に浮いてる?
違う。
誰かが抱き留めてくれてるんだ。
「大丈夫かい?」
そーっと目を開けると、男のヒトがあたしの顔を覗き込んでいた。
「立てる?」
こくこくと頷いて、私は身体を起こした。
そのヒトはあたしの手を取って支えてくれた。
「すみません!」
「いや、怪我がなくて良かったよ。」
「あ、ありがとうございます!!」
「高い所は、踏み台を使った方がいいね。」
そのヒトは、くすりと笑って店の奥に入って行った。
思わず、その後ろ姿をぼーっと眺めていたら、先輩に大声で呼ばれた。
あたしは慌ててキッチンに向かう。
はあぁ。
素敵なヒト、だったな。
◇◇◇
いつも行ってるフレッシュジュースのお店。
そこのオンニも素敵なヒトで、あたしはオンニに憧れていた。
「オンニ!素敵なヒトに出会ったの!」
オンニはジュースのカップを手渡してくれながら、ふふ、と笑った。
「へぇ、どんな人?・・・どこで会ったの?」
「バイト先!背が高くてね、笑顔がとっても素敵だったの。」
倒れかけたあたしを抱き留めてくれたこと、優しく気遣ってくれたこと、
とにかく、全部が素敵だったと、オン二に報告した。
「また、お客として来てくれるといいわね。」
「うん!オンニ、ありがとう!」
それから、そのヒトと会うことはなかった。
あたしのシフトでないときに来てるんじゃないかと、先輩に聞いてみたんだけれど、分からないと言われた。
名前くらい訊いておけば良かった。
彼女、いるのかな?
・・・いる、よね。女の子に放っとかれない感じだもの。
いつものように、オンニのお店に向かった。
ウィンドウから見える店内に、何人かのお客さんがいる。
一人の男性客を残して、みんなジュースカップを片手にお店を出るところだった。
あたしもお店に入ろうと、入り口のガラス戸を押そうとした。
その時
男性客が、オンニの唇に掠めるようにキスをしたのが見えた。
オンニは、あんぽんたん!と言いながら拳を握って持ち上げてる。
キスしたその男性は、大袈裟に仰け反って避ける振りをする。
二人とも幸せそうに笑ってた。
その男性客は・・・
素敵な、あのヒトだった。
あーあ。
再会したと思ったら、こんな場面だなんて。
結構、本気で好きだったのに。
・・・オンニ相手じゃ、敵わないよ。
ガラス戸を押そうとしていた手を下ろし、回れ右をする。
涙が頬を伝った。
あたしだって、オンニに負けないくらい素敵になって!
あのヒトに負けないくらい素敵なヒトを捕まえてやるんだから!!
破れた恋は、ほんのちょっぴりほろ苦かったけれど
あんな風に幸せそうに、笑い合えたら・・・素敵よね
と、そう思った。
バイト先のカフェで、窓拭きをしていたの。
高い所は背が届かなくて、ぴょんぴょんとジャンプしながら拭いていた。
何度目かのジャンプの後、着地に失敗して倒れそうになって・・・
「きゃあっ!」
盛大に叫び声を上げて、頭から床に突っ込みそうになる。
ぎゅっと目を瞑った。
ん?
あたし、宙に浮いてる?
違う。
誰かが抱き留めてくれてるんだ。
「大丈夫かい?」
そーっと目を開けると、男のヒトがあたしの顔を覗き込んでいた。
「立てる?」
こくこくと頷いて、私は身体を起こした。
そのヒトはあたしの手を取って支えてくれた。
「すみません!」
「いや、怪我がなくて良かったよ。」
「あ、ありがとうございます!!」
「高い所は、踏み台を使った方がいいね。」
そのヒトは、くすりと笑って店の奥に入って行った。
思わず、その後ろ姿をぼーっと眺めていたら、先輩に大声で呼ばれた。
あたしは慌ててキッチンに向かう。
はあぁ。
素敵なヒト、だったな。
◇◇◇
いつも行ってるフレッシュジュースのお店。
そこのオンニも素敵なヒトで、あたしはオンニに憧れていた。
「オンニ!素敵なヒトに出会ったの!」
オンニはジュースのカップを手渡してくれながら、ふふ、と笑った。
「へぇ、どんな人?・・・どこで会ったの?」
「バイト先!背が高くてね、笑顔がとっても素敵だったの。」
倒れかけたあたしを抱き留めてくれたこと、優しく気遣ってくれたこと、
とにかく、全部が素敵だったと、オン二に報告した。
「また、お客として来てくれるといいわね。」
「うん!オンニ、ありがとう!」
それから、そのヒトと会うことはなかった。
あたしのシフトでないときに来てるんじゃないかと、先輩に聞いてみたんだけれど、分からないと言われた。
名前くらい訊いておけば良かった。
彼女、いるのかな?
・・・いる、よね。女の子に放っとかれない感じだもの。
いつものように、オンニのお店に向かった。
ウィンドウから見える店内に、何人かのお客さんがいる。
一人の男性客を残して、みんなジュースカップを片手にお店を出るところだった。
あたしもお店に入ろうと、入り口のガラス戸を押そうとした。
その時
男性客が、オンニの唇に掠めるようにキスをしたのが見えた。
オンニは、あんぽんたん!と言いながら拳を握って持ち上げてる。
キスしたその男性は、大袈裟に仰け反って避ける振りをする。
二人とも幸せそうに笑ってた。
その男性客は・・・
素敵な、あのヒトだった。
あーあ。
再会したと思ったら、こんな場面だなんて。
結構、本気で好きだったのに。
・・・オンニ相手じゃ、敵わないよ。
ガラス戸を押そうとしていた手を下ろし、回れ右をする。
涙が頬を伝った。
あたしだって、オンニに負けないくらい素敵になって!
あのヒトに負けないくらい素敵なヒトを捕まえてやるんだから!!
破れた恋は、ほんのちょっぴりほろ苦かったけれど
あんな風に幸せそうに、笑い合えたら・・・素敵よね
と、そう思った。
~ Comment ~
Re: や***様へ
や***さま
私もそう思います。
そのようなメッセージ性を込めたつもりでもありませんでしたが・・・
皆様の思いが私のお話を通じて現れたのかもォ。
書かされましたね。(^.^)
私もそう思います。
そのようなメッセージ性を込めたつもりでもありませんでしたが・・・
皆様の思いが私のお話を通じて現れたのかもォ。
書かされましたね。(^.^)
Re: ほ**様へ
ほ**さま
そうです、そうです。
ファンが多すぎて・・・
彼女と同じ思いをした人はいっぱいいるはずです。
でも、みんな、好きな人の幸せを願ってる。
それで、みんなも幸せになる。めでたし、めでたし。w
そうです、そうです。
ファンが多すぎて・・・
彼女と同じ思いをした人はいっぱいいるはずです。
でも、みんな、好きな人の幸せを願ってる。
それで、みんなも幸せになる。めでたし、めでたし。w
Re: 宝***様へ
宝***さま
お久しぶりです!
雨ですねぇ。スゴイ降りましたが、私自身は被害なしです。無事です。
ご心配下さってありがとうございます。
テヨン以上に素敵なヒト・・・確かに、いない可能性の方が高い。(´・_・`)
テヨンの次ぐらいを探すとか・・・。
お心遣い感謝!
宝***さんもご自愛くださいませ。
お久しぶりです!
雨ですねぇ。スゴイ降りましたが、私自身は被害なしです。無事です。
ご心配下さってありがとうございます。
テヨン以上に素敵なヒト・・・確かに、いない可能性の方が高い。(´・_・`)
テヨンの次ぐらいを探すとか・・・。
お心遣い感謝!
宝***さんもご自愛くださいませ。
Re: ま***様へ
ま***さま
はい。たまにはこういう手法も面白いかと・・・。
仰る通り、羨ましくも応援したくなる二人なのです。♡
はい。たまにはこういう手法も面白いかと・・・。
仰る通り、羨ましくも応援したくなる二人なのです。♡
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