「短話シリーズ」
雷
落雷
部下へ差し入れをするために、パク・ハさんのジュースショップにやって来た。
他愛もない会話をしながら、ジュースが出来上がるのを待っていた。
ふと外に目を向けると、だんだんと薄暗くなってくる。
「一雨、来そうですね。」
私の言葉が合図だったかのように空は厚い雲に覆われて来て、やがて大粒の雨が降り出した。
そのうち、ゴロゴロと雷も鳴り始める。
「雷も鳴り出したわ。雨宿りしていく時間はあります?」
「ええ、今は仕事も一段落していますし。」
パク・ハさんはカウンターから出てきて、外の様子を心配そうに眺めていた。
雷が光るのと、ゴロゴロという音がする間隔が狭まって来る。
雨は益々強まった。
眩しいほどに空が光り、同時に爆音が響く。
ガラガラガラ!ドッシャーン!!
天井もビリビリと震えていた。
これは、落ちたな。
「きゃあっ!!」
パク・ハさんが叫んだのも、落雷とほぼ同時だった。
停電して、店中のライトも消えてしまった。
そして
あろうことか、パク・ハさんは私に抱き付いていた。
私も一瞬何が起こったのか分からずにいて、パク・ハさんの腕が私の背中に廻されているものだから、両手を上げて万歳の格好になっていた。
大丈夫ですか?
そう声を掛けようとした時、カランと音がした。
「すごい雷だね。パッ・・・。」
ガラス戸を押して入って来たのは・・・・ヨン・テヨン本部長、その人だった。
私の上司であり、私に抱き付いている女性の、婚約者である。
これは、まずい状況だ。
本部長は、パク・ハさんの名前を最後まで口にすることなく、大きく目を見開いて私を凝視している。
私は、(何度も繰り返すが)パク・ハさんに抱き付かれているのだ。
彼女はぎゅっと目を瞑っている。
(これも繰り返しになるが)非常にまずい状況だ。
本部長。
・・・・・・私は、今、ただの『 柱 』です。
電気が戻り、ライトが点いた。
パク・ハさんは目を開けて、あ、と言って私から離れた。
「テヨンさん。濡れちゃった?すごい雷ね。」
彼女は、何事もなかったかのように、カウンターの中からタオルを出して来たと思ったら、本部長に手渡そうとする。
パク・ハさんは全く動じていない。
いや、彼女は落雷に驚いて近くの『 柱 』に抱き付いただけであって・・・私にしたってやましい所はないのだから・・・
パク・ハさん!
貴女から弁明してください!!
「本部長・・・あの・・・。」
ガラガラガラ!ドン!ドッシャーン!
「きゃあっ!!」
また、雷が落ちた、らしい。
私の目の前では、パク・ハさんが本部長に抱き付いていた。
本部長は、すぐさま彼女の背中に手を廻し、私から見ても分かるくらいに腕に力を込めている。
そして、パク・ハさんの肩越しに私に視線を送って来た。
今までに見たこともない、冷ややかな目で、私を、見ている。
唇の片端を上げたかと思ったら、私に見せつけるように、パク・ハさんに口づけた。
それは、愛し合う恋人同士が二人きりになったときに交わす、そんな口づけ。
出て行きたくても外は土砂降り。
よしんば傘を持っていたとして、この二人の横を通らねば、外に出ることは叶わない。
私はいたたまれなくなって、くるりと二人に背を向けた。
本部長とパク・ハさんの、形容することも憚られるような息遣いが聞こえる。
わざと、私に聞かせている、らしい。
本部長、勘弁してください。
雷を落としてくれた方が、まだ、マシと言うものです。
他愛もない会話をしながら、ジュースが出来上がるのを待っていた。
ふと外に目を向けると、だんだんと薄暗くなってくる。
「一雨、来そうですね。」
私の言葉が合図だったかのように空は厚い雲に覆われて来て、やがて大粒の雨が降り出した。
そのうち、ゴロゴロと雷も鳴り始める。
「雷も鳴り出したわ。雨宿りしていく時間はあります?」
「ええ、今は仕事も一段落していますし。」
パク・ハさんはカウンターから出てきて、外の様子を心配そうに眺めていた。
雷が光るのと、ゴロゴロという音がする間隔が狭まって来る。
雨は益々強まった。
眩しいほどに空が光り、同時に爆音が響く。
ガラガラガラ!ドッシャーン!!
天井もビリビリと震えていた。
これは、落ちたな。
「きゃあっ!!」
パク・ハさんが叫んだのも、落雷とほぼ同時だった。
停電して、店中のライトも消えてしまった。
そして
あろうことか、パク・ハさんは私に抱き付いていた。
私も一瞬何が起こったのか分からずにいて、パク・ハさんの腕が私の背中に廻されているものだから、両手を上げて万歳の格好になっていた。
大丈夫ですか?
そう声を掛けようとした時、カランと音がした。
「すごい雷だね。パッ・・・。」
ガラス戸を押して入って来たのは・・・・ヨン・テヨン本部長、その人だった。
私の上司であり、私に抱き付いている女性の、婚約者である。
これは、まずい状況だ。
本部長は、パク・ハさんの名前を最後まで口にすることなく、大きく目を見開いて私を凝視している。
私は、(何度も繰り返すが)パク・ハさんに抱き付かれているのだ。
彼女はぎゅっと目を瞑っている。
(これも繰り返しになるが)非常にまずい状況だ。
本部長。
・・・・・・私は、今、ただの『 柱 』です。
電気が戻り、ライトが点いた。
パク・ハさんは目を開けて、あ、と言って私から離れた。
「テヨンさん。濡れちゃった?すごい雷ね。」
彼女は、何事もなかったかのように、カウンターの中からタオルを出して来たと思ったら、本部長に手渡そうとする。
パク・ハさんは全く動じていない。
いや、彼女は落雷に驚いて近くの『 柱 』に抱き付いただけであって・・・私にしたってやましい所はないのだから・・・
パク・ハさん!
貴女から弁明してください!!
「本部長・・・あの・・・。」
ガラガラガラ!ドン!ドッシャーン!
「きゃあっ!!」
また、雷が落ちた、らしい。
私の目の前では、パク・ハさんが本部長に抱き付いていた。
本部長は、すぐさま彼女の背中に手を廻し、私から見ても分かるくらいに腕に力を込めている。
そして、パク・ハさんの肩越しに私に視線を送って来た。
今までに見たこともない、冷ややかな目で、私を、見ている。
唇の片端を上げたかと思ったら、私に見せつけるように、パク・ハさんに口づけた。
それは、愛し合う恋人同士が二人きりになったときに交わす、そんな口づけ。
出て行きたくても外は土砂降り。
よしんば傘を持っていたとして、この二人の横を通らねば、外に出ることは叶わない。
私はいたたまれなくなって、くるりと二人に背を向けた。
本部長とパク・ハさんの、形容することも憚られるような息遣いが聞こえる。
わざと、私に聞かせている、らしい。
本部長、勘弁してください。
雷を落としてくれた方が、まだ、マシと言うものです。
~ Comment ~
映画のワンシーン
を見ているような、音響も、画面も~
いいなぁ、抱き付くひとがすぐ傍にいて~
東京は今日は雨です。
テヨン様に抱きしめて貰えるなら、雷も落ちてもいいよ!
(幼い時から、大の雷嫌い...)
いいなぁ、抱き付くひとがすぐ傍にいて~
東京は今日は雨です。
テヨン様に抱きしめて貰えるなら、雷も落ちてもいいよ!
(幼い時から、大の雷嫌い...)
Re: めい様へ
めいさま
> 今までで一番好きかもしれません!
お気に入って頂けて、恐悦至極。私も好きなんですよね。ツボが一緒ですね。w
> 本部長、ちょっとしつこいかもですが、
実は粘着質です。w
> パッカの自然体でチーム長スルーしてますし、
笑っちゃいますよね。w
> チーム長も危機管理すごいと思いますし、
できる男ですから・・・
> この展開、いいなぁ。
ありがとうございます。
明日は、この続きをちらっとお見せしますよ。
> 今までで一番好きかもしれません!
お気に入って頂けて、恐悦至極。私も好きなんですよね。ツボが一緒ですね。w
> 本部長、ちょっとしつこいかもですが、
実は粘着質です。w
> パッカの自然体でチーム長スルーしてますし、
笑っちゃいますよね。w
> チーム長も危機管理すごいと思いますし、
できる男ですから・・・
> この展開、いいなぁ。
ありがとうございます。
明日は、この続きをちらっとお見せしますよ。
Re: やすべぇ様へ
やすべぇ様
映画のワンシーンなんて・・・ありがとうございます。
音に映像、そんな風に言って頂けてホントに嬉しい。
> 東京は今日は雨です。
熊本も凄い雨で・・・また被害が・・・やぁめぇてぇ。
> テヨン様に抱きしめて貰えるなら、雷も落ちてもいいよ!
はい、はい、はい!!それはその通りでございます!!
映画のワンシーンなんて・・・ありがとうございます。
音に映像、そんな風に言って頂けてホントに嬉しい。
> 東京は今日は雨です。
熊本も凄い雨で・・・また被害が・・・やぁめぇてぇ。
> テヨン様に抱きしめて貰えるなら、雷も落ちてもいいよ!
はい、はい、はい!!それはその通りでございます!!
Re: ほ**様へ
ほ**様
コメありがとうございます。
うふふ、私も『柱』欲しいです。w
大黒柱かな?(←意味違うし)
テヨンの嫉妬の様相は如何に?
明日をお楽しみに。♪
コメありがとうございます。
うふふ、私も『柱』欲しいです。w
大黒柱かな?(←意味違うし)
テヨンの嫉妬の様相は如何に?
明日をお楽しみに。♪
Re: ま***様へ
ま***様
キムチーム長、ムチャクチャ焦ったでしょうけど、あんまり顔には出してなさそうです。(笑)
ま***さんに笑って頂けて良かったです。
キムチーム長、ムチャクチャ焦ったでしょうけど、あんまり顔には出してなさそうです。(笑)
ま***さんに笑って頂けて良かったです。
これ!