「長編(完結)」
贈り物
贈り物 9 〈最終話〉
僕の差し出した腕に、パッカもその腕を絡ませてくる。
微笑みを交わして、歩き出した。
パッカのお母さんが予約しておいてくれたと言うこのホテルのレストランは、趣があって雰囲気も良かった。
もちろん、料理も美味しかった。
ワインで乾杯して、ゆったりと運ばれてくるコース料理に舌鼓を打つ。
静かに談笑しながら、パッカとのひとときを楽しんだ。
お義母さんに感謝しながら、誕生日の特別な料理を楽しんではいた。
だが、しかし・・・
パッカの胸元のリボンが気になって仕方ない。
解くのは背中のリボンの方になるのだろうが、正面の大きなリボンがそれを連想させるのだ。
食事の前に、背中なんか見るんじゃ、なかったな。
僕は彼女に気付かれないよう、小さく息を吐いた。
パッカもその気だったはずで、すんなりとベッドルームに連れ込んだのに・・・
パッカが準備していた「贈り物」。多分、彼女自身も忘れてたんだ。
忘れてるなら忘れてるで構わなかったのに・・・・。
翌朝になった所で、文句なんて言いはしないのに・・・。
受け取ったカフリンクスは、確かに素晴らしい「贈り物」であることに間違いはなく、僕も心の底から嬉しかった。
彼女の為に僕がデザインした蝶のピアスと全く同じデザインで、その大きさと素材だけが違っている。
当然、揃いで着けて誰かに見せびらかしてやりたいような、そんな気分になった。
パッカも、それを着けた僕と出かけたかったんだと思う。
髪を上げないでピアスを隠していたのも、サプライズの為の演出だったのだろうと思うのは、僕の欲目だろうか・・・。
だから、下ろしてあった彼女の綺麗な髪を、結い上げてほしいと頼んだんだ。
だけど・・・
それも失敗だったな。
露わになった首筋から肩にかけてのラインが・・・僕を煽る。
ゆったりと運ばれてくるコース料理。
美味しくはあったのだけれど、集中はしていなかった。
お義母さん、すみません。
貴女が彼女に綺麗なラッピングを施して、リボンを掛けて僕に渡したから・・・
正直、食事までは要らなかったと思ってしまうのです。
◇◇◇
食事を終えてホテルの離れ に戻った。
これからが、僕にとっては誕生日の一大イベントの始まりで・・・。
発動しかかって押さえつけられた分、異様に高まってきてしまう。
だけど、そんな高まりを剥きだ出しにするのもどうかと思うし・・・
つまり、タイミングを計っていた。
リビングのソファに、余裕がある風を装って座る。
「パッカ。」
ソファの隣をぽんぽんと叩いてそこに座るよう促す。
彼女は頷いてそこに座った。
「美味しかったわね。雰囲気 も良くて。」
「そうだね。」
僕は彼女の肩を抱いた。
そのままキス・・・
しようとした瞬間に、部屋に備え付けられている電話が鳴った。
・・・無視、でいいか。
続行しようとするが、パッカが小さな声で、電話が、と言う。
一体、何の用だよ?
内心舌打ちをしながら、仕方なしに迷惑な電話に応じる。
「もしもし?」
『フロントでございます。ヨン・テヨン様でいらっしゃいますか?』
「ああ、そうだけど。」
『お客様にお届け物を言いつかっております。お部屋へお伺いしてもよろしいでしょうか?』
いきなり訪ねて来ない辺りは、さすが高級と言われるホテルではある。
まあ、ダブルの部屋に男女二人の泊り客なら気を遣って当然か・・・。
「今すぐ?・・・良ければ、明日にしてくれないか?」
思わず憮然と答えた。
『お休みの所、大変申し訳ございません。
ご依頼主様から、今日中にと承っておりまして・・・ご都合が悪ければ明日に致しますが・・』
今日中って・・・。
僕は腕時計を見た。レストランでゆっくりしたから、もうとっくに10時をまわってる。
「依頼主は誰?」
『チャン・ソンジュ様でございます。』
え?お義母さん?・・・更に何を・・・。
「分かった。すぐに持って来て。」
『かしこまりました。』
そうして受話器を置いた。
「テヨンさん、何?」
「君のお母さんから、僕に届け物だそうだよ。もう、十分もらってるのにね。」
お義母さんからの届け物を見て、僕もパッカも唖然とした。
ホテルマンが部屋を訪ねてきて置いて行ったものは、特大のバースデーケーキ。
僕とパッカしかいないのに、これを二人でどうやって食べろと・・・。
二人で顔を見合わせて、次には二人とも吹き出してしまった。
「やだ、オンマったら。」
「ほんとにすごいよね。コレ。」
あはは、うふふ、と声を出して笑い合う。
もう終いには、何が可笑しいんだかもよく分からなかったけど、お腹を抱えて、涙を流して笑い合って
それがどうにも楽しくて・・・
僕は幸せだった。
ひとしきり笑い合って、息を整えようとしていたんだけれど、ひぃひぃと息が漏れる。
それがまた可笑しくて、一向に笑いは治まらない。
パッカと見つめ合って、笑い合って
幸せを実感する。
僕は、本当に幸せだ。
「テヨンさん、お誕生日おめでとう。」
「パッカ、愛してるよ。最高の誕生日だ。」
これからも時を重ねれば誕生日はやって来る。
君さえいれば、その度に「最高だ」と思える誕生日になるに違いない。
そのバースデーケーキを少しだけ切り分けて、二人で食べた。
「お義母さんは、やっぱり『最高の贈り物』を僕にくださったよ。」
ありったけの思いを込めて彼女に口づけた。
そして、パッカのリボンを
解いた。
《おわり》
___________
皆様、こんにちは。
「贈り物」これにて完結でございます。
思いのほか時間がかかってしまって申し訳なかったです。
リボンを解いて、ラッピングを解いてどうなったかは・・・
皆様の妄想(あえて想像とは言わないww)に委ねます。
妄想で様々なストレスを乗り越えて、みんな、みんな、幸せになりましょう!!
(書きながら泣いてた私はバボですが・・・苦笑)
ここまで「贈り物」にお付き合いいただきましてありがとうございました。
同じ空の下、苦しみを感じている総ての人が、笑顔になれますように。
ありちゃん
微笑みを交わして、歩き出した。
パッカのお母さんが予約しておいてくれたと言うこのホテルのレストランは、趣があって雰囲気も良かった。
もちろん、料理も美味しかった。
ワインで乾杯して、ゆったりと運ばれてくるコース料理に舌鼓を打つ。
静かに談笑しながら、パッカとのひとときを楽しんだ。
お義母さんに感謝しながら、誕生日の特別な料理を楽しんではいた。
だが、しかし・・・
パッカの胸元のリボンが気になって仕方ない。
解くのは背中のリボンの方になるのだろうが、正面の大きなリボンがそれを連想させるのだ。
食事の前に、背中なんか見るんじゃ、なかったな。
僕は彼女に気付かれないよう、小さく息を吐いた。
パッカもその気だったはずで、すんなりとベッドルームに連れ込んだのに・・・
パッカが準備していた「贈り物」。多分、彼女自身も忘れてたんだ。
忘れてるなら忘れてるで構わなかったのに・・・・。
翌朝になった所で、文句なんて言いはしないのに・・・。
受け取ったカフリンクスは、確かに素晴らしい「贈り物」であることに間違いはなく、僕も心の底から嬉しかった。
彼女の為に僕がデザインした蝶のピアスと全く同じデザインで、その大きさと素材だけが違っている。
当然、揃いで着けて誰かに見せびらかしてやりたいような、そんな気分になった。
パッカも、それを着けた僕と出かけたかったんだと思う。
髪を上げないでピアスを隠していたのも、サプライズの為の演出だったのだろうと思うのは、僕の欲目だろうか・・・。
だから、下ろしてあった彼女の綺麗な髪を、結い上げてほしいと頼んだんだ。
だけど・・・
それも失敗だったな。
露わになった首筋から肩にかけてのラインが・・・僕を煽る。
ゆったりと運ばれてくるコース料理。
美味しくはあったのだけれど、集中はしていなかった。
お義母さん、すみません。
貴女が彼女に綺麗なラッピングを施して、リボンを掛けて僕に渡したから・・・
正直、食事までは要らなかったと思ってしまうのです。
◇◇◇
食事を終えてホテルの
これからが、僕にとっては誕生日の一大イベントの始まりで・・・。
発動しかかって押さえつけられた分、異様に高まってきてしまう。
だけど、そんな高まりを剥きだ出しにするのもどうかと思うし・・・
つまり、タイミングを計っていた。
リビングのソファに、余裕がある風を装って座る。
「パッカ。」
ソファの隣をぽんぽんと叩いてそこに座るよう促す。
彼女は頷いてそこに座った。
「美味しかったわね。
「そうだね。」
僕は彼女の肩を抱いた。
そのままキス・・・
しようとした瞬間に、部屋に備え付けられている電話が鳴った。
・・・無視、でいいか。
続行しようとするが、パッカが小さな声で、電話が、と言う。
一体、何の用だよ?
内心舌打ちをしながら、仕方なしに迷惑な電話に応じる。
「もしもし?」
『フロントでございます。ヨン・テヨン様でいらっしゃいますか?』
「ああ、そうだけど。」
『お客様にお届け物を言いつかっております。お部屋へお伺いしてもよろしいでしょうか?』
いきなり訪ねて来ない辺りは、さすが高級と言われるホテルではある。
まあ、ダブルの部屋に男女二人の泊り客なら気を遣って当然か・・・。
「今すぐ?・・・良ければ、明日にしてくれないか?」
思わず憮然と答えた。
『お休みの所、大変申し訳ございません。
ご依頼主様から、今日中にと承っておりまして・・・ご都合が悪ければ明日に致しますが・・』
今日中って・・・。
僕は腕時計を見た。レストランでゆっくりしたから、もうとっくに10時をまわってる。
「依頼主は誰?」
『チャン・ソンジュ様でございます。』
え?お義母さん?・・・更に何を・・・。
「分かった。すぐに持って来て。」
『かしこまりました。』
そうして受話器を置いた。
「テヨンさん、何?」
「君のお母さんから、僕に届け物だそうだよ。もう、十分もらってるのにね。」
お義母さんからの届け物を見て、僕もパッカも唖然とした。
ホテルマンが部屋を訪ねてきて置いて行ったものは、特大のバースデーケーキ。
僕とパッカしかいないのに、これを二人でどうやって食べろと・・・。
二人で顔を見合わせて、次には二人とも吹き出してしまった。
「やだ、オンマったら。」
「ほんとにすごいよね。コレ。」
あはは、うふふ、と声を出して笑い合う。
もう終いには、何が可笑しいんだかもよく分からなかったけど、お腹を抱えて、涙を流して笑い合って
それがどうにも楽しくて・・・
僕は幸せだった。
ひとしきり笑い合って、息を整えようとしていたんだけれど、ひぃひぃと息が漏れる。
それがまた可笑しくて、一向に笑いは治まらない。
パッカと見つめ合って、笑い合って
幸せを実感する。
僕は、本当に幸せだ。
「テヨンさん、お誕生日おめでとう。」
「パッカ、愛してるよ。最高の誕生日だ。」
これからも時を重ねれば誕生日はやって来る。
君さえいれば、その度に「最高だ」と思える誕生日になるに違いない。
そのバースデーケーキを少しだけ切り分けて、二人で食べた。
「お義母さんは、やっぱり『最高の贈り物』を僕にくださったよ。」
ありったけの思いを込めて彼女に口づけた。
そして、パッカのリボンを
解いた。
《おわり》
___________
皆様、こんにちは。
「贈り物」これにて完結でございます。
思いのほか時間がかかってしまって申し訳なかったです。
リボンを解いて、ラッピングを解いてどうなったかは・・・
皆様の妄想(あえて想像とは言わないww)に委ねます。
妄想で様々なストレスを乗り越えて、みんな、みんな、幸せになりましょう!!
(書きながら泣いてた私はバボですが・・・苦笑)
ここまで「贈り物」にお付き合いいただきましてありがとうございました。

同じ空の下、苦しみを感じている総ての人が、笑顔になれますように。
ありちゃん
~ Comment ~
贈り物は...
もう、最初から、妄想しまくりで、たっぷり、堪能、十二分に、
ひとり、楽しみました。
同じ、空の下、繋がっているといった人に、思いが
届かないはずはないと思っています。
ひとり、楽しみました。
同じ、空の下、繋がっているといった人に、思いが
届かないはずはないと思っています。
NoTitle
ありちゃんさん!
気分が落ちこみ気味のユチョペンのために
そしてユチョンのために
こんな素敵なお話書いてくださって ありがとうございます☆
心あたたまる表現 素敵な文章は、人を穏やかにしてくれます。
お話を読んで 今 とてもいい気分です。
ありがとうございました☆
気分が落ちこみ気味のユチョペンのために
そしてユチョンのために
こんな素敵なお話書いてくださって ありがとうございます☆
心あたたまる表現 素敵な文章は、人を穏やかにしてくれます。
お話を読んで 今 とてもいい気分です。
ありがとうございました☆
- #1440 cookieyutyon
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- 2016.06/25 13:49
- ▲EntryTop
Re: やすべぇ様へ
やすべぇ様
> もう、最初から、妄想しまくりで、たっぷり、堪能、十二分に、
> ひとり、楽しみました。
そうですか、ありがとうございます!!
> 同じ、空の下、繋がっているといった人に、思いが
> 届かないはずはないと思っています。
そうです、そうです。
最高の誕生日を繰り返してほしいですよね!
> もう、最初から、妄想しまくりで、たっぷり、堪能、十二分に、
> ひとり、楽しみました。
そうですか、ありがとうございます!!
> 同じ、空の下、繋がっているといった人に、思いが
> 届かないはずはないと思っています。
そうです、そうです。
最高の誕生日を繰り返してほしいですよね!
Re: cookieyutyon様へ
クッキーさん!コメありがとうございます!
> こんな素敵なお話書いてくださって ありがとうございます☆
> 心あたたまる表現 素敵な文章は、人を穏やかにしてくれます。
恐縮です。本当にありがたいお言葉。
> お話を読んで 今 とてもいい気分です。
良かった。それこそが私の望みだったのです。
本当に、ありがとうございます。
> こんな素敵なお話書いてくださって ありがとうございます☆
> 心あたたまる表現 素敵な文章は、人を穏やかにしてくれます。
恐縮です。本当にありがたいお言葉。
> お話を読んで 今 とてもいい気分です。
良かった。それこそが私の望みだったのです。
本当に、ありがとうございます。
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