「短話シリーズ」
お宝映像
お宝映像
ホーム&ショピング社。
大手通信販売会社。子会社多数。
その事業内容は多岐に亘っている。
プライベートブランドも立ち上げられ、その商品数も増えていた。
澄み渡った青空と輝く海。
テヨンとパク・ハは眩しそうに夏の太陽を見上げた。
テヨンの会社、H&S社のPVに新商品が加わった。
今日はそのCM撮影が行われる。
テヨンが、他愛もない会話の中でそんな話をしたら、パク・ハが、見てみたいなぁ、と言った。
「じゃあ、行ってみる?」
「え?いいの?」
嬉しそうに目を輝かせるパク・ハにテヨンはにっこりと笑う。
「うん。僕も関係者だからね。・・・それにしても・・・。」
「なあに?」
「いや、案外ミーハーだなって思って。」
「悪かったわねぇぇだっ!」
パク・ハは舌を出す。
声を立てて笑い合った。
多くの撮影クルーが機材を持って右往左往している。
二人は邪魔にならないようにその様子を遠巻きに見ていた。
カメラが据え付けられ、ライトが立てられ、大きなマイクもある。
準備の様子を見ているだけで、パク・ハは、凄いのね~、と目を丸くした。
「CMってだけでこんなに大がかりなのに、ドラマとかって、もっと、だよね?」
「そうだね。役者は大変だ。」
素人目から見てもすっかり準備は整っているように見えるのに、一向に撮影が始まる様子がない。
テヨンは首を傾げた。
「おかしいな。・・・何か問題が起こったのかも。
パッカ、ここで待ってて。」
本部長の顔になって、彼は事情を聞きにスタッフの許へ走って行った。
「何か問題でも起こりましたか?」
声を掛けられ、キムチーム長が振り返った。
「ああ、本部長。
問題という訳ではなく、出演予定の俳優が遅れているんです。」
彼は首を竦めた。
「なんせ、人気俳優ですからね。」
「そうですか。」
スタッフ、とりわけプロデューサーは不機嫌さを隠さずイライラとしていた。
「カメラテストだけでも、したいんだが・・・」
「天気は大丈夫か?」
「とにかく、到着次第、すぐリハできるようにスタンバっとけ!」
担当であるキムチーム長も、腕時計を見ながら溜息を吐いている。
テヨンはパク・ハの許に戻り、日差しを避けるべく、スタッフ用のテントに彼女を連れて行った。
「出演者待ち、なんだってさ。」
少し待つぐらいのこと、二人には何でもなかった。
例えこのまま撮影が見られなくても、人気俳優を拝めなくても、二人で綺麗な景色を楽しめば、十分デートとして成り立つ。
浜辺でじゃれ合うには、人目もあったし、日差しが強すぎはしたけれど。
「本部長。」
キムチーム長がプロデューサーを伴ってやって来た。
「こちら、ハンプロデュサーです。」
恰幅のいいおじさんである。
「本部長のヨン・テヨンです。」
お互いに、よろしくお願いします、と手を握り合う。
こちらは婚約者で・・・とパク・ハのことも紹介すると、美人ですね、と受けあった。
「いやあ、本部長と言われるから、もっと中年を想像していたんですが・・・
芸能人張りのイケメンですねぇ。」
テヨン自身を持ち上げることも忘れないでいたから、テヨンは、いえいえ、と軽くいなした。
「ヨン本部長!」
テヨンのことをじっと見ていたハンプロデュサーが、突然、何か思い当ったように大声で彼を呼んだ。
「本部長、今回のCMに出ませんか?」
「え?」
テヨンばかりでなく、キムチーム長もパク・ハも同時に声を上げる。
「いや、カメラテストもしたかったし、俳優はまだ来てないし・・・ちょっと撮るだけでも撮らせてもらえませんか?」
出演の決まっている俳優がいて、いくら到着が遅いからと言っても、撮影のその日に降ろすのは拙いだろう。
まして、自分は素人だ。
テヨンは丁重に断った。
が、しかし
少しだけ、構図を確認したい、雰囲気を見ておきたい、カメラワークもチェックしたい、
いろいろ言われて
結局押し切られる格好になってしまう。
「白いシャツに白いパンツ。衣装もイメージにピッタリです。
そんなファッション、嫌味なく爽やかに着こなせるなんて、
本職の俳優でもちょっといないですよ!」
衣装だとか・・・そんなんじゃないんだけどな。
テヨンは苦笑した。
絵コンテで説明され、簡単な台本のようなものを渡される。
小道具も持たされてスタンバイした。
パク・ハは溜息交じりに撮影の様子を見ていた。
人気俳優の撮影風景を見るよりも、うっとりするような出来事だった。
夢見る様子のパク・ハに、キムチーム長はくすりと笑う。
一通り撮り終えて、その場でモニターチェックする。
想像以上の出来栄えに、プロデュサー以下スタッフたちも、おお、と声を上げた。
もう、これでいいんじゃないか?
そんな雰囲気が現場に漂っていたその時、出演予定の役者が到着したことを、スタッフの一人が告げた。
◇◇◇
一枚のブルーレイディスクが手渡された。
「何ですか?コレ。」
差し入れ用のジュースを受け取ったキムチーム長が、帰り際にパク・ハに手渡したのである。
「お宝映像です。」
それだけ言って片目を瞑ると、ではまた、とキムチーム長は爽やかに去って行った。
休憩時間、パク・ハは件のディスクを見てみることにした。
画面に映し出されたのは
テヨンの爽やかな笑顔。
あの、海でのCM撮影の時の映像である。
出演予定だった俳優も到着し、自社の商品のことで揉め事は御免被りたいと、テヨンはその映像を破棄するようにと言った。
パク・ハは正直もったいないと思っていたが、それを、キムチーム長が彼女の為に持って来てくれたのである。
これが、テレビに流れなくて良かったぁ。
パク・ハはほっと息を吐く。
この笑顔は私だけのものよ。
テヨンさんが、他の誰かにこんな風に笑いかけるなんて、考えたくないわ。
パク・ハは自分の為だけのCMを、何度も何度も、繰り返し見続けていた。
(メイキング)
画像はお借りしています。
※このお話は映像ありきです。ぜひ映像もお楽しみください!
(私、にやけながら、鬼りピしております。ww)
大手通信販売会社。子会社多数。
その事業内容は多岐に亘っている。
プライベートブランドも立ち上げられ、その商品数も増えていた。
澄み渡った青空と輝く海。
テヨンとパク・ハは眩しそうに夏の太陽を見上げた。
テヨンの会社、H&S社のPVに新商品が加わった。
今日はそのCM撮影が行われる。
テヨンが、他愛もない会話の中でそんな話をしたら、パク・ハが、見てみたいなぁ、と言った。
「じゃあ、行ってみる?」
「え?いいの?」
嬉しそうに目を輝かせるパク・ハにテヨンはにっこりと笑う。
「うん。僕も関係者だからね。・・・それにしても・・・。」
「なあに?」
「いや、案外ミーハーだなって思って。」
「悪かったわねぇぇだっ!」
パク・ハは舌を出す。
声を立てて笑い合った。
多くの撮影クルーが機材を持って右往左往している。
二人は邪魔にならないようにその様子を遠巻きに見ていた。
カメラが据え付けられ、ライトが立てられ、大きなマイクもある。
準備の様子を見ているだけで、パク・ハは、凄いのね~、と目を丸くした。
「CMってだけでこんなに大がかりなのに、ドラマとかって、もっと、だよね?」
「そうだね。役者は大変だ。」
素人目から見てもすっかり準備は整っているように見えるのに、一向に撮影が始まる様子がない。
テヨンは首を傾げた。
「おかしいな。・・・何か問題が起こったのかも。
パッカ、ここで待ってて。」
本部長の顔になって、彼は事情を聞きにスタッフの許へ走って行った。
「何か問題でも起こりましたか?」
声を掛けられ、キムチーム長が振り返った。
「ああ、本部長。
問題という訳ではなく、出演予定の俳優が遅れているんです。」
彼は首を竦めた。
「なんせ、人気俳優ですからね。」
「そうですか。」
スタッフ、とりわけプロデューサーは不機嫌さを隠さずイライラとしていた。
「カメラテストだけでも、したいんだが・・・」
「天気は大丈夫か?」
「とにかく、到着次第、すぐリハできるようにスタンバっとけ!」
担当であるキムチーム長も、腕時計を見ながら溜息を吐いている。
テヨンはパク・ハの許に戻り、日差しを避けるべく、スタッフ用のテントに彼女を連れて行った。
「出演者待ち、なんだってさ。」
少し待つぐらいのこと、二人には何でもなかった。
例えこのまま撮影が見られなくても、人気俳優を拝めなくても、二人で綺麗な景色を楽しめば、十分デートとして成り立つ。
浜辺でじゃれ合うには、人目もあったし、日差しが強すぎはしたけれど。
「本部長。」
キムチーム長がプロデューサーを伴ってやって来た。
「こちら、ハンプロデュサーです。」
恰幅のいいおじさんである。
「本部長のヨン・テヨンです。」
お互いに、よろしくお願いします、と手を握り合う。
こちらは婚約者で・・・とパク・ハのことも紹介すると、美人ですね、と受けあった。
「いやあ、本部長と言われるから、もっと中年を想像していたんですが・・・
芸能人張りのイケメンですねぇ。」
テヨン自身を持ち上げることも忘れないでいたから、テヨンは、いえいえ、と軽くいなした。
「ヨン本部長!」
テヨンのことをじっと見ていたハンプロデュサーが、突然、何か思い当ったように大声で彼を呼んだ。
「本部長、今回のCMに出ませんか?」
「え?」
テヨンばかりでなく、キムチーム長もパク・ハも同時に声を上げる。
「いや、カメラテストもしたかったし、俳優はまだ来てないし・・・ちょっと撮るだけでも撮らせてもらえませんか?」
出演の決まっている俳優がいて、いくら到着が遅いからと言っても、撮影のその日に降ろすのは拙いだろう。
まして、自分は素人だ。
テヨンは丁重に断った。
が、しかし
少しだけ、構図を確認したい、雰囲気を見ておきたい、カメラワークもチェックしたい、
いろいろ言われて
結局押し切られる格好になってしまう。
「白いシャツに白いパンツ。衣装もイメージにピッタリです。
そんなファッション、嫌味なく爽やかに着こなせるなんて、
本職の俳優でもちょっといないですよ!」
衣装だとか・・・そんなんじゃないんだけどな。
テヨンは苦笑した。
絵コンテで説明され、簡単な台本のようなものを渡される。
小道具も持たされてスタンバイした。
パク・ハは溜息交じりに撮影の様子を見ていた。
人気俳優の撮影風景を見るよりも、うっとりするような出来事だった。
夢見る様子のパク・ハに、キムチーム長はくすりと笑う。
一通り撮り終えて、その場でモニターチェックする。
想像以上の出来栄えに、プロデュサー以下スタッフたちも、おお、と声を上げた。
もう、これでいいんじゃないか?
そんな雰囲気が現場に漂っていたその時、出演予定の役者が到着したことを、スタッフの一人が告げた。
◇◇◇
一枚のブルーレイディスクが手渡された。
「何ですか?コレ。」
差し入れ用のジュースを受け取ったキムチーム長が、帰り際にパク・ハに手渡したのである。
「お宝映像です。」
それだけ言って片目を瞑ると、ではまた、とキムチーム長は爽やかに去って行った。
休憩時間、パク・ハは件のディスクを見てみることにした。
画面に映し出されたのは
テヨンの爽やかな笑顔。
あの、海でのCM撮影の時の映像である。
出演予定だった俳優も到着し、自社の商品のことで揉め事は御免被りたいと、テヨンはその映像を破棄するようにと言った。
パク・ハは正直もったいないと思っていたが、それを、キムチーム長が彼女の為に持って来てくれたのである。
これが、テレビに流れなくて良かったぁ。
パク・ハはほっと息を吐く。
この笑顔は私だけのものよ。
テヨンさんが、他の誰かにこんな風に笑いかけるなんて、考えたくないわ。
パク・ハは自分の為だけのCMを、何度も何度も、繰り返し見続けていた。
(メイキング)
画像はお借りしています。
※このお話は映像ありきです。ぜひ映像もお楽しみください!
(私、にやけながら、鬼りピしております。ww)
~ Comment ~
Re: な*様へ
な*さま
毎度ありがとうございます。(笑)
この映像、いいでしょう!
冒頭からの笑顔!パッカでなくてもうっとりです。
いつも、笑ってて欲しいですね。祈りましょう。
毎度ありがとうございます。(笑)
この映像、いいでしょう!
冒頭からの笑顔!パッカでなくてもうっとりです。
いつも、笑ってて欲しいですね。祈りましょう。
- #1482 ありちゃん
- URL
- 2016.07/02 15:51
- ▲EntryTop
Re: な****様へ
な****さま
癒された、嬉しいお言葉です。
ほんと、このCM、にやけちゃうんですよねぇ。
通勤は電車ですか?バスですか?公共交通機関利用だと危険です!(笑)
肩幅もあって、声も低い、大きな手、どっから見ても男の人なのに・・・
仰るように、爽やかで愛らしい。
パク・ハでなくてもうっとりです。(笑)
癒された、嬉しいお言葉です。
ほんと、このCM、にやけちゃうんですよねぇ。
通勤は電車ですか?バスですか?公共交通機関利用だと危険です!(笑)
肩幅もあって、声も低い、大きな手、どっから見ても男の人なのに・・・
仰るように、爽やかで愛らしい。
パク・ハでなくてもうっとりです。(笑)
Re: ほ**様へ
ほ**さま
キムチーム長、出演率高し!(笑)
有能だから頼れるんですよねぇ。
ビデオテープはやばいですねぇ。(笑)
まじに擦り切れちゃいます!!
高画質BDにしましたよ。♡
キムチーム長、出演率高し!(笑)
有能だから頼れるんですよねぇ。
ビデオテープはやばいですねぇ。(笑)
まじに擦り切れちゃいます!!
高画質BDにしましたよ。♡
Re: ま***様へ
ま***さま
もしかして、職場ですか?
この映像は必見ですよ!後からでもいいので、機会があればぜぇったい見てください!
鬼リピ読者様が急増してます!!(←声を大にして言いたい!)
もしかして、職場ですか?
この映像は必見ですよ!後からでもいいので、機会があればぜぇったい見てください!
鬼リピ読者様が急増してます!!(←声を大にして言いたい!)
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