「短編集」
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「すいかジュース始めました」
パク・ハのジュースショップにそんなポップが貼られた。
いつもの席で、いつものようにパク・ハを眺めていたテヨン。
客の訪れは途切れない。
商売繁盛で結構なことだが、テヨンは少しばかり不満である。
客が途切れないと言うことは、パク・ハは忙しいと言うことで、
自分はいつまでも放っておかれると言うことである。
しかし、接客に勤しむ彼女に
『客なんか放っておけ』
などと言う訳にもいかない。
ただひたすら我慢の子で待っていた。
彼にしたって暇なわけではない。
会社に行けばあれやこれや仕事は多いし、ここのところは休みもなかった。
久しぶりに休みが取れてパク・ハの所に来てみれば、彼女は忙しそうだ。
営業日の営業時間に、お店を訪れたのだから仕方がない。
ここは我慢の子で待ち続けるしかないのだ。
ようやく客が途切れた。
パク・ハもホッと息を吐く。
パッカ!
と彼が彼女の名を呼ぶよりも早く、パク・ハの方がテヨンの名を口した。
「テヨンさん。今から作るジュースを飲んでみてくれない?」
「え?・・・うん。」
彼が返事をする前にもうジューサーは廻されていた。
テヨンの前にジュースカップが三つ。
「これ、全部、飲むの?」
「飲み干さなくてもいいわ。味見して。」
テヨンは順番に、一口ずつ吸い上げる。
「どう?」
どう?と言われても・・・
実は違いがよく分からない。
「スイカ?・・・だよね。」
「うん。ちょっとずつブレンドを変えてみたの。どれが好き?」
「え?・・・真ん中、かな?」
いや、どれも同じように感じるんだけど、さ。
「ほんと?やっぱり、そうよね!私もそう思ったの。」
パク・ハが嬉しそうに言うので、テヨンはほっと胸を撫で下ろした。
どれも美味しいのは確かなのだが、区別がつかない、とは言いにくい。
そこはやはり、いい恰好がしたいのだ。
「因みに、何が違うの?」
パク・ハは、え?と言って、にっこりと笑った。
冷蔵庫から、バットを三枚ほど出して来て、カウンターの上に並べた。
それぞれに、カットされたスイカが盛られている。
「銘柄の違うスイカをブレンドしてるんだけど、その比率を変えてるの。」
これが、日本の熊本産でね、こっちは、やっぱり熊本産なんだけど小玉タイプ。
それで、これが・・・
パク・ハは嬉しそうに説明するが、カットされたスイカの見た目はどれも同じだ。
実際、ブレンドが違うと言うジュースの味も、テヨンには同じように感じられたのだ。
パッカ。
僕の舌が鈍感なのかもしれない。
でも
お客さんも、多分、違いが分かんないと思うよ。
彼が苦笑したのを、彼女は知らない。
パク・ハお勧めの「すいかジュース」を飲み干した。
「やっぱりこれを中心に仕入れようっと。
テヨンさん、ありがとう!」
「・・・どういたしまして。」
テヨンの活躍で、無事に新メニューのポップが貼られたのである。
___________
熊本のスイカ、マジ、美味いんです。
(by ありちゃん)
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パク・ハのジュースショップにそんなポップが貼られた。
いつもの席で、いつものようにパク・ハを眺めていたテヨン。
客の訪れは途切れない。
商売繁盛で結構なことだが、テヨンは少しばかり不満である。
客が途切れないと言うことは、パク・ハは忙しいと言うことで、
自分はいつまでも放っておかれると言うことである。
しかし、接客に勤しむ彼女に
『客なんか放っておけ』
などと言う訳にもいかない。
ただひたすら我慢の子で待っていた。
彼にしたって暇なわけではない。
会社に行けばあれやこれや仕事は多いし、ここのところは休みもなかった。
久しぶりに休みが取れてパク・ハの所に来てみれば、彼女は忙しそうだ。
営業日の営業時間に、お店を訪れたのだから仕方がない。
ここは我慢の子で待ち続けるしかないのだ。
ようやく客が途切れた。
パク・ハもホッと息を吐く。
パッカ!
と彼が彼女の名を呼ぶよりも早く、パク・ハの方がテヨンの名を口した。
「テヨンさん。今から作るジュースを飲んでみてくれない?」
「え?・・・うん。」
彼が返事をする前にもうジューサーは廻されていた。
テヨンの前にジュースカップが三つ。
「これ、全部、飲むの?」
「飲み干さなくてもいいわ。味見して。」
テヨンは順番に、一口ずつ吸い上げる。
「どう?」
どう?と言われても・・・
実は違いがよく分からない。
「スイカ?・・・だよね。」
「うん。ちょっとずつブレンドを変えてみたの。どれが好き?」
「え?・・・真ん中、かな?」
いや、どれも同じように感じるんだけど、さ。
「ほんと?やっぱり、そうよね!私もそう思ったの。」
パク・ハが嬉しそうに言うので、テヨンはほっと胸を撫で下ろした。
どれも美味しいのは確かなのだが、区別がつかない、とは言いにくい。
そこはやはり、いい恰好がしたいのだ。
「因みに、何が違うの?」
パク・ハは、え?と言って、にっこりと笑った。
冷蔵庫から、バットを三枚ほど出して来て、カウンターの上に並べた。
それぞれに、カットされたスイカが盛られている。
「銘柄の違うスイカをブレンドしてるんだけど、その比率を変えてるの。」
これが、日本の熊本産でね、こっちは、やっぱり熊本産なんだけど小玉タイプ。
それで、これが・・・
パク・ハは嬉しそうに説明するが、カットされたスイカの見た目はどれも同じだ。
実際、ブレンドが違うと言うジュースの味も、テヨンには同じように感じられたのだ。
パッカ。
僕の舌が鈍感なのかもしれない。
でも
お客さんも、多分、違いが分かんないと思うよ。
彼が苦笑したのを、彼女は知らない。
パク・ハお勧めの「すいかジュース」を飲み干した。
「やっぱりこれを中心に仕入れようっと。
テヨンさん、ありがとう!」
「・・・どういたしまして。」
テヨンの活躍で、無事に新メニューのポップが貼られたのである。
___________
熊本のスイカ、マジ、美味いんです。
(by ありちゃん)
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~ Comment ~
Re: p********53様へ
p********53さま
スイカ!熊本のスイカ!ホントに美味しいです!!
私、スイカ嫌いだったんです。水っぽくて・・・。
でも、それは美味しいスイカを食べたことがないだけでした。(苦笑)
パッカもお勧めするぐらいだから、是非、食べてみてください。ww
お気遣いにも感謝です。<m(__)m>
スイカ!熊本のスイカ!ホントに美味しいです!!
私、スイカ嫌いだったんです。水っぽくて・・・。
でも、それは美味しいスイカを食べたことがないだけでした。(苦笑)
パッカもお勧めするぐらいだから、是非、食べてみてください。ww
お気遣いにも感謝です。<m(__)m>
Re: ほ**様へ
ほ**さま
いや、鈍感ではないと思います。きっと、長くて、良く動く・・・。
パッカの味覚が鋭すぎるだけでしょう。(笑)
おお、スイカの産地でしたか!
色んなところのを食べてみたいですね。ww
いや、鈍感ではないと思います。きっと、長くて、良く動く・・・。
パッカの味覚が鋭すぎるだけでしょう。(笑)
おお、スイカの産地でしたか!
色んなところのを食べてみたいですね。ww
Re: な*様へ
な*さま
いつも記事ごとにありがとうございます。
ホント、励みになります。
暑い日には冷やしたスイカ最高ですもんね。w
私の描く二人をお気に入ってくださってホントに嬉しい。
ずっと、美しく、かわいくあって欲しいですね。ww
いつも記事ごとにありがとうございます。
ホント、励みになります。
暑い日には冷やしたスイカ最高ですもんね。w
私の描く二人をお気に入ってくださってホントに嬉しい。
ずっと、美しく、かわいくあって欲しいですね。ww
- #1527 ありちゃん
- URL
- 2016.07/09 10:27
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Re: ま***様へ
ま***さま
熊本のスイカ、是非ご賞味ください!
銘柄もいろいろあって、味も違うのでしょうが
・・・・私には分かりません。(笑)どれも美味いです。
熊本のスイカ、是非ご賞味ください!
銘柄もいろいろあって、味も違うのでしょうが
・・・・私には分かりません。(笑)どれも美味いです。
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