同じ空の下

そこが船の中だとは思えないような料理が運ばれて来る。
暖かいものは暖かく、冷たいものは冷たく。
器も洗練されていたし、料理の味も申し分ない。

二人で会話を楽しんでいれば、それを邪魔することもなく、適度に話題も提供してくれる。

パク・ハの笑顔が何よりも嬉しいテヨンだった。


「そろそろ花火が上がりますよ。」

食後のデザートも食べ終わる頃、そう声がかかった。

二人は外に出た。
川面を渡る風が爽やかだ。


ひゅー　　どん！


夜空に大輪の光の花。

川岸で人々の歓声が響く。

「きれい。」

パク・ハもまた夜空を見上げ感嘆の溜息を吐いた。

夜空を見つめ、隣のテヨンと見つめ合う。
微笑みあって、また夜空を見上げる。


あの時も二人だけで花火を見に行ったっけ。
ちょっとだけお洒落して、いつもよりメイクに力が入って・・・


「・・・何？」

「・・・幸せだなって思って。」

テヨンは微笑み、掠めるようにキスをした。

「ほら、また上がるよ。」


ひゅうぅぅぅ　　どどどん！


一際大きな花火が上がった。

「わぁ！」

大輪の花が散り、一瞬、闇夜に戻ったけれど、次々に花火が上がる。
どん　どどん　と、続けざまに咲いては散る花火の下で、テヨンはパク・ハを抱き寄せ唇を重ねた。
テヨンの肩越しに花火を見たのは一瞬のこと。
パク・ハの瞼の裏では、どんどんと鳴り響く音に呼応して光が明滅していた。


肩を寄せ合い花火を楽しむ。
なんてことのないその時間が、本当に幸せで・・・
永遠に続いて欲しいと、二人、同じことを考えていた。


「また、花火を見に来よう。」

「また？日本に？」

「夏の間中、何処かで花火が上がってるそうだからね。」


来年も、再来年も、その次の夏も

日本に来よう。