同じ空の下

いつもの席で、いつものように、
パッカを見ていた。

若い女の子と笑い合い、年配の女性を気遣い
サラリーマン風の男性に「お疲れ様です」と声をかける。

笑顔がはじける彼女を見ているだけで、僕自身も笑顔になる。
・・・男に笑いかけてるのは、ちょっと、複雑だけどね。



久しぶりにパッカを描いてみようと思った。


楽しそうに働くパッカを描き出していく。
彼女を観察しながら、紙の上に鉛筆を滑らせる。

ふと、パッカと目が合った。
彼女はにこりと笑い、僕の手元に視線を下ろす。
納得顔で小さく頷いたかと思ったら、驚いたように目を見開いた。
それも一瞬のことで、次にはまた視線が僕の顔の方に戻ってきて、再度にこりと笑う。


なに、パッカ？


観察されていることが
その姿を描かれていることが、気になるのだろうか
パッカの方も僕のことをちらちらと見ていた。
でも、目は合わない。
彼女は、僕の手元を、鉛筆を滑らせる右手を見ているから・・・。


何かを確認するように視線を彷徨わせ、今度は僕の目をしっかりと見つめるパッカ。
懐かしむように、安心したように、穏やかに微笑むパッカ。


彼女がそういう表情（かお）をするとき・・・
イ・ガクを思い出してるんだ。
彼と僕との共通点を確認して安心してるんだ。


ねえ、パッカ。
僕は変わってしまったかい？
僕は変わらずにいるかい？


何年が過ぎようと
何百年が過ぎようと
どんなに転生を繰り返しても

僕は君を愛してる。



パッカが穏やかな笑顔で僕を見つめている。


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