FX

「短話シリーズ」
明星

かわたれ星

 ←小話集ー3 →たそがれ星
―――かわたれ星

明けの明星の異名。
「かわたれ」は「たれ」、
薄暗くて、彼が誰なのかよく分からない夜明け時を示す言葉。
成り立ちが同じ「たそがれ=かれ」は夕方を表すが、「かわたれ」は明け方に用いられる。

その昔、昼と夜の境目である かわたれ時 や たそがれ時 は、この世とあの世がつながる「逢魔おうまとき」と言われた。
すれ違う人の顔もはっきりと分からないこの時刻、この世のものではない妖魔や鬼があたりをうろつき、神隠しなどの怪異をもたらすと考えられていた。
(新聞のコラム欄より引用)




◇◇◇




未だ夜も明け染めぬ芙蓉池。
花もない芙蓉池。


薄暗がりにイ・ガクは独り佇んでいる。


そこにある総ての物質の輪郭は曖昧で、どこからが水面で、どこまでが水面なのか・・・
東の空に、かわたれ星だけが一際、明るく輝いていた。


暗い水面にぼんやりと人影が浮かんだ・・・ようにイ・ガクには見えた。

彼はゆらりと虚ろな視線を移した。
焦点の定まらぬ瞳に何を映しているのか。

「パッカ。」

何者かに向かって手を差し伸べる。
愛しき者の手が己が手を取ろうとする。

「そなたは・・・プヨンか?」

かわたれ星が瞬いた。

「・・・私を恨んでおるか?
すまぬ、プヨン。・・・すまぬ。」


かわたれ時―――

逢魔おうまとき―――

この世のものならぬものが現れるという・・・


私を
そなたの許へ
そなたの住まう地へ
連れて行ってくれ

この手を取れ
この身を連れ去れ


東の空が明るくなってくる。かわたれ星もだんだんとその光を弱めていく。
暗かった水面に人影はなく、イ・ガクの頬に涙が伝った。



東宮殿に戻ったイ・ガクをチサンが待ち構えていた。

「チョハ。逢魔おうまときに御一人で出歩くのはお止め下さい。」

イ・ガクは何も言わなかった。

「プヨン様がチョハをお連れになるはずがございません!命を賭してチョハを救われた方ではあられませんか!
チョハを連れ去るとすれば、それは鬼です。チョハのお望みの所へ行けるはずもございません。」

「・・・分かっておる。」


そう、そなたは命を賭した。
パッカになっても・・・
私の為に。

パッカ
そなたもかわたれ星を見ておるか?



たれ

パク・ハはプヨンであり、プヨンはパク・ハ。
イ・ガクはテヨンであり、テヨンはイ・ガク。


やがて日が昇り、かわたれ星も空から姿を消す。
誰なのか判別がつかなかった者も、その姿がはっきりとする。


かわたれ星は

明るい朝を連れてくる。




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