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「長編(完結)」
目覚めたテヨン

目覚めたテヨン 17

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僕の描いた絵を、彼女が持っている?ずっと、大切にして?


若い女のコなら描くくせに。


突然、此の間の大叔母の言葉が頭の中にこだました。

NY テム従兄さん  人物画  リンゴ 女のコ  NY テム従兄さん  スケッチ  リンゴ  蝶  蝶  蝶  パク・ハさん
言葉が、単語が、ぐるぐると頭の中で廻り始める。  


どこからともなく蝶が飛んできてひらひらと舞っている。
僕は蝶に向かって手を伸ばしたが、捕まえられるはずもなく、蝶は飛んで行った。

その先で、トマトとオレンジを手にするハツラツとした笑顔の女性がいた。

蝶は彼女の肩に停まり、彼女もそれを認めて微笑んでいる。

僕は絵ハガキと鉛筆を取り出すと、夢中で彼女をスケッチした。


NYでテム従兄さんと待ち合わせをした。
従兄さんを待っていた街角で、彼女を見かけた。
元気な笑顔の彼女に惹かれた。
蝶を見て微笑む彼女に目を奪われた。

スケッチする僕に、リンゴを投げつけた元気な君。

その笑顔をもう一度、見たかった。

会いたかった。

僕は、パク・ハさんに会いたかったんだ。そう、ずっと。


白昼夢でも見ているように、NYでの一部始終が映像となって脳裏に浮かぶ。


テム従兄さんと行ったビアホールで、また彼女を見かけた。
僕の描いた彼女の絵を見て、テム従兄さんは僕をからかった。
彼女は明後日が休みだ。
テム従兄さんがどこからかそう聞きつけてきて、僕に声を掛けろとけしかける。
だけど、僕は声を掛けられなかった。
従兄さんと二人笑い合った。


だから、あの絵に総てを託したんだ。


僕は海に落ち、待ち合わせ場所に行けなかった。
彼女は来てくれていたのだろうか。

・・・呼び出しておいて、すっぽかすなんて、酷い男だと思われただろうな。


それなのに、彼女はあの絵を持っていてくれたのか。ずっと。


あの時も初めてにしては上出来だと思いながら描いた。今日のように。

あの日も声を掛けられなかった。先刻のように。


思わず口からくっくと小さな笑いが漏れる。

セナさんは訝しげに眉根を寄せたが、僕が何か言うのを待っていた。

「分かりました。」

僕の言葉を受けてセナさんは、小さくえっと言ったが安心したように微笑んだ。


セナさんは、私が紹介するのも変ですよね、と言ったかと思ったら、どうやったら僕と彼女をより自然に会わせられるかを考え始めた。
具体的にしておかないと、僕が心変わりするのではないかと心配しているらしい。

「セナさん、心配しなくても、僕からきちんと会ってほしいと誘いますから。」

男らしく・・・とはいかないかも知れないけれど。


僕達は二人とも笑顔でカフェを後にした。

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鍵コメさま

ご訪問ありがとうございます。
私も「二次小説ブログ」というブログジャンルを知ったのは今年の春です。(二次創作自体は知ってました。)
続き、がんばって書きますので、またぜひお越しくださいね。
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