「長編(完結)」
一年で一番甘い日
一年で一番甘い日 1
皆様、こんにちは。
いやあ、今更ですがバレンタインネタで何か書いてみようと・・・
プチ連載 始めました。
一話完結にまとめるには難しそうなので、短めのお話を集中連載にしたいと思います。
一応、ホワイトデイまでの完結を目指しております。
お付き合いのほど、よろしくお願いします。m(__)m
___________
イ・ガクはその包みを開けると口に放り込んだ。
チョコレートの甘さが口中に広がる。
「バレンタインとは実に好い日だ。」
美味しそうに口の中のソレを咀嚼しながら、満足気に頷いている。
多くの女子社員が、色とりどりのリボンの掛かった包みを差し出して来た。
現代での生活にも慣れ、会社での振る舞い方も板について来ていた。
にっこりと微笑む・・・とまではいかなかったが、ありがとう、と礼を述べて受け取るまでを無難にこなした。
しかし、その中身が何で、どういう意味があり、何故その日に集中して手渡されるのか、さっぱり分からない。
屋根部屋に帰ると、イ・ガクは女子社員からの戦利品がたくさん放り込まれた紙袋を、パク・ハに雑に押し付けた。
「何よ、コレ。」
「知らぬ。会社で女子 らが私に寄こしてきたものだ。」
イ・ガクは鼻に皺を寄せ、今、パク・ハに渡した紙袋を顎でしゃくった。
「私の方が聞きたい。それは何だ?」
パク・ハは盛大に溜息を漏らした。
「会社の女の子たちがくれたのよね?」
「そうだ。だから、それらは何なのだ?」
知らないものは仕方ない。けれど、こんなにたくさん貰ってこようとは・・・。
「チョコレートよ。」
「ちょこれーと?」
「そうよ!あんたの大好きな甘ぁいもの!」
イ・ガクは目を見開いた。
「今日は、バレンタインと言って、女の子が男のヒトにチョコレートをあげる日よ。」
“好きな男のヒトに”とは敢えて言わなかった。
「そうか。」
・・・何よ。何故、渡されたのかは訊かないの?
『パッカからはないのか?』って・・・訊いてみなさいよ!
「・・・こんなにあるから・・・もう要らないわよね?」
「いや、甘い物なら拒みはせぬ。」
「・・・・・」
人の気も知らないで!
イ・ガクはパク・ハから紙袋を取り戻した。
その日の夕食後、パク・ハは手づくりのチョコレートケーキを出した。
イ・ガクと臣下三人に切り分けてやり、紅茶を淹れる。
「今日はバレンタインと言って、女子 が男にチョコレートを渡す日だ。」
そち等は知らなかったであろう?イ・ガクは顎をそらせて臣下達を見た。
あんただって、知らなかったじゃない。
パク・ハは、男たちの前にケーキの皿を配りながら溜息を吐く。
「ああ、それで、会社の女子社員が・・・。」
チサンが、なるほどと頷いた。
イ・ガクはケーキを口に運び、また満足そうに頷いている。
パク・ハはそれを横目で見たあと、そっと俯いた。皆に見られないように口許を綻ばせている。自然な笑顔を装って顔を上げた。
「みんな、たくさん貰ったの?」
三人はそれぞれに頷いた。
三人とも紙袋いっぱいに集まったらしい。
「チョハの分は持ちきれず、まだ、会社にもあります。」
「・・・あっそ。」
パク・ハは何でもない風に言ったが、チサンは不穏な空気を感じ取っていた。
「パッカヌイの、このケーキも美味しいですよ。」
「まあ、イベントみたいなものだから・・・ホワイトデイにはちゃんとお返しした方がいいわよ。」
「お返し?」
「そうよ。女子社員に睨まれちゃうんだから!」
臣下達は顔を見合わせている。
その多くは義理チョコだろう。会社で円満に過ごすにはお返しは不可欠だ。
でも、中には限りなく本命に近いモノも・・・
ずばり、本命のモノもあるかも知れない。
パク・ハのこのチョコレートケーキだって、義理チョコだ。
でも、限りなく本命に近い思いがこもってもいる。
ずばり、本命チョコは・・・バッグの底に眠ったままだ。
パク・ハはイ・ガクの方を盗み見る。
そこには、素知らぬ顔でチョコレートケーキを美味しそうに頬張る王世子がいた。
「バレンタインとは実に好い日だ。」
そうして、バレンタインから五日がすぎても、イ・ガクは毎日チョコレートを頬張っているのだ。
いやあ、今更ですがバレンタインネタで何か書いてみようと・・・
プチ連載 始めました。
一話完結にまとめるには難しそうなので、短めのお話を集中連載にしたいと思います。
一応、ホワイトデイまでの完結を目指しております。
お付き合いのほど、よろしくお願いします。m(__)m
___________
イ・ガクはその包みを開けると口に放り込んだ。
チョコレートの甘さが口中に広がる。
「バレンタインとは実に好い日だ。」
美味しそうに口の中のソレを咀嚼しながら、満足気に頷いている。
多くの女子社員が、色とりどりのリボンの掛かった包みを差し出して来た。
現代での生活にも慣れ、会社での振る舞い方も板について来ていた。
にっこりと微笑む・・・とまではいかなかったが、ありがとう、と礼を述べて受け取るまでを無難にこなした。
しかし、その中身が何で、どういう意味があり、何故その日に集中して手渡されるのか、さっぱり分からない。
屋根部屋に帰ると、イ・ガクは女子社員からの戦利品がたくさん放り込まれた紙袋を、パク・ハに雑に押し付けた。
「何よ、コレ。」
「知らぬ。会社で
イ・ガクは鼻に皺を寄せ、今、パク・ハに渡した紙袋を顎でしゃくった。
「私の方が聞きたい。それは何だ?」
パク・ハは盛大に溜息を漏らした。
「会社の女の子たちがくれたのよね?」
「そうだ。だから、それらは何なのだ?」
知らないものは仕方ない。けれど、こんなにたくさん貰ってこようとは・・・。
「チョコレートよ。」
「ちょこれーと?」
「そうよ!あんたの大好きな甘ぁいもの!」
イ・ガクは目を見開いた。
「今日は、バレンタインと言って、女の子が男のヒトにチョコレートをあげる日よ。」
“好きな男のヒトに”とは敢えて言わなかった。
「そうか。」
・・・何よ。何故、渡されたのかは訊かないの?
『パッカからはないのか?』って・・・訊いてみなさいよ!
「・・・こんなにあるから・・・もう要らないわよね?」
「いや、甘い物なら拒みはせぬ。」
「・・・・・」
人の気も知らないで!
イ・ガクはパク・ハから紙袋を取り戻した。
その日の夕食後、パク・ハは手づくりのチョコレートケーキを出した。
イ・ガクと臣下三人に切り分けてやり、紅茶を淹れる。
「今日はバレンタインと言って、
そち等は知らなかったであろう?イ・ガクは顎をそらせて臣下達を見た。
あんただって、知らなかったじゃない。
パク・ハは、男たちの前にケーキの皿を配りながら溜息を吐く。
「ああ、それで、会社の女子社員が・・・。」
チサンが、なるほどと頷いた。
イ・ガクはケーキを口に運び、また満足そうに頷いている。
パク・ハはそれを横目で見たあと、そっと俯いた。皆に見られないように口許を綻ばせている。自然な笑顔を装って顔を上げた。
「みんな、たくさん貰ったの?」
三人はそれぞれに頷いた。
三人とも紙袋いっぱいに集まったらしい。
「チョハの分は持ちきれず、まだ、会社にもあります。」
「・・・あっそ。」
パク・ハは何でもない風に言ったが、チサンは不穏な空気を感じ取っていた。
「パッカヌイの、このケーキも美味しいですよ。」
「まあ、イベントみたいなものだから・・・ホワイトデイにはちゃんとお返しした方がいいわよ。」
「お返し?」
「そうよ。女子社員に睨まれちゃうんだから!」
臣下達は顔を見合わせている。
その多くは義理チョコだろう。会社で円満に過ごすにはお返しは不可欠だ。
でも、中には限りなく本命に近いモノも・・・
ずばり、本命のモノもあるかも知れない。
パク・ハのこのチョコレートケーキだって、義理チョコだ。
でも、限りなく本命に近い思いがこもってもいる。
ずばり、本命チョコは・・・バッグの底に眠ったままだ。
パク・ハはイ・ガクの方を盗み見る。
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「バレンタインとは実に好い日だ。」
そうして、バレンタインから五日がすぎても、イ・ガクは毎日チョコレートを頬張っているのだ。

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