「長編(完結)」
一年で一番甘い日
一年で一番甘い日 7
臣下達が覗き見ていたことに対して、何の疑問も抱いていないらしいイ・ガクのその態度は如何なものか?
なるほど、常に周りに誰かがいて、警護されながら生活してきた王世子にとって、人の目など空気みたいなものかも知れない。
しかし、パク・ハの方はそういうわけにはいかなかった。
臣下達がその姿を現した時、彼女は慌ててイ・ガクから離れようとしたのだが・・・。
パク・ハはそのウエストを他ならぬイ・ガク自身に強く引き寄せられ、その身体を更に密着させられることとなってしまった。
それは、彼らに敢えて『見せつけている』とも取れた。
「どこへ行こうというのだ?ここに居れ。」
「でも・・・」
パク・ハの抗議の言葉は無視された。
のみならず、臣下に言いたいことを言った後、
「私とパッカは出かける。」
彼女に何の断りも入れず、臣下達に向かってイ・ガクはそう宣言したのである。
「えっ?どこへ?夕食は?」
パク・ハは驚きイ・ガクを見上げた。
「バレンタインデイを仕切り直さねば、ホワイトデイに何もできぬではないか。」
彼はにやりと笑うと、パク・ハを伴い屋根部屋を後にしたのである。
参るぞ、と肩を押され、慌ててバッグを引き掴んだ。
玄関を出て、狭い階段を押されるように下りた。
階下には車が横付けされており、イ・ガクはパク・ハの為にそのドアを開けてやりながら、そこに乗る様にと促す。
どうやら最初からそのつもりで、車は駐車されていたものらしい。
「・・・ねえ、どこに行くの?」
「邪魔の入らぬところだ。」
シートベルトを締めると、車は静かに発進した。
邪魔の入らないところ?
・・・バレンタインデイを仕切り直す?
パク・ハは隣のイ・ガクの横顔を見た。
彼女の様子を気にする風でもなく、イ・ガクはただ前を向いて、運転に集中しているように見える。
パク・ハの目に、イ・ガクは普段と全く同じに見える。
だのに、自分の心臓はその鼓動が速くなってしまっている。
パク・ハは戸惑いを覚えて、イ・ガクの横顔から視線を外した。
自分も同じように前に向き直ったのだが、ハンドルを握るイ・ガクの長い指が、気になる。
前も、この大きな手がパク・ハのいろんなところに触れ、ウエストを引き寄せ・・・その指で・・・。
何、考えてんの?
それは、自分への問いかけだったのか?それとも、イ・ガクへのそれだったのか?
どちらにしろ、言葉にはできなかった。
確かなのは、イ・ガクはパク・ハと二人きりになりたいらしく、彼女はそれを喜んでいる、ということである。
「何を、食したい?」
赤信号で止まった時イ・ガクがそう言い、パク・ハは、え?としか言えなかった。
「・・・そなたのその衣では、高級レストランという訳にはいかぬな。」
イ・ガクに鼻で笑われ、パク・ハも思わずカチンと来る。
「何よ!いきなり引っ張り出したあんたが悪いんでしょっ!」
「バレンタインデイとは、特別な食事を準備し、特別な贈り物をする日なのであろう?」
高級レストランで食事をし、彼女の準備した特別なチョコレートとプレゼント。
それが、人気の『バレンタインデートプラン』だった。
「まあ、良い。腹は空いておるか?何か食べたいものはあるのか?」
パク・ハは静かに首を横に振る。
「まだ、食事はいいけど・・・チョハに任せる。」
「・・・分かった。」
イ・ガクは低く囁いた。
春分の日も過ぎたに・・・何をしておるのだ!
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いつ終わるのか、私にもわからないんだよぉ。(泣)
なるほど、常に周りに誰かがいて、警護されながら生活してきた王世子にとって、人の目など空気みたいなものかも知れない。
しかし、パク・ハの方はそういうわけにはいかなかった。
臣下達がその姿を現した時、彼女は慌ててイ・ガクから離れようとしたのだが・・・。
パク・ハはそのウエストを他ならぬイ・ガク自身に強く引き寄せられ、その身体を更に密着させられることとなってしまった。
それは、彼らに敢えて『見せつけている』とも取れた。
「どこへ行こうというのだ?ここに居れ。」
「でも・・・」
パク・ハの抗議の言葉は無視された。
のみならず、臣下に言いたいことを言った後、
「私とパッカは出かける。」
彼女に何の断りも入れず、臣下達に向かってイ・ガクはそう宣言したのである。
「えっ?どこへ?夕食は?」
パク・ハは驚きイ・ガクを見上げた。
「バレンタインデイを仕切り直さねば、ホワイトデイに何もできぬではないか。」
彼はにやりと笑うと、パク・ハを伴い屋根部屋を後にしたのである。
参るぞ、と肩を押され、慌ててバッグを引き掴んだ。
玄関を出て、狭い階段を押されるように下りた。
階下には車が横付けされており、イ・ガクはパク・ハの為にそのドアを開けてやりながら、そこに乗る様にと促す。
どうやら最初からそのつもりで、車は駐車されていたものらしい。
「・・・ねえ、どこに行くの?」
「邪魔の入らぬところだ。」
シートベルトを締めると、車は静かに発進した。
邪魔の入らないところ?
・・・バレンタインデイを仕切り直す?
パク・ハは隣のイ・ガクの横顔を見た。
彼女の様子を気にする風でもなく、イ・ガクはただ前を向いて、運転に集中しているように見える。
パク・ハの目に、イ・ガクは普段と全く同じに見える。
だのに、自分の心臓はその鼓動が速くなってしまっている。
パク・ハは戸惑いを覚えて、イ・ガクの横顔から視線を外した。
自分も同じように前に向き直ったのだが、ハンドルを握るイ・ガクの長い指が、気になる。
前も、この大きな手がパク・ハのいろんなところに触れ、ウエストを引き寄せ・・・その指で・・・。
何、考えてんの?
それは、自分への問いかけだったのか?それとも、イ・ガクへのそれだったのか?
どちらにしろ、言葉にはできなかった。
確かなのは、イ・ガクはパク・ハと二人きりになりたいらしく、彼女はそれを喜んでいる、ということである。
「何を、食したい?」
赤信号で止まった時イ・ガクがそう言い、パク・ハは、え?としか言えなかった。
「・・・そなたのその衣では、高級レストランという訳にはいかぬな。」
イ・ガクに鼻で笑われ、パク・ハも思わずカチンと来る。
「何よ!いきなり引っ張り出したあんたが悪いんでしょっ!」
「バレンタインデイとは、特別な食事を準備し、特別な贈り物をする日なのであろう?」
高級レストランで食事をし、彼女の準備した特別なチョコレートとプレゼント。
それが、人気の『バレンタインデートプラン』だった。
「まあ、良い。腹は空いておるか?何か食べたいものはあるのか?」
パク・ハは静かに首を横に振る。
「まだ、食事はいいけど・・・チョハに任せる。」
「・・・分かった。」
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