「長編(完結)」
一年で一番甘い日
一年で一番甘い日 8
車はホテルのエントランスに滑り込んだ。
ドアマンが素早く歩み寄って来てドアを開けてくれる。
イ・ガクは降車すると彼にキーを手渡した。
彼は助手席にも廻り込んでドアを開けてくれている。
パク・ハがなかなか降りようとしないので、ドアマンは、どうぞ、と言ってにこやかに微笑んだ。
イ・ガクは振り返り眉をひそめると、また運転席のドアを開けパク・ハを覗き込んだ。
「どうしたのだ?降りぬか。」
「だって・・・私のこの服・・・。」
高級レストランには似つかわしくないと鼻で笑ったくせに、連れて来たのは一流と言われるホテルなのだ。
「良い。降りよ。」
パク・ハは仕方なく車を降りた。
もっと文句を言ってやりたいが、一流ホテルのエントランスで口喧嘩は避けたい。
イ・ガクは迷うことなくフロントに向かった。
パク・ハは少し後ろで彼を待っていたが、どうにも落ち着かない。
せめて、二人きりで出掛ける、つまりデートに連れ出されるのだ、と分かっていたのなら、もう少しましな格好をしていただろうに。
いつも通りに家事をこなして、夕食の支度をするつもりでいたから、いわゆるデートと言うには程遠い服装なのだ。
それだのに、こんな一流ホテルだなんて・・・
『高級レストランという訳にはいかぬ』なんて言ってたくせに!
意地悪な男の背中を思わず睨みつける。
イ・ガクにしても、特段にめかし込んでいる、という訳ではないのだが、そのスタイルの良さと着ているもののセンスの良さ、生来の品格も相まって、人の目を引き付けて止まない。
その言葉遣いと振る舞いは朝鮮時代の王世子のままだが、ああしてホテルマンとやり取りする姿はどう見ても現代人、しかもかなりスマートな、できる男にしか見えない。
やっぱり、庶民には付いていけないのかな・・・。
パク・ハは自分が情けなくなってくる。
「何をしておる。」
俯いていたパク・ハの頭に、大きく暖かな手が乗せられた。
ぽんぽんと軽く指先で弾いた後、その手はパク・ハの肩に滑り落ちた。
「参ろう。」
パク・ハの肩はイ・ガクに抱き寄せられる格好になる。
そのままベルガールに付いてエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターはぐんぐんと上昇していく。
パク・ハはドキドキとして落ち着かなかった。
チョハ、近いよ。
ベルガールは二人に背中を向けている。パク・ハは彼女が何を考えているのだろうかとそれが気になって仕方がない。
イ・ガクと自分はどんな風に人の目に映っているのだろう。
恋人?夫婦?
イ・ガクのパートナーとして、自分は相応しい?
思わず、小さく溜息を吐いた。
やがてエレベーターは止まり、ドアが開いた。
ベルガールは二人を部屋へと案内してくれる。
どうやらこのフロアにはその一室だけのようで、ドアも立派だった。
カードキーで開錠してくれる。
ドアを潜れば、とても豪華な部屋だった。
パク・ハは声を上げそうになったが、どうにか堪えた。
スイートルーム?
いや、ロイヤルスイートかもしれない。
こんな部屋、泊まったことなんかない。
ベルガールが去った後、パク・ハは窓に近付き、今度こそ声を上げた。
「すごい!チョハ、見て!」
そう言って振り返ろうとした瞬間、後ろから抱きすくめられた。
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食事はしないでホテルに来ちゃったよ。
ロイヤルスイート?ンなもん、見たこともないわ。・・・美味しいの?それ。
(庶民はセレブな描写が苦手
)
ドアマンが素早く歩み寄って来てドアを開けてくれる。
イ・ガクは降車すると彼にキーを手渡した。
彼は助手席にも廻り込んでドアを開けてくれている。
パク・ハがなかなか降りようとしないので、ドアマンは、どうぞ、と言ってにこやかに微笑んだ。
イ・ガクは振り返り眉をひそめると、また運転席のドアを開けパク・ハを覗き込んだ。
「どうしたのだ?降りぬか。」
「だって・・・私のこの服・・・。」
高級レストランには似つかわしくないと鼻で笑ったくせに、連れて来たのは一流と言われるホテルなのだ。
「良い。降りよ。」
パク・ハは仕方なく車を降りた。
もっと文句を言ってやりたいが、一流ホテルのエントランスで口喧嘩は避けたい。
イ・ガクは迷うことなくフロントに向かった。
パク・ハは少し後ろで彼を待っていたが、どうにも落ち着かない。
せめて、二人きりで出掛ける、つまりデートに連れ出されるのだ、と分かっていたのなら、もう少しましな格好をしていただろうに。
いつも通りに家事をこなして、夕食の支度をするつもりでいたから、いわゆるデートと言うには程遠い服装なのだ。
それだのに、こんな一流ホテルだなんて・・・
『高級レストランという訳にはいかぬ』なんて言ってたくせに!
意地悪な男の背中を思わず睨みつける。
イ・ガクにしても、特段にめかし込んでいる、という訳ではないのだが、そのスタイルの良さと着ているもののセンスの良さ、生来の品格も相まって、人の目を引き付けて止まない。
その言葉遣いと振る舞いは朝鮮時代の王世子のままだが、ああしてホテルマンとやり取りする姿はどう見ても現代人、しかもかなりスマートな、できる男にしか見えない。
やっぱり、庶民には付いていけないのかな・・・。
パク・ハは自分が情けなくなってくる。
「何をしておる。」
俯いていたパク・ハの頭に、大きく暖かな手が乗せられた。
ぽんぽんと軽く指先で弾いた後、その手はパク・ハの肩に滑り落ちた。
「参ろう。」
パク・ハの肩はイ・ガクに抱き寄せられる格好になる。
そのままベルガールに付いてエレベーターに乗り込んだ。
エレベーターはぐんぐんと上昇していく。
パク・ハはドキドキとして落ち着かなかった。
チョハ、近いよ。
ベルガールは二人に背中を向けている。パク・ハは彼女が何を考えているのだろうかとそれが気になって仕方がない。
イ・ガクと自分はどんな風に人の目に映っているのだろう。
恋人?夫婦?
イ・ガクのパートナーとして、自分は相応しい?
思わず、小さく溜息を吐いた。
やがてエレベーターは止まり、ドアが開いた。
ベルガールは二人を部屋へと案内してくれる。
どうやらこのフロアにはその一室だけのようで、ドアも立派だった。
カードキーで開錠してくれる。
ドアを潜れば、とても豪華な部屋だった。
パク・ハは声を上げそうになったが、どうにか堪えた。
スイートルーム?
いや、ロイヤルスイートかもしれない。
こんな部屋、泊まったことなんかない。
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