「長編(完結)」
一年で一番甘い日
一年で一番甘い日 9
そこはホテルの上層階で、部屋の豪華さもさることながら、窓の下に広がる街並みに思わず息を飲んだパク・ハだった。
まだ明るく、多くの車が行き交っているのが見える。まるで、ミニカーみたいに小さく見えているのだ。
「すごい!チョハ、見て!」
はしゃいだ声を上げたパク・ハを、イ・ガクは後ろから抱きすくめた。
「・・・チョハ。」
背中にイ・ガクの広い胸板が当たっている。
身体をすっぽりと包まれて、その温もりにパク・ハはドキドキと胸を高鳴らせながら、なんとも言えない幸福感に包まれていた。
イ・ガクはそのまま後ずさりを始め、自然、パク・ハも一緒に後ろ向きに下がって行くことになる。
視界の端っこにベッドが見えたと思った時、イ・ガクはその動きを止めた。
「臣下達が居ると、そなたは私から逃げようとするであろう?」
「・・・だって・・・気になるわよ。」
「あ奴等のことなど、気にせずとも良い。」
そうは言われても、正真正銘、現代人のパク・ハには、王世子のように人の目を空気の如くに思うことなど、できるはずもない。
パク・ハの為に人目を避け、二人きりになろうとしたイ・ガクのそれは、彼の優しさには違いないのだろう。
少々やり方が強引であったとしても・・・。
それも含めて好きなのだから、惚れた弱みはやはりイ・ガクに握られてしまっているのだ。
「・・・私だけを見ておれ。」
イ・ガクはそう言うとパク・ハの身体を反転させ、彼の方を向かせた。
パク・ハは、今度こそベッドを直視することになる。
いかにも高級そうで、寝心地も良さそうだ。
二人で転げまわっても問題なさそうな、十分な広さもある。
『二人で転げまわる』パク・ハは自分の発想に思わず赤面した。
臣下達の目を避け、『バレンタインデイを仕切り直す』と言ったイ・ガクの真意は、やはりそういうことなのだろうか?
イ・ガクの腕に力が入る。
押し倒される?
思わず緊張したが、短く息を吐いて肩の力を抜いた。
嫌じゃないのよ。でも・・・まだ、明るいし・・・
実はパク・ハも『期待』していたのかも知れない。
いや、なんだかんだと言い訳めいたことを考えながら、実は、はっきりとそう望んでいるのだ。
「・・・窓には、これ以上近付くでない。」
「え?」
パク・ハは拍子抜けしたように目を見開いた。
「落ちたらどうする。」
窓から落ちる?・・・だから、離れたの?
「大丈夫よ!・・・もしかして・・・怖いの?」
イ・ガクはそっぽを向く。
「ロープウェイにも乗ったでしょ?」
「・・・あの時は絶景だった。」
ここは、絶景でないから怖さが勝る、とそう言いいたいのかも知れない。
街並みが遠くまで見渡せて、これはこれでなかなかの景色だ、とパク・ハは思うのだが・・・。
パク・ハは吹き出し、声をあげて笑った。
「きっと、夜景は綺麗よ。」
「期待はしておらぬ。」
「はいはい。そうね。」
負け惜しみのようなことを言う王世子が、かわいく思える。
イ・ガクの方はパク・ハに軽くあしらわれて憮然とした顔をした。
「時間がない。参るぞ。」
「え?どこへ?」
ここで、このまま『バレンタインをやり直す』つもりだったのではないのだろうか。
「そなたの衣装を買い求める。
このホテルの展望レストランは女子 に人気があるのだ。
しかし、それでは、行けはせぬ。」
イ・ガクはパク・ハに向けて顎をしゃくっている。
今回のバレンタイン企画で得た知識と言うことなのだろう。
イマドキ女子に人気のレストランに連れて行こうとは・・・
それなりに考えてはいるらしい。
やり方は高飛車だけれど。
展望レストラン?
「チョハ。」
パク・ハはその両手を腰に当てた。
「ここのレストランは大人気よ。それは、私でも知ってる。
でも、確か・・・このホテルの最上階の筈だけど?」
「・・・真か?」
「イエェ。チョォハァ。」
パク・ハはわざとらしく、深々と頭を下げた。
高いところは好かぬ!
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あらら、パッカ、肩すかし。
そう言えば、まだチョコ渡してないじゃない!
まだ明るく、多くの車が行き交っているのが見える。まるで、ミニカーみたいに小さく見えているのだ。
「すごい!チョハ、見て!」
はしゃいだ声を上げたパク・ハを、イ・ガクは後ろから抱きすくめた。
「・・・チョハ。」
背中にイ・ガクの広い胸板が当たっている。
身体をすっぽりと包まれて、その温もりにパク・ハはドキドキと胸を高鳴らせながら、なんとも言えない幸福感に包まれていた。
イ・ガクはそのまま後ずさりを始め、自然、パク・ハも一緒に後ろ向きに下がって行くことになる。
視界の端っこにベッドが見えたと思った時、イ・ガクはその動きを止めた。
「臣下達が居ると、そなたは私から逃げようとするであろう?」
「・・・だって・・・気になるわよ。」
「あ奴等のことなど、気にせずとも良い。」
そうは言われても、正真正銘、現代人のパク・ハには、王世子のように人の目を空気の如くに思うことなど、できるはずもない。
パク・ハの為に人目を避け、二人きりになろうとしたイ・ガクのそれは、彼の優しさには違いないのだろう。
少々やり方が強引であったとしても・・・。
それも含めて好きなのだから、惚れた弱みはやはりイ・ガクに握られてしまっているのだ。
「・・・私だけを見ておれ。」
イ・ガクはそう言うとパク・ハの身体を反転させ、彼の方を向かせた。
パク・ハは、今度こそベッドを直視することになる。
いかにも高級そうで、寝心地も良さそうだ。
二人で転げまわっても問題なさそうな、十分な広さもある。
『二人で転げまわる』パク・ハは自分の発想に思わず赤面した。
臣下達の目を避け、『バレンタインデイを仕切り直す』と言ったイ・ガクの真意は、やはりそういうことなのだろうか?
イ・ガクの腕に力が入る。
押し倒される?
思わず緊張したが、短く息を吐いて肩の力を抜いた。
嫌じゃないのよ。でも・・・まだ、明るいし・・・
実はパク・ハも『期待』していたのかも知れない。
いや、なんだかんだと言い訳めいたことを考えながら、実は、はっきりとそう望んでいるのだ。
「・・・窓には、これ以上近付くでない。」
「え?」
パク・ハは拍子抜けしたように目を見開いた。
「落ちたらどうする。」
窓から落ちる?・・・だから、離れたの?
「大丈夫よ!・・・もしかして・・・怖いの?」
イ・ガクはそっぽを向く。
「ロープウェイにも乗ったでしょ?」
「・・・あの時は絶景だった。」
ここは、絶景でないから怖さが勝る、とそう言いいたいのかも知れない。
街並みが遠くまで見渡せて、これはこれでなかなかの景色だ、とパク・ハは思うのだが・・・。
パク・ハは吹き出し、声をあげて笑った。
「きっと、夜景は綺麗よ。」
「期待はしておらぬ。」
「はいはい。そうね。」
負け惜しみのようなことを言う王世子が、かわいく思える。
イ・ガクの方はパク・ハに軽くあしらわれて憮然とした顔をした。
「時間がない。参るぞ。」
「え?どこへ?」
ここで、このまま『バレンタインをやり直す』つもりだったのではないのだろうか。
「そなたの衣装を買い求める。
このホテルの展望レストランは
しかし、それでは、行けはせぬ。」
イ・ガクはパク・ハに向けて顎をしゃくっている。
今回のバレンタイン企画で得た知識と言うことなのだろう。
イマドキ女子に人気のレストランに連れて行こうとは・・・
それなりに考えてはいるらしい。
やり方は高飛車だけれど。
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「チョハ。」
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「ここのレストランは大人気よ。それは、私でも知ってる。
でも、確か・・・このホテルの最上階の筈だけど?」
「・・・真か?」
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