「長編(完結)」
一年で一番甘い日
一年で一番甘い日 10
王世子は何事か考えるように天井を仰いだ。
「チョハ。気持ちは嬉しいけど、今更、服を新調してまでレストランには行かなくてもいいよ。」
イ・ガクは、横目でパク・ハをちらりと見た。
顔を上げた彼女は、そんなイ・ガクを上目遣いに見てくすりと笑う。
「・・・こんな服装でこのホテルに入って来るなんて・・・ホントに今更だわ。」
パク・ハの言う通りで、屋根部屋で着替えてから来るという方法もあったし、途中でブティックなどに立ち寄るということも可能だった。
どうせなら、美容室で頭の先から足の先まで整えたかったな、なんてことも思う。
「それに・・・バレンタインのやり直しの筈なのに、私の方が貰ってばかりでどうすんのよ。」
イ・ガクに伴われて洋服選びに行くということは、彼が支払いをするということなのだ。
「・・・ホワイトデイには私が贈らねばならぬのであろう?」
ホワイトデイのプレゼントを先にするつもりなの?
パク・ハは腕を伸ばしイ・ガクの首に絡みつかせた。
力を込めてぐっと引き寄せる。
イ・ガクは一瞬、驚いたように片眉を上げたが、微かに頬を緩めパク・ハにされるがままになった。屈みこむようにして彼女にその身を寄せる。
パク・ハはイ・ガクの肩に顎を乗せ、彼の頬にちゅっと口づけた。
「あんぽんたん。バレンタインデイの方が先よ。」
パク・ハはイ・ガクの耳元で囁いた。
「そのバレンタインを、なかったことにしようとしたのは、そなたの方ではないか。」
イ・ガクもパク・ハの耳元で囁き返した。
「あんたが、いっぱいチョコレートを貰ってくるからいけないんでしょ!」
首に絡めている腕に更に力を込める。
「全部、親のない子供らの許へ送った。」
パク・ハの背中に長い腕が廻される。
「うそ!全部なんて嘘じゃない。食べてるの見たわよ。」
「そなたが、早く寄こして来ぬから悪いのだ。」
イ・ガクは首に絡みつくパク・ハの腕をそっとほどく。
彼女の頬を両手で挟んでその顔を上向かせると、静かに口づけを落とした。
唇が離れ、イ・ガクが何事か囁こうとするのを、今度はパク・ハの方が唇で塞いだ。
ダメよ。私が言うの!
「・・・あんたが、好き。愛してる。」
イ・ガクは再びパク・ハを抱きしめた。
「あんぽんたんめ。バレンタインを何日過ぎたと思っておるのだ。」
「だから、今からやり直すんじゃない。」
パク・ハはイ・ガクの背中を擦った。
それを合図にイ・ガクはその手を緩める。
イ・ガクの腕から開放されたパク・ハは、サイドテーブルに置いてあったバッグの底からそれを引っ張り出した。
出すに出せなくて、かと言って、捨てるに捨てられなくて、大切に仕舞い込んでいたその包み。
「チョハ。随分と遅れちゃったけど・・・」
パク・ハはリボンの掛かったチョコレートの包みをイ・ガクに差し出す。
「チョハが好きです。・・・愛しています。」
イ・ガクは満足気に頷き、『本命チョコ』を受け取ったのだった。
やっと渡せた!
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「チョハ。気持ちは嬉しいけど、今更、服を新調してまでレストランには行かなくてもいいよ。」
イ・ガクは、横目でパク・ハをちらりと見た。
顔を上げた彼女は、そんなイ・ガクを上目遣いに見てくすりと笑う。
「・・・こんな服装でこのホテルに入って来るなんて・・・ホントに今更だわ。」
パク・ハの言う通りで、屋根部屋で着替えてから来るという方法もあったし、途中でブティックなどに立ち寄るということも可能だった。
どうせなら、美容室で頭の先から足の先まで整えたかったな、なんてことも思う。
「それに・・・バレンタインのやり直しの筈なのに、私の方が貰ってばかりでどうすんのよ。」
イ・ガクに伴われて洋服選びに行くということは、彼が支払いをするということなのだ。
「・・・ホワイトデイには私が贈らねばならぬのであろう?」
ホワイトデイのプレゼントを先にするつもりなの?
パク・ハは腕を伸ばしイ・ガクの首に絡みつかせた。
力を込めてぐっと引き寄せる。
イ・ガクは一瞬、驚いたように片眉を上げたが、微かに頬を緩めパク・ハにされるがままになった。屈みこむようにして彼女にその身を寄せる。
パク・ハはイ・ガクの肩に顎を乗せ、彼の頬にちゅっと口づけた。
「あんぽんたん。バレンタインデイの方が先よ。」
パク・ハはイ・ガクの耳元で囁いた。
「そのバレンタインを、なかったことにしようとしたのは、そなたの方ではないか。」
イ・ガクもパク・ハの耳元で囁き返した。
「あんたが、いっぱいチョコレートを貰ってくるからいけないんでしょ!」
首に絡めている腕に更に力を込める。
「全部、親のない子供らの許へ送った。」
パク・ハの背中に長い腕が廻される。
「うそ!全部なんて嘘じゃない。食べてるの見たわよ。」
「そなたが、早く寄こして来ぬから悪いのだ。」
イ・ガクは首に絡みつくパク・ハの腕をそっとほどく。
彼女の頬を両手で挟んでその顔を上向かせると、静かに口づけを落とした。
唇が離れ、イ・ガクが何事か囁こうとするのを、今度はパク・ハの方が唇で塞いだ。
ダメよ。私が言うの!
「・・・あんたが、好き。愛してる。」
イ・ガクは再びパク・ハを抱きしめた。
「あんぽんたんめ。バレンタインを何日過ぎたと思っておるのだ。」
「だから、今からやり直すんじゃない。」
パク・ハはイ・ガクの背中を擦った。
それを合図にイ・ガクはその手を緩める。
イ・ガクの腕から開放されたパク・ハは、サイドテーブルに置いてあったバッグの底からそれを引っ張り出した。
出すに出せなくて、かと言って、捨てるに捨てられなくて、大切に仕舞い込んでいたその包み。
「チョハ。随分と遅れちゃったけど・・・」
パク・ハはリボンの掛かったチョコレートの包みをイ・ガクに差し出す。
「チョハが好きです。・・・愛しています。」
イ・ガクは満足気に頷き、『本命チョコ』を受け取ったのだった。
やっと渡せた!
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~ Comment ~
Re: 瑞月さまへ
瑞月さま
おはようございま~す。
> 本命チョコ、渡しましたね!
はい。渡しましたよ!やっとです!
> それにしてもパク・ハはの可愛いこと。
> >「チョハが好きです。・・・愛しています。」
良かった!ここはあえて敬語で。
両手で持って、頭を下げつつチョハの胸元に尽き出しているイメージです。(笑)
「ねるとん」(ふるっ!)の告白タイムみたいな?
> これはもう、イ・ガク、甘くならざるを得ないでしょう(笑)
> もちろん甘いの期待しておりますよ~。ポチポチポチポチ!
ありがとうございます!
激甘を目指しております。できれば、〇クリームトッピングのホットチョコレートぐらいを目指しておるのですが・・・
(伏字の意味ないし!ww)
おはようございま~す。
> 本命チョコ、渡しましたね!
はい。渡しましたよ!やっとです!
> それにしてもパク・ハはの可愛いこと。
> >「チョハが好きです。・・・愛しています。」
良かった!ここはあえて敬語で。
両手で持って、頭を下げつつチョハの胸元に尽き出しているイメージです。(笑)
「ねるとん」(ふるっ!)の告白タイムみたいな?
> これはもう、イ・ガク、甘くならざるを得ないでしょう(笑)
> もちろん甘いの期待しておりますよ~。ポチポチポチポチ!
ありがとうございます!
激甘を目指しております。できれば、〇クリームトッピングのホットチョコレートぐらいを目指しておるのですが・・・
(伏字の意味ないし!ww)
NoTitle
本命チョコ、渡しましたね!
それにしてもパク・ハはの可愛いこと。
>「チョハが好きです。・・・愛しています。」
これはもう、イ・ガク、甘くならざるを得ないでしょう(笑)
もちろん甘いの期待しておりますよ~。ポチポチポチポチ!