「長編(完結)」
一年で一番甘い日
一年で一番甘い日 11
リボンを解き、次いで包装紙も解く。
イ・ガクは嬉しそうにそのチョコレートをつまみ上げた。
パク・ハのことを横目で見やりながら、口に放り込む。
そなたは、私のことを好いておるのであろう。
そう言ってでもいるような、まるで勝ち誇ったその表情が、なんとも小憎らしいのだが・・・
やはり、高慢とも言えるこの男が好きなのだ。
こればかりはどうしようもない。
でも、とパク・ハは思う。
自分からのチョコレートを待ち侘びて、これ見よがしに他の女性から贈られたチョコレートを食べ続けていたイ・ガクが、自分のチョコレートを本当に嬉しそうに受け取ってくれた。
強引でも、高飛車でも、その愛情表現はストレートで、それが嬉しくないはずはない。
「おいしい?」
イ・ガクは微かに口許を綻ばせながら、小さく頷いた。
と思ったら、不意にパク・ハを抱き寄せ口づけてくる。
チョコレートの香りがパク・ハの口の中にも広がった。
そのまま舌を差し入れられ、溶けたチョコレートを塗りつけようとでもしているかのように舌を絡めてくる。
イ・ガクは、チョコレート味のパク・ハとの口づけを、文字通り味わっているのだ。
一つ、また一つ、小さなチョコレートの粒を口に運んでは、甘いキスを味わい続ける。
全身を蕩けさせるような快感を伴った甘いキス。
身震いするほどの悦びは、味覚の甘さからくる幸福感とは別のモノだ。
こんなキス。・・・ずるい。
「달달하다. (甘いな。)」
イ・ガクはそう囁き、パク・ハの顔を覗き込んだ。
「・・・何を考えておる?」
イ・ガクは意地悪な笑みを浮かべていた。
彼女の瞳の中に熱を確認しながらの、その一言だ。
「そなたは、何を期待しておるのだ?」
瞳に宿っていたその熱は、パク・ハの顔を火照らせ、耳まで赤くさせた。
そのことがイ・ガクの言わんとしていることを肯定しているのだと知りながら、自分ではどうすることもできない。
「・・・何を、って・・・」
イ・ガクはまたパク・ハに口づけた。
角度を変えながら何度も食む。
パク・ハの体温はどんどん上昇していった。
口の中のチョコレートはすっかり溶け切ってなくなり、その甘さを感じるはずもないのに、イ・ガクの深いキスからはますます甘さを感じる。
イ・ガクはパク・ハに圧し掛かり、そのままベッドに倒れ込んだ。
「そなたの望んでいるのは、こういうことか?」
いちいち意地悪く言葉にするのは、パク・ハの反応を楽しんでいるからなのか。
「私を愛しておると、そう申したな。」
パク・ハに跨るようにしてその自由を奪い、上から見下ろしてくる。
「・・・言ったわ。」
パク・ハは素直に応じた。
「チョハ、愛してるわ。」
イ・ガクの目がキラリと光った、ようにパク・ハには見えた。
「・・・ならば、そなたの『私への愛』を示してみよ。」
「え?」
「バレンタインデイとは、女子 が好いた男にその愛を示す日。そうではないのか?」
その通りには違いないが、それはチョコレートに託すのがその主旨のはずではないか。
イ・ガクは何を言っているのだろう、とパク・ハは混乱する。
「そなたはその日をなかったことにしようとした。故に私がここまで準備してやったのだ。
まさか、チョコレートのみで王世子を納得させられるなどと、思ってはおるまい?」
イ・ガクの目にも熱が籠っている。
『その愛を示せ。』
高慢で、高飛車で、強引なその言い分に、パク・ハは応えざるを得なかった。
意地悪なこの男を、心の底から愛しているから。
「・・・どうすれば?」
「そなたの思うように。」
イ・ガクは本当に意地悪だ。
優しさとは程遠い物言いをして自分を混乱させるくせに・・・
この上なく柔らかな笑みを浮かべて、愛されているに違いない、と思い込ませるのだ。
「パッカ、愛している。」
ここぞという時には言葉にして、思い込みではなく間違いなく愛されている、と真実を伝えてくる。
高慢で、高飛車で、強引で、意地悪でありながらも優しいこの男を、パク・ハは心の底から愛している。
「チョハ、愛してるわ。」
イ・ガクはまた柔らかな笑みを浮かべた。
パク・ハはどうやって『その愛』を示すのか・・・
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うーん、引っ張りまくる。
ニヤニヤしながら書き綴る、この時間が堪らない至福の時なのであります。
イ・ガクは嬉しそうにそのチョコレートをつまみ上げた。
パク・ハのことを横目で見やりながら、口に放り込む。
そなたは、私のことを好いておるのであろう。
そう言ってでもいるような、まるで勝ち誇ったその表情が、なんとも小憎らしいのだが・・・
やはり、高慢とも言えるこの男が好きなのだ。
こればかりはどうしようもない。
でも、とパク・ハは思う。
自分からのチョコレートを待ち侘びて、これ見よがしに他の女性から贈られたチョコレートを食べ続けていたイ・ガクが、自分のチョコレートを本当に嬉しそうに受け取ってくれた。
強引でも、高飛車でも、その愛情表現はストレートで、それが嬉しくないはずはない。
「おいしい?」
イ・ガクは微かに口許を綻ばせながら、小さく頷いた。
と思ったら、不意にパク・ハを抱き寄せ口づけてくる。
チョコレートの香りがパク・ハの口の中にも広がった。
そのまま舌を差し入れられ、溶けたチョコレートを塗りつけようとでもしているかのように舌を絡めてくる。
イ・ガクは、チョコレート味のパク・ハとの口づけを、文字通り味わっているのだ。
一つ、また一つ、小さなチョコレートの粒を口に運んでは、甘いキスを味わい続ける。
全身を蕩けさせるような快感を伴った甘いキス。
身震いするほどの悦びは、味覚の甘さからくる幸福感とは別のモノだ。
こんなキス。・・・ずるい。
「
イ・ガクはそう囁き、パク・ハの顔を覗き込んだ。
「・・・何を考えておる?」
イ・ガクは意地悪な笑みを浮かべていた。
彼女の瞳の中に熱を確認しながらの、その一言だ。
「そなたは、何を期待しておるのだ?」
瞳に宿っていたその熱は、パク・ハの顔を火照らせ、耳まで赤くさせた。
そのことがイ・ガクの言わんとしていることを肯定しているのだと知りながら、自分ではどうすることもできない。
「・・・何を、って・・・」
イ・ガクはまたパク・ハに口づけた。
角度を変えながら何度も食む。
パク・ハの体温はどんどん上昇していった。
口の中のチョコレートはすっかり溶け切ってなくなり、その甘さを感じるはずもないのに、イ・ガクの深いキスからはますます甘さを感じる。
イ・ガクはパク・ハに圧し掛かり、そのままベッドに倒れ込んだ。
「そなたの望んでいるのは、こういうことか?」
いちいち意地悪く言葉にするのは、パク・ハの反応を楽しんでいるからなのか。
「私を愛しておると、そう申したな。」
パク・ハに跨るようにしてその自由を奪い、上から見下ろしてくる。
「・・・言ったわ。」
パク・ハは素直に応じた。
「チョハ、愛してるわ。」
イ・ガクの目がキラリと光った、ようにパク・ハには見えた。
「・・・ならば、そなたの『私への愛』を示してみよ。」
「え?」
「バレンタインデイとは、
その通りには違いないが、それはチョコレートに託すのがその主旨のはずではないか。
イ・ガクは何を言っているのだろう、とパク・ハは混乱する。
「そなたはその日をなかったことにしようとした。故に私がここまで準備してやったのだ。
まさか、チョコレートのみで王世子を納得させられるなどと、思ってはおるまい?」
イ・ガクの目にも熱が籠っている。
『その愛を示せ。』
高慢で、高飛車で、強引なその言い分に、パク・ハは応えざるを得なかった。
意地悪なこの男を、心の底から愛しているから。
「・・・どうすれば?」
「そなたの思うように。」
イ・ガクは本当に意地悪だ。
優しさとは程遠い物言いをして自分を混乱させるくせに・・・
この上なく柔らかな笑みを浮かべて、愛されているに違いない、と思い込ませるのだ。
「パッカ、愛している。」
ここぞという時には言葉にして、思い込みではなく間違いなく愛されている、と真実を伝えてくる。
高慢で、高飛車で、強引で、意地悪でありながらも優しいこの男を、パク・ハは心の底から愛している。
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