「長編(完結)」
一年で一番甘い日
一年で一番甘い日 15 (最終話)
バスルームの脱衣室で息を潜めて外を窺っていた。
シャワーは流し放しだ。
イ・ガクはシャワーを終えたばかりで、今は自分がシャワーを浴びているだけ。
ただ、それだけ。
ホテルマンは、きっと、そう思ってくれている。
パク・ハは自分に言い聞かせるようにブツブツと言いながら、一人で頷いていた。
食事の準備が整えられ、ホテルマンは出て行った。
その気配を察知したパク・ハはシャワーを止めた。
バスルームを抜け出すとベッドルームへ。
とにかく、服を着よう。
そう思ったのに・・・パク・ハの服も、下着も、ない。
ベッドの上のブランケットを捲りあげたり、ソファの後ろを覗いてみたり・・・
何処にもない。
「何をしておる?」
サイドテーブルの下を覗き込むパク・ハの頭の上でイ・ガクの声がする。
パク・ハは顔を上げた。
「・・・チョハ。服は?」
「洗濯に出した。」
「え?」
そんなところまで気を回してくれたと言うのか?
・・・って言うか、一泊ぐらいなら洗濯しなくても・・・。
「心配せずともよい。明日の朝には届けられる。」
そんな心配をしているわけではない。
「・・・下着も?」
「当たり前ではないか。」
イ・ガクは訝しむように片眉を上げた。
「恥ずかしいでしょ!」
下着くらいは自分で洗うのに!
それに、明日の朝までこのままの恰好?
「膳が準備されておる。こちらへ来ぬか。」
イ・ガクはパク・ハの言うことを無視して顎をしゃくった。
ああ、返す返すも、服を買ってくれると言うならその通りに従っておけば良かった。
ついでにランジェリーショップに寄っても良かったのだ。
とは言え、イ・ガクと一緒なのに下着を買うと言うのも、それはそれで・・・。
色々、考えてみるも、今更なのだ。
焦れたイ・ガクがまたパク・ハを抱き上げようとする。
「自分で行けるわよ。」
「ならば、早く致せ。」
本当は、食事よりもこのまま一眠りしてしまいたかったが、お腹が空いているような気もする。
服もないし、シャワーも浴びたし、あとは部屋でくつろぐしかない。
そう言えば、ジャグジーもあった。
こうなったら、豪華なこの部屋で楽しめるだけ楽しもう。
食事は、やはり豪勢だった。
サラダを口に運び、ステーキを切り分ける。
バスローブ姿と言うのがなんとも頂けないが、二人きりだし、まあ、いいだろう。
楽しくおしゃべりして、笑い合って。
バレンタインデイのやり直しと言うなら十分だ。
後はジャグジーを楽しんで、広いベッドでゆっくり眠って・・・。
豪華な部屋で二人きり。
いつもと違った濃密な時間も過ごせたし、ホワイトデイのお返しとしても文句はない。
そうだ、でも、ホワイトデイのお返しに、別のデートを強請ってもいいかも知れない。
いくら豪華でも部屋に閉じこもったままだなんて・・・。
つらつらと考えながら、ケーキを口に運ぶ。
結局、ケーキは食後のデザートになってしまった。
「달달하다. (甘いな。)」
また言ってる。パク・ハはくすりと笑った。
「チョハ、どうする?私はゆっくりジャグジーに浸かってから、寝ようと思うけど・・・。
明日は何時に起きる?」
「・・・ジャグジーとは何だ?」
「ああ、要するにお風呂よ。」
イ・ガクは少し考える素振りをした。
「私も入ろう。」
「そう?じゃぁ、先に入っていいよ。」
「・・・私と一緒に入るのだ。」
「え?」
「終わりではない、と、そう申したであろう?」
「・・・。」
「寝かせるわけが・・・ないではないか。」
イ・ガクがにやりと笑う。
一年で一番、濃厚で、濃密な、チョコレートよりもホイップクリームよりも甘い日。
蕩けるような甘い夜は、これから始まる。
《おわり》
___________
どうにか(無理矢理)着地しました。(苦笑)
バレンタインの後に書き始め・・・ホワイトデイも過ぎ去り・・・
桜も散り始めて・・・
長らくお付き合いをいただきまして、ありがとうございました。
まあ、色々あります。
色々あるけど・・・私のお話でも皆様の慰めになりますなら嬉しいです。m(__)m
何のために洗濯に出したと思っておる? by世子
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シャワーは流し放しだ。
イ・ガクはシャワーを終えたばかりで、今は自分がシャワーを浴びているだけ。
ただ、それだけ。
ホテルマンは、きっと、そう思ってくれている。
パク・ハは自分に言い聞かせるようにブツブツと言いながら、一人で頷いていた。
食事の準備が整えられ、ホテルマンは出て行った。
その気配を察知したパク・ハはシャワーを止めた。
バスルームを抜け出すとベッドルームへ。
とにかく、服を着よう。
そう思ったのに・・・パク・ハの服も、下着も、ない。
ベッドの上のブランケットを捲りあげたり、ソファの後ろを覗いてみたり・・・
何処にもない。
「何をしておる?」
サイドテーブルの下を覗き込むパク・ハの頭の上でイ・ガクの声がする。
パク・ハは顔を上げた。
「・・・チョハ。服は?」
「洗濯に出した。」
「え?」
そんなところまで気を回してくれたと言うのか?
・・・って言うか、一泊ぐらいなら洗濯しなくても・・・。
「心配せずともよい。明日の朝には届けられる。」
そんな心配をしているわけではない。
「・・・下着も?」
「当たり前ではないか。」
イ・ガクは訝しむように片眉を上げた。
「恥ずかしいでしょ!」
下着くらいは自分で洗うのに!
それに、明日の朝までこのままの恰好?
「膳が準備されておる。こちらへ来ぬか。」
イ・ガクはパク・ハの言うことを無視して顎をしゃくった。
ああ、返す返すも、服を買ってくれると言うならその通りに従っておけば良かった。
ついでにランジェリーショップに寄っても良かったのだ。
とは言え、イ・ガクと一緒なのに下着を買うと言うのも、それはそれで・・・。
色々、考えてみるも、今更なのだ。
焦れたイ・ガクがまたパク・ハを抱き上げようとする。
「自分で行けるわよ。」
「ならば、早く致せ。」
本当は、食事よりもこのまま一眠りしてしまいたかったが、お腹が空いているような気もする。
服もないし、シャワーも浴びたし、あとは部屋でくつろぐしかない。
そう言えば、ジャグジーもあった。
こうなったら、豪華なこの部屋で楽しめるだけ楽しもう。
食事は、やはり豪勢だった。
サラダを口に運び、ステーキを切り分ける。
バスローブ姿と言うのがなんとも頂けないが、二人きりだし、まあ、いいだろう。
楽しくおしゃべりして、笑い合って。
バレンタインデイのやり直しと言うなら十分だ。
後はジャグジーを楽しんで、広いベッドでゆっくり眠って・・・。
豪華な部屋で二人きり。
いつもと違った濃密な時間も過ごせたし、ホワイトデイのお返しとしても文句はない。
そうだ、でも、ホワイトデイのお返しに、別のデートを強請ってもいいかも知れない。
いくら豪華でも部屋に閉じこもったままだなんて・・・。
つらつらと考えながら、ケーキを口に運ぶ。
結局、ケーキは食後のデザートになってしまった。
「
また言ってる。パク・ハはくすりと笑った。
「チョハ、どうする?私はゆっくりジャグジーに浸かってから、寝ようと思うけど・・・。
明日は何時に起きる?」
「・・・ジャグジーとは何だ?」
「ああ、要するにお風呂よ。」
イ・ガクは少し考える素振りをした。
「私も入ろう。」
「そう?じゃぁ、先に入っていいよ。」
「・・・私と一緒に入るのだ。」
「え?」
「終わりではない、と、そう申したであろう?」
「・・・。」
「寝かせるわけが・・・ないではないか。」
イ・ガクがにやりと笑う。
一年で一番、濃厚で、濃密な、チョコレートよりもホイップクリームよりも甘い日。
蕩けるような甘い夜は、これから始まる。
《おわり》
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バレンタインの後に書き始め・・・ホワイトデイも過ぎ去り・・・
桜も散り始めて・・・
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