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「ユチョン応援☆妄想祭り」
同じ空の下

花吹雪 another 

 ←夫婦円満の秘訣 4 →拍手コメント(4/19~21)のお返事です。
吐く息も白く、春の訪れはまだ感じられない。

花もない芙蓉池でイ・ガクは水面を見つめていた。
つと顔を上げ、振り向くことはせずに、後ろに控える王妃に声を掛ける。

中殿チュンジョン、花を見に参ろうか?」

「チョナ・・・。」

王妃ソン・ユンジュは静かにイ・ガクの次の言葉を待つ。

イ・ガクはユンジュを振り返った。

鎮安チナンの桜は見事であった。そなたにも見せてやりたい。」

「チョナ。ありがたいお言葉にございます。」

ユンジュは深々と頭を下げる。
いつ、誰と、鎮安に赴いたのか、王妃は王に問うことをしなかった。

「寒くはないか?」

「はい。ですが・・・雪がちらついてまいりました。」

「・・・戻ろう。」

「はい、チョナ。」


◇◇◇


やがて冬は去り、春が来る。
秘苑ビウォンの花々も綻び始めた。
もちろん、桜の花も。

だが、鎮安の花は、まだだ。


臣下三人は、忙しく立ち働いていた。

「中殿と鎮安に参る。」

突然のイ・ガクの申し出に驚いた三人だが、彼らもまた、王となったイ・ガクが、何をしに鎮安に行こうと言うのか、問うことはしなかった。

しかし、比較的身軽だった王世子時代とは違う。
まして王妃も同行させるとなると、簡単な話ではなかった。

それでも、三人は主君の為に骨を折ることを厭わなかった。
即位してから、王としての激務に追われていたイ・ガクの、ささやかな願いを実現したかったからだ。


行幸の目的地は全州チョンジュ。鎮安にはその途中で立ち寄ることとなった。

反対する重臣たちを納得させるために、マンボが策を練った結果である。
ヨンスルは王と王妃の傍近くで警護にあたり、チサンは道中不自由のないよう気を配った。


◇◇◇


仰々しい行幸の列を止め、イ・ガクは輿を降りた。
後方の王妃の輿に歩み寄り、そっと手を差し伸べてやる。

臣下達が、皆、頭を垂れる中、ユンジュはイ・ガクに手を取られ、その輿を降りる。

「このような鬱陶しい道行きですまぬ。」

「チョナ。臣下達を労ってやってくださいませ。」

ユンジュは、傍に控える王の腹心三人を見ながら言った。

「そうだな。」

イ・ガクは跪く三人に、面を上げよ、と静かに言った。

「苦労を掛けた。」

「「「恐れ入ります。チョナ。」」」


しばしの休息を取る、という王の言葉に、居並ぶ供人は、
このように何もない山中で、と首を傾げたが、王の言葉に逆らう者などいなかった。


何もない山中ではあったが、ただ、桜だけが美しかった。


三人の臣下だけを傍近くに伴い、王妃を連れてその辺りを歩く。

イ・ガクは桜に覆われた青い空を見上げた。

「あっ!」

ユンジュが足許の小枝に足を取られ、小さく叫んだ。

「中殿!」

イ・ガクが咄嗟に手を差し伸べたその時

びゅう

強い風が吹いた。


辺り一面が薄紅色で包まれる。
美しい花吹雪。
目も眩むような花吹雪。


「チョナ!」

ユンジュが瞑った目を開けた時、イ・ガクは掻き消されたようにいなくなっていた。


◇◇◇


イ・ガクが目を開けた。

「チョナ、気がつかれましたか?
お加減はいかがですか?」

・・・中殿?

イ・ガクはその身を起こした。

「私は眠っていたのか?」

「桜の木の下でお倒れになっていたのです。
そのまま、丸二日お眠りになっておりました。」

「ずっと・・・傍におったのか?
すまなかった。」

「いえ。私には何も出来ません故・・・
ただ、お傍に控えていただけにございます。」

ユンジュは微笑む。

「お顔の色もよろしく・・・安堵いたしました。」

「夢を見ていた。」

「夢でございますか?」

ユンジュは小首を傾げて、楽しそうに微笑んだ。

「パク・ハ様にお会いになられたのでございますね?」

イ・ガクは眉を微かに動かす。

「・・・そなたは、私の夢の中まで分かると申すか?」

「チョナ。私は中殿にございますよ?」

ユンジュは、さも驚いた!とでも言うような表情を作って見せた。

「そうであるな!そなたは中殿であった!・・・そなたに嘘は吐けぬ。」

イ・ガクは声を上げて笑った。
ユンジュは口許を隠して、小さく笑った。

「ああ、パッカに会った。
美しい満開の桜の中に、いた。」

「パク・ハ様はお元気でいらっしゃいましたか?」

「元気であった。」

「それは、何よりでございます。」

「幸せだと言っておった。
ヨン・テヨンと伴にいるそうだ。」

「チョナの願いが・・・叶ったのでございますね。」

「そうだな。」

イ・ガクは柔らかく笑った。
淋しさを滲ませた笑みだった。

「チョナ。・・・薬湯を用意してまいります。」

ユンジュは少し考える素振りをしてそう言った。

「ああ、頼む。」

「チョナ。申し訳ありませんが、少し時間がかかります。
しばらくお待ちくださいませ。」

ユンジュは深々と頭を下げた。

「・・・分かった。」

王は、部屋を出て行く王妃を見送った。


・・・中殿。
私を一人にしてくれたのだな。


イ・ガクの頬を、涙が伝った。





中殿チュンジョン=王妃のこと。その住まいである「中宮殿」からそう呼ばれた。
※「媽媽マアマア」という尊称で、目下からは「中殿媽媽チュンジョンマアマア」と呼ばれる。


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~ Comment ~

い***様へ (4/21 拍手コメント分)

おはようございます。
どうも私の書くイ・ガクは切なくて・・・
でも、それが好きみたいなんですよね。(ごめん、イ・ガク。)
パッカを思って想って、それで転生!みたいな・・・(ごめん、イ・ガク)

私の方こそ、いつも読んでくださってありがとうございます。
ムラのある更新ですが、今後もお付き合いくださると嬉しいです。m(__)m

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