「長編(完結)」
目覚めたテヨン
目覚めたテヨン 18
いつもより早く家を出た。
実は、目が覚めたのも早かった。興奮気味で眠りが浅かったせいもある。
遠足の日に、早く目を覚ます子供のようだ。
今日、決行する。
姿見で全身をチェックしてから家を出た。
会社に向かう途中で、パク・ハさんの店に立ち寄る。
もちろんオープン前だ。まだ、人通りも少ない。
「오늘 5시에 이곳에서 만나주세요 ^^ 」
今日の 5時に こちらで 会ってください ^^
^^ マークまで書き添えたメッセージ。
彼女は来てくれるだろうか。
絵ハガキを、願掛けのように指で1回はじいてから、ドアの隙間に差し込んだ。
セナさんと話したとき、彼女は僕とパク・ハさんをどうやって会わせるかを考えていた。
どうやって誘うかなんて決まりきっていた。
NYで会いたかったのに会えなかったんだから、そこから始めるだけだ。
初めてパク・ハさんのお店に赴いた日、セナさんの一言をきっかけにして、僕はパク・ハさんのことを思い出した。
その3日後が、彼女のお店の定休日だったから、定休日の前日に南山公園で待ち合わせをします、とセナさんに約束した。
その翌日、つまり昨日も、早目に出社していた。
前日に休んでいたから、メールや電話の有無などをチェックして必要なところには連絡を入れた。
後はデスクワークが少し残っているだけ。
明日は、早く会社を出なきゃならないからな。
そう思って仕事を片付けた。
ピョ社長にもメールをした。
明日、パク・ハさんに会おうと思います。
すぐに返信があった。
分かった。
そういうことは社内メールで送ってくるな。
思わず笑いが込み上げた。
彼女に会うことは「社長」としての命令じゃなかったのか・・・。
昨日から、いや、一昨日セナさんと話した後から、僕は機嫌がいい。
今日もとっとと仕事を片付けなければ・・・。彼女を待たせるわけにはいかない。
/////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////////
駐車場の車の中でジャケットを脱いで、代わりにカーディガンを羽織る。
メガネも外した。
仕事向きの姿は、イ・ガクを演じる自分だ。
今日は「ヨン・テヨン」が、パク・ハさんに会う。
姿かたちはそっくりだから、彼女がどう思うかは想像できる。
だけど、僕自身にけじめをつける意味で上着を取り替えた。
たくさんの観光客が行き交い、ざわめく南山公園。
待ち合わせ場所にパク・ハさんを見つけた。
来てくれた!
彼女は、相変わらず伏し目がちに、寂し気な様子で佇んでいる。
僕を探しているのか、行き交う人々を目で追っていた彼女は、しばらくしてそのまま俯いてしまった。
どこかしら不安そうにも見える。
遅れてはないはずだけど・・・。
一瞬あわてたものの、深呼吸をしてから、ゆっくりとパク・ハさんに近づいた。
そっとその右横に立つ。
僕の気配に気付いた彼女が、顔を上げて僕の方に身体ごと向き直った。
「遅かったね。長い間、待ってたのに。」
遅くなりました。長い間、待たせてすみません。
そういうつもりだったのに、真逆の言葉が口から飛び出す。しかも、初対面とは思えない言葉遣いで。
「どこにいたの?私はずっと、ここにいたのに。」
今にも泣きそうだけど、微かに喜びに似た色も含ませながらそう言うパク・ハさん。
僕の方は微笑を誘われていた。
右手を差し出すと、パク・ハさんは僕の手を見て、彼女の左手をそっと乗せた。僕はすぐにその手を握った。
離さない、離すものか。
確かに僕がそう思ったのだけれど、頭の中でそう聞こえたようにも感じた。
彼女は微笑みながら、涙を流している。
僕自身の頬にも涙が伝っている。
どうして、僕も泣いていているんだろう。
実は、目が覚めたのも早かった。興奮気味で眠りが浅かったせいもある。
遠足の日に、早く目を覚ます子供のようだ。
今日、決行する。
姿見で全身をチェックしてから家を出た。
会社に向かう途中で、パク・ハさんの店に立ち寄る。
もちろんオープン前だ。まだ、人通りも少ない。
「오늘 5시에 이곳에서 만나주세요 ^^ 」
今日の 5時に こちらで 会ってください ^^
^^ マークまで書き添えたメッセージ。
彼女は来てくれるだろうか。
絵ハガキを、願掛けのように指で1回はじいてから、ドアの隙間に差し込んだ。
セナさんと話したとき、彼女は僕とパク・ハさんをどうやって会わせるかを考えていた。
どうやって誘うかなんて決まりきっていた。
NYで会いたかったのに会えなかったんだから、そこから始めるだけだ。
初めてパク・ハさんのお店に赴いた日、セナさんの一言をきっかけにして、僕はパク・ハさんのことを思い出した。
その3日後が、彼女のお店の定休日だったから、定休日の前日に南山公園で待ち合わせをします、とセナさんに約束した。
その翌日、つまり昨日も、早目に出社していた。
前日に休んでいたから、メールや電話の有無などをチェックして必要なところには連絡を入れた。
後はデスクワークが少し残っているだけ。
明日は、早く会社を出なきゃならないからな。
そう思って仕事を片付けた。
ピョ社長にもメールをした。
明日、パク・ハさんに会おうと思います。
すぐに返信があった。
分かった。
そういうことは社内メールで送ってくるな。
思わず笑いが込み上げた。
彼女に会うことは「社長」としての命令じゃなかったのか・・・。
昨日から、いや、一昨日セナさんと話した後から、僕は機嫌がいい。
今日もとっとと仕事を片付けなければ・・・。彼女を待たせるわけにはいかない。
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駐車場の車の中でジャケットを脱いで、代わりにカーディガンを羽織る。
メガネも外した。
仕事向きの姿は、イ・ガクを演じる自分だ。
今日は「ヨン・テヨン」が、パク・ハさんに会う。
姿かたちはそっくりだから、彼女がどう思うかは想像できる。
だけど、僕自身にけじめをつける意味で上着を取り替えた。
たくさんの観光客が行き交い、ざわめく南山公園。
待ち合わせ場所にパク・ハさんを見つけた。
来てくれた!
彼女は、相変わらず伏し目がちに、寂し気な様子で佇んでいる。
僕を探しているのか、行き交う人々を目で追っていた彼女は、しばらくしてそのまま俯いてしまった。
どこかしら不安そうにも見える。
遅れてはないはずだけど・・・。
一瞬あわてたものの、深呼吸をしてから、ゆっくりとパク・ハさんに近づいた。
そっとその右横に立つ。
僕の気配に気付いた彼女が、顔を上げて僕の方に身体ごと向き直った。
「遅かったね。長い間、待ってたのに。」
遅くなりました。長い間、待たせてすみません。
そういうつもりだったのに、真逆の言葉が口から飛び出す。しかも、初対面とは思えない言葉遣いで。
「どこにいたの?私はずっと、ここにいたのに。」
今にも泣きそうだけど、微かに喜びに似た色も含ませながらそう言うパク・ハさん。
僕の方は微笑を誘われていた。
右手を差し出すと、パク・ハさんは僕の手を見て、彼女の左手をそっと乗せた。僕はすぐにその手を握った。
離さない、離すものか。
確かに僕がそう思ったのだけれど、頭の中でそう聞こえたようにも感じた。
彼女は微笑みながら、涙を流している。
僕自身の頬にも涙が伝っている。
どうして、僕も泣いていているんだろう。
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