「短編集」
読みきり
생일선물(センイルソンムル)-誕生日プレゼント
「本当に、そんなのでいいの?」
パッカは不安気に言った。
「そんなのって、ひどくない?」
僕は大袈裟に片眉を上げて見せる。
「だって・・・誕生日プレゼントよ?
本当にいいの?」
「何回、聞くんだよ?
僕がいいって言うんだから、いいんだよ。」
「・・・でも、誕生日プレゼントが『オムライス』だなんて・・・」
「僕が一番欲しい物をくれるって言ったじゃないか。」
初めてパッカが手料理を振舞ってくれたあの日。
何がいい?と聞かれて、答えたのが『オムライス』だった。
特段、大好物だってわけでもなかったのに、なぜか口をついて出たのが、それだった。
パッカは少し考えた後、分かった、と言って作ってくれた。
そして、食べた『オムライス』の味は忘れられない。
その時から、僕の一番の大好物になった、パッカの作る『オムライス』。
でも、パッカの表情が気になって・・・
後で聞いたら、イ・ガクに初めて作ったのも『オムライス』だったと言った。
僕よりも先に、イ・ガクがその味を知っていた。
イ・ガクに先を越されていた事に対する、悔しさと苛立ち。
イ・ガクはまだ、パッカにこんな表情をさせるんだ、という嫉妬の思い。
その『オムライス』の味が好きで・・・
パッカのことが好きで、大好きで・・・
イ・ガクだった頃の記憶なんて、爪の先程も持ち合わせていないのに・・・
どうしようもなくこの魂はパッカに惹かれてる。
今、パッカを独り占めしているのは僕だけだ。
と、そう思ったら、
不思議と嫉妬心も薄れていた。
「実はね・・・」
パッカがぺろりと舌を出す。
「いくら考えても何も思いつかなくて・・・困ってたの。
テヨンさんは何でも持ってるし・・・
センスもいいし・・・」
「え?そうかな?センスがいい?」
思わず頬が緩んでしまう。
「お褒めにあずかり、光栄です。」
僕がぺこりと頭を下げたら、
「もう!人のことバカにして!」
パッカは唇を尖らせた。
すかさず抱き寄せ口づける。
「バカになんてしてないよ!本当に嬉しい。
僕は、パッカに好く見られたくて、必死だからね。」
と言うか、パッカにだけは好く見られたい!
パッカにさえ好く見られたら、それでいい。
「じゃあ、私もテヨンさんに好く見られたいから、
腕によりをかけて、飛び切り美味しいオムライスを作ってあげるわ。」
どちらからともなく唇を合わせる。
至近距離で見つめ合い、微笑み合った。
「パッカ、もう一つお願いがあるんだ。」
「なあに?」
「来年も、その先も・・・
ずっとずっと、僕の誕生日にオムライスを作って。」
パッカは驚いたように目を見開いた後、にっこりと笑った。
「いいわよ。」
「僕だけに作る、って約束して。」
パッカは、うーん、なんて言いながら首を傾げる。
「それは、約束できないわね。」
え?
「どうしてだよ?」
僕は不満を隠さなかった。
「だって、 新しく家族ができるかもしれないでしょ?」
・・・新しい家族?
さっきから、頬が緩みっぱなしだ。
パッカは、ツボを心得てる。
パッカにもう一度口づけた。
「そうであるな。その時は、許そう。」
王世子風にそう言って、片目を瞑る僕。
パッカは嬉しそうに笑っていた。
ユチョン!センイルチュッカヘ!
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