「長編(連載中)」
生まれ変わっても -朝鮮編-
生まれ変わっても 56
東宮殿、王世子の居室で、恵民署堤調ソ・ヒョンドクは王世子と向かい合っていた。
「ソ堤調、体調に問題はないか?」
「はい。チョハ。」
「ことを急がねばならぬゆえ、休息も与えてやれず、すまぬ。」
「恐れ入ります。チョハ。」
「早速だが・・・今後の件だ。」
「ははっ。」
王世子に促されて、ヒョンドクは膝を進めた。
恵民署では、ただ一人無事だったハン・ヨンジンが孤軍奮闘している。
内医院に命じて、人材、食糧など、必要と思われる物は手配済みだったが、一度様子を見に行った方が良いだろうと思っていた。
病に苦しんでいた医員、医女の中にも回復した者がいるかも知れない。
テヨンは、できれば麻疹に罹る恐れのない者を発生源になった村に連れて行きたい、と思っている。
ワクチンが無い以上、その身の内に抗体を持った者に立ち働いてもらうのが、一番良いのだ。
まずは、民の栄養状態を改善させなければならない。
王宮の備蓄だけではなく、両班の邸からも調達することにしたから、そこは問題ないだろう。
この時代、麻疹に有効な薬剤はない。
病を得た者には、対処療法的に看病に当たるしかないのだ。
それでもこの時代の医術について、ある程度の知識と技術のある者を、その村に連れて行きたかった。
できれば、このソ堤調を連れて行きたいが・・・。
テヨンが、それを言葉にするのを躊躇っていると、当のヒョンドクがそれを口にした。
「チョハ。どうか、この老いぼれもお連れ下さいませ。」
「・・・麻疹に罹ったことがあるのか?」
「いいえ。」
「命の危険があるぞ。」
ヨン・テヨンとしては、ここは制止したいところだが、王世子イ・ガクならどうするだろう?
国の未来が掛かっているのだ。
「国の大事と仰せになられたのはチョハにございます。チョハは天より生かされ、天命を受けられました。
このソ・ヒョンドク、王世子に、喜んでこの命、預けまする。」
ヒョンドクは深々と頭を下げた。
「王世子と言えば、国の未来。老いぼれの命一つなど、何を躊躇いなさる?
・・・それに、老いたればこそ、知識もございますぞ?」
「え?」
一瞬、テヨンに戻ってしまっていた。
「チョハ。麻疹に効く薬剤を準備できるかもしれませぬ。」
「ソ・ヒョンドク、面を上げよ。」
ヒョンドクが顔を上げた。
テヨンは王世子の顔をしている。
「今の言葉、真か?」
「はい。おそらく。・・・どの医術書にも載ってはおりませぬが、
清国の民間の伝承にて、それが麻疹の患者を救ったと。」
そんなものがあったとは!
「それは、何だ?」
王世子は身を乗り出した。
ヒョンドクが口を開きかけた時
「チョハァ。弘文館大堤学 ソン・マンギ様でございます。」
外から、そう声が掛かった。
ソン・マンギ?
弘文館の大堤学・・・と言えば誰だったか?
頼りの三人組は今は外だ。
テヨンは顔色は変えずに、必死に考えた。
世子嬪の父親!
つまり、イ・ガクの舅である。
いくら王世子と言えど、その義父を後回しにはできない。
「ソ堤調。そちに任せる。その薬剤とやらを手配せよ。」
「はは。」
「また後で呼ぶ。」
ヒョンドクが立ち上がるのを確認して、テヨンは外へ声をかける。
「・・・ソン大鑑 入られよ。」
ソ・ヒョンドクと入れ替わるように、王世子の舅が姿を現した。
麻疹に効く薬剤があった?
(いいえ、ありません。
私の創作ですので、それが何であれ、麻疹には効きません。)
舅が登場でテヨンどうなる?
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「ソ堤調、体調に問題はないか?」
「はい。チョハ。」
「ことを急がねばならぬゆえ、休息も与えてやれず、すまぬ。」
「恐れ入ります。チョハ。」
「早速だが・・・今後の件だ。」
「ははっ。」
王世子に促されて、ヒョンドクは膝を進めた。
恵民署では、ただ一人無事だったハン・ヨンジンが孤軍奮闘している。
内医院に命じて、人材、食糧など、必要と思われる物は手配済みだったが、一度様子を見に行った方が良いだろうと思っていた。
病に苦しんでいた医員、医女の中にも回復した者がいるかも知れない。
テヨンは、できれば麻疹に罹る恐れのない者を発生源になった村に連れて行きたい、と思っている。
ワクチンが無い以上、その身の内に抗体を持った者に立ち働いてもらうのが、一番良いのだ。
まずは、民の栄養状態を改善させなければならない。
王宮の備蓄だけではなく、両班の邸からも調達することにしたから、そこは問題ないだろう。
この時代、麻疹に有効な薬剤はない。
病を得た者には、対処療法的に看病に当たるしかないのだ。
それでもこの時代の医術について、ある程度の知識と技術のある者を、その村に連れて行きたかった。
できれば、このソ堤調を連れて行きたいが・・・。
テヨンが、それを言葉にするのを躊躇っていると、当のヒョンドクがそれを口にした。
「チョハ。どうか、この老いぼれもお連れ下さいませ。」
「・・・麻疹に罹ったことがあるのか?」
「いいえ。」
「命の危険があるぞ。」
ヨン・テヨンとしては、ここは制止したいところだが、王世子イ・ガクならどうするだろう?
国の未来が掛かっているのだ。
「国の大事と仰せになられたのはチョハにございます。チョハは天より生かされ、天命を受けられました。
このソ・ヒョンドク、王世子に、喜んでこの命、預けまする。」
ヒョンドクは深々と頭を下げた。
「王世子と言えば、国の未来。老いぼれの命一つなど、何を躊躇いなさる?
・・・それに、老いたればこそ、知識もございますぞ?」
「え?」
一瞬、テヨンに戻ってしまっていた。
「チョハ。麻疹に効く薬剤を準備できるかもしれませぬ。」
「ソ・ヒョンドク、面を上げよ。」
ヒョンドクが顔を上げた。
テヨンは王世子の顔をしている。
「今の言葉、真か?」
「はい。おそらく。・・・どの医術書にも載ってはおりませぬが、
清国の民間の伝承にて、それが麻疹の患者を救ったと。」
そんなものがあったとは!
「それは、何だ?」
王世子は身を乗り出した。
ヒョンドクが口を開きかけた時
「チョハァ。弘文館
外から、そう声が掛かった。
ソン・マンギ?
弘文館の大堤学・・・と言えば誰だったか?
頼りの三人組は今は外だ。
テヨンは顔色は変えずに、必死に考えた。
世子嬪の父親!
つまり、イ・ガクの舅である。
いくら王世子と言えど、その義父を後回しにはできない。
「ソ堤調。そちに任せる。その薬剤とやらを手配せよ。」
「はは。」
「また後で呼ぶ。」
ヒョンドクが立ち上がるのを確認して、テヨンは外へ声をかける。
「・・・ソン
ソ・ヒョンドクと入れ替わるように、王世子の舅が姿を現した。
麻疹に効く薬剤があった?
(いいえ、ありません。

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~ Comment ~
Re: t*******様へ (6/30分)
t*******さま
お久しぶりです!
お子様との攻防の末にお読み頂いて感謝です。(笑)
『なりきりテヨン』お待たせしました。m(__)m
様になってますか?良かったです。(#^.^#)
今後もお付き合いのほど、ヨロシクお願い致します。m(__)m
お久しぶりです!
お子様との攻防の末にお読み頂いて感謝です。(笑)
『なりきりテヨン』お待たせしました。m(__)m
様になってますか?良かったです。(#^.^#)
今後もお付き合いのほど、ヨロシクお願い致します。m(__)m
ミ**様へ (7/1拍手コメント分)
ミ**さま
『なりきりテヨン』を楽しみにして頂いてありがとうございます。
ミ**さん、褒めすぎです。月まで飛んで行って還って来れなくなりそうです。(笑)
でも、大変嬉しいです。本当にありがとうございます。
少しずつでも進めて行けるよう、頑張りますね。
それから、ロカボのご報告もありがとうございます!
素晴らしい!1ヶ月も経ってないですよね?それで4.3Kとは!
良かったですね。
私も見習わなくては・・・。(また、微妙に増量中。汗)
お互いに頑張りましょう!
『なりきりテヨン』を楽しみにして頂いてありがとうございます。
ミ**さん、褒めすぎです。月まで飛んで行って還って来れなくなりそうです。(笑)
でも、大変嬉しいです。本当にありがとうございます。
少しずつでも進めて行けるよう、頑張りますね。
それから、ロカボのご報告もありがとうございます!
素晴らしい!1ヶ月も経ってないですよね?それで4.3Kとは!
良かったですね。
私も見習わなくては・・・。(また、微妙に増量中。汗)
お互いに頑張りましょう!
Re: ほ**様へ (7/2 分)
ほ**さま
おっさん好きには堪らない?(←そうじゃない!)
私はカッコいいおっさんが好きです。(笑)
きっと、人生の大先輩に囲まれても、最高のチョハを演じてくれるに違いありません!
パク・ハに焦がれつつ頑張るテヨンに、今しばらくお付き合いくださいませ。m(__)m
おっさん好きには堪らない?(←そうじゃない!)
私はカッコいいおっさんが好きです。(笑)
きっと、人生の大先輩に囲まれても、最高のチョハを演じてくれるに違いありません!
パク・ハに焦がれつつ頑張るテヨンに、今しばらくお付き合いくださいませ。m(__)m
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