FX

「長編」
生まれ変わっても

生まれ変わっても 1

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★こちらは「目覚めたテヨン」から続くお話ですが、時系列は19話と重複しています。★

パク・ハが、ヨン・テヨンに初めて会ったと思ったその日は、実は二人が再会を果たしたその日だった。


NYでパク・ハの知らぬ間に彼女の姿を描き、彼女の働くビア・ホールでその絵を託したテヨン。
自由の女神が映りこむ絵ハガキの裏に描かれたパク・ハは、優しく微笑んでいた。

「모레 저녁 7시에 이곳으로 나와주세요.」
( モレ ジョニョク イルゴシエ イゴスロ ナワジュセヨ。)
明後日 夕方 7時に ここへ 来てください。

絵ハガキに貼られていたメモに従って、待ち合わせ場所へ行った。しかし、日が落ちるまで待っても彼は現れることはなかった。


それから既に4年近くが経ち、NYから遠く離れたこの地で、同じようにメモ付きの絵ハガキを受け取った。
裏面に描かれているパク・ハは、うつむき加減で、ジュースを注ぐその姿はどこか寂しそうだ。
店での彼女の姿に間違いない。

いつ?いつ、お店に来たの?

イ・ガクからの手紙が手許に届いてから、パク・ハはぼんやりしていることが多かったが、彼の手紙を発見した後、間もなくテヨンが現れようなどとは想像もしていなかった。

もう一度メモを確認した時、パク・ハはどきりとした。
筆跡がイ・ガクのものと似ている気がしたからだ。

ヨン・テヨンはイ・ガクの生まれ変わりだ。
そのことは、イ・ガク自身がはっきりと言っていた。
パク・ハもまたイ・ガクと同じ時代に生きていたプヨンという娘だったと聞かされた。
自分が、イ・ガクの時代に近しい者として存在していたと聞いて喜んだ彼女だったが、テヨンがイ・ガクの生まれ変わりだと知らされていても、そのこと自体が彼女の愁いを払うことはなかった。

プヨンがイ・ガクを愛していただろうことは、想像に難くない。
しかし、イ・ガクはその姉を世子嬪として迎えていた。
プヨンが苦しい恋をしていただろうことも想像できる。

プヨンとしての記憶を持ち合わせてはいないパク・ハだったが、イ・ガクが姉のセナと結婚しようとしていた時のその苦しさ、辛さ、切なさは、正しくプヨンと同じだったはずだ。

朝鮮に戻って、事件は解決できたのかしら?・・・プヨンにも会えたはずよね。

パク・ハに、歴史の彼方に引き戻されてしまった彼のその後の人生を知る術などあるはずもなかった。

イ・ガクはパク・ハに会いに来たのだと言ってくれた。
永遠の愛を誓ってくれた。
テヨンはその誓いを果たすためにパク・ハの許へやってきたというのだろうか。

イ・ガクの手紙が届いた後、テヨンが来たということは、彼に会えということなのだろう。
テヨンはイ・ガクなのだ。・・・自分がプヨンであるように。

パク・ハは、メモに書かれている文字をそっと撫でた。

プヨンとしての記憶がないように、自分もイ・ガクのことを忘れられたら良かったのに。

パク・ハは溜息交じりに頭を振った。

忘れられるわけがない。彼との思い出を欲して結婚を申し込んだのは、彼女自身なのだ。



待ち合わせの南山公園で、行き交う人々の中に愛しい人の面影を探した。
見つけられなくて、不安になって、下を向いた。

人の気配を感じて顔を上げると、テヨンが立っていた。

「遅かったね。長い間、待ってたのに。」

初めて会ったはずの彼がそう言った。

間違いなくイ・ガクだ。彼女はそう確信した。

「どこにいたの?私はずっと、ここにいたのに。」

何の躊躇いもなく差し出された彼の手に、彼女も躊躇することなく自分の手を乗せた。
手を繋いで、見つめ合って、お互いに涙を流した。


雨が降り出して、テヨンの車で雨宿りをすることになった。

パク・ハが、雨に濡れてしまったテヨンの肩を拭こうとした時、後部座席にタオルがあると言う。
お互いに座席の間から手を伸ばそうとして、身を寄せ合う格好になってしまった。
顔と顔が近くて、二人とも目を見開いた。
直後、パク・ハは自然に目を閉じたが、テヨンはあわてふためいて身体を離した。
イ・ガクならそこで当然のように口づけていたことだろう。
パク・ハは思わずテヨンをじっと見ていた。

キスしてほしいってわけじゃないけど・・・。

タオルでテヨンを拭ってやる。

パク・ハさん、と呼び掛けられて、さん付の呼び方も敬語も止めてほしいと彼女は言った。
続けてヌナ(姉さん)などと呼ぶものだから、口を尖らせて抗議した。

イ・ガクが年下だと知った時、ヌナと呼べと言ったのは彼女の方ではなかったか。

年上であることを気にする彼女を、テヨンは可笑しそうに笑った。
朝鮮時代なら、もっと年上の女性とも結婚すると言われ、パク・ハは驚きを隠せなかった。

彼女は、「朝鮮時代」と言う言葉に反応してしまったのだが、テヨンの方は「結婚」と言う言葉が彼女を驚かせたのだと思った。彼はあわてて言い訳をしながら、パク・ハをかわいいと褒めた。

言葉遣いも、呼び方も、もう年上に対するものではなくなっている。


NYでの話題になったとき、テヨンは彼女にリンゴを投げつけられたと言った。

パク・ハは記憶の糸を手繰り寄せる。

そう言えば、盗みを働いた悪ガキにリンゴを投げつけたことがある。
全然関係ない人に当たってしまい、あわてた。
彼女はその人の顔を見なかったが、あの人物がテヨンだったのなら、最初の出会いはその時だということになる。

平謝りするパク・ハに、テヨンは痛かったと真顔で言う。
更に小さく縮こまったパク・ハの顔を覗き込んで、テヨンは胸に手を当てた。

「ここに、矢も打ち込んだだろう?一目惚れだよ。・・・あの時から僕は君が好きだ。」

パク・ハは目を大きく見開いた。またも涙があふれ出す。

テヨンはそっとパク・ハの頬に口づけた。
頬に触れる唇の感触を知っている、とパク・ハは思った。

テヨンと出会う運命だった。

それは、イ・ガクの言葉であったが、テヨンを愛せという意味なのだろうか。


「パッカ。雨が止んだよ、見て。」

そう言って、テヨンが窓を開けてタワーのある方を指差す。
空にはくっきりと虹がかかっていた。


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