「短編集」
読みきり
約束
もし
あなたの子供が・・・
物心つく前の小さな子供が
「何か忘れてる気がする」
と言い出したら
それは
その子がこの世に生を受ける前に、誰かと交わした約束があると言うことかも知れない。
***
テヨンは大好きな祖母に添い寝をされていた。
暖かい手が背中でリズムを刻んでおり、気持ち良さそうにまどろんでいたが、不意に目をぱちりと開けた。
「・・・ハルモニ?」
「なぁに?テヨン?」
起きてしまったの?と問うように、祖母は孫を見つめた。
「僕、何か忘れてる気がする。」
「あら、ちゃんと歯は磨いたわよね?」
「違うよ!もっと大切なこと!」
テヨンはがばりとその身を起こした。
「何かしら?」
「・・・それが分からないんだ。」
ハルモニは困ったように眉根を寄せた。
「じゃあ、ハルモ二にも分からないわね。」
祖母に、もう寝なさいと頭を撫でられて、テヨンは再び身を横たえた。
「とても、大切なことのような気がするのに・・・。」
ハルモニはテヨンに布団を被せてやる。
「思い出せないのなら、大したことじゃないのね。きっと。」
やがて、テヨンの静かな寝息を確認したハルモニはその身を起こし、愛する孫のベッドを離れた。
***
パク・ハは美味しそうなおやつに喉をごくりと鳴らした。
いただきます!と大きな声で言って、そのおやつを両手で掴んで口も大きく開けたが、不意にその手が止まった。
「・・・アッパ?」
「なんだ?パッカ?」
食べないのか?と問うように、目の前の父親は娘を見つめた。
「私、何か忘れてる気がする。」
「おいおい、ちゃんと手は洗ったんだろう?」
「違うわ!もっと大事なこと!」
パク・ハは掴んでいたおやつを皿に戻した。
「それは何だい?」
「・・・分かんない。」
アッパは困ったように笑った。
「じゃあ、アッパにも分かるはずがないなぁ。」
父親に、いいから食べろと頭を撫でられて、パク・ハは再びおやつを掴んだ。
「とても、大事なことのような気がするのに・・・。」
アッパはパク・ハに飲み物を注いでやる。
「思い出せないんなら、大したことじゃないのさ。多分。」
美味しそうにおやつを食べるパク・ハの、その頬に付いた菓子のかけらを自らの口に運びながら、父は娘に微笑みかけた。
***
もし
あなたの子供が・・・
物心つく前の小さな子供が
「何か忘れてる気がする」
と言い出したら
「必要なことなら思い出すよ」
と伝えてあげてほしい。
それは
その子がこの世に生を受ける前に、誰かと交わした約束があると言うことかも知れないから。
それが「約束」である限り、違えることができない。
人生の約束とは、そういうもの。
破られることがない。
不幸をもたらす約束ならば、忘れたままでいることが重要なのだ。
もし、それが幸せをもたらす約束だったら?
心配はいらない。
きっと、思い出すから。
その約束を思い出すこともまた、約束されているのだから。
人生の約束とは
そういうものなのだ。
___________
このお話には元ネタがあります。
とあるツイートがそれです。
物心つく前の幼い子が
「何か忘れてる気がする」と言ったら
「もう終わったよ」と告げなければならない。
この世に生を受ける前に交わした約束だから。
本人が不幸になるような、周りに不幸をもたらすような内容だったとしても
「約束」だからそのようになってしまう。
「呪い」ではないから「解く」ことはできない。
思い出してはいけない。だから「終わったよ」と告げるべきなのだ。
と言うような主旨でした。
オカルト好きな方のリツイートでお見かけしました。
私が、そのツイ主さんを直接フォローしてるとかではなくて・・・
よもや、こんなところで二次小説の題材にされてるなんてこと、想像もしてないんじゃないかなぁ。

「この世に生を受ける前の約束」と言われたら・・・
どうしたって、テヨンとパッカですよね!
私の頭の中はそこに結びつくのであります。(笑)
そんなわけで、こんな妄想話でした。
二人の約束は、幸せにまっしぐら!
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