「長編(完結)」
難攻不落の城
難攻不落の城 1
打合せが終わってオフィスに戻って来た。
デスクの上には伝言メモ。
『至急、社長室へ。』
・・・嫌な予感しか、しない。
僕は椅子に座る間もなく、再び自分の部屋を出たのだった。
***
社長は、書類を捲る手を止めてこちらを見た。
「 ああ、来たか。早いな。」
機嫌は悪くなさそうだ。
「ちょっと頼みたいことがあってな。」
・・・まったくもって、嫌な予感しかしない。
きっと、僕は今そうとう渋い表情 をしているに違いない。
これ、と差し出されたのは一枚の封筒。
厚みのある高級そうなそれは・・・招待状?
中を見てみれば、とある企業の創立記念パーティーだった。
けして大きくはなく、中堅どころといった規模ではあったが、長い歴史を誇る老舗の食品会社だ。
扱う商品は一流と言われている。
我が社としても、以前から取引契約を結びたいと動いてはいた。
しかし、その計画は遅々として進んでいない。
先方の社長はウチとの取引に俄然乗り気だと聞くが、会長が頷いてくれないとか・・・。
「お前が行ってくれ。」
「僕が・・・ですか?」
嫌です、と言えるもんなら、言いたい。
「俺宛じゃないからな。会社の誰かが行けばいいんだ。」
「・・・でも
会社の顔として、社長が行くものだと思いますが?」
抵抗を試みてはみるのだけれど・・・
社長は立ち上がり、窓辺に歩み寄った。そのまま外を眺めている。僕には背中を向ける格好だ。
もったいぶるように、ゆっくりと振り返る。
『頼みたいこと』なんて切り出されてはいるが、経験上、こういう時の社長は僕に拒否権を与えてはくれない。
「出席には条件があってな。」
「 条件?」
「パートナー同伴が必須条件だ。」
・・・ああ、それで。
どうして僕に振って来るのかが分かった。
難しいかなと思いつつも、更なる抵抗を試みる。
「でしたら、大叔母様 と行けばいいじゃないですか。」
予想通り、社長は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「俺はパーティーなんてものは得意じゃない。
それに加えて、お守りなんてもっての外だ。」
華やかな場所が大好きな大叔母様のはしゃぐ様子と、そんな彼女に振り回される社長の姿が容易に思い浮かんだ。
僕は思わず苦笑する。
笑うな!と言わんばかりに、社長は睨んできた。
「勉強がてら、パク・ハさんと行って来い。」
僕もけして華やかな場所が得意な訳じゃないけれど、やはり拒否権は認められていないようだ。
「・・・分かりました。
パッカに相談してみます。」
「よろしく頼む。
難攻不落の会長の顏を拝んで来い。」
それまでの尊大な態度は一変し、親しげに肩を叩かれる。
社長は口元だけを吊り上げて、にやりと笑った。
どうやら、僕は斥候で・・・
難攻不落の城を落とせ。
最終的には、きっとそう命じられることだろう。
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『至急、社長室へ。』
・・・嫌な予感しか、しない。
僕は椅子に座る間もなく、再び自分の部屋を出たのだった。
***
社長は、書類を捲る手を止めてこちらを見た。
「 ああ、来たか。早いな。」
機嫌は悪くなさそうだ。
「ちょっと頼みたいことがあってな。」
・・・まったくもって、嫌な予感しかしない。
きっと、僕は今そうとう渋い
これ、と差し出されたのは一枚の封筒。
厚みのある高級そうなそれは・・・招待状?
中を見てみれば、とある企業の創立記念パーティーだった。
けして大きくはなく、中堅どころといった規模ではあったが、長い歴史を誇る老舗の食品会社だ。
扱う商品は一流と言われている。
我が社としても、以前から取引契約を結びたいと動いてはいた。
しかし、その計画は遅々として進んでいない。
先方の社長はウチとの取引に俄然乗り気だと聞くが、会長が頷いてくれないとか・・・。
「お前が行ってくれ。」
「僕が・・・ですか?」
嫌です、と言えるもんなら、言いたい。
「俺宛じゃないからな。会社の誰かが行けばいいんだ。」
「・・・でも
会社の顔として、社長が行くものだと思いますが?」
抵抗を試みてはみるのだけれど・・・
社長は立ち上がり、窓辺に歩み寄った。そのまま外を眺めている。僕には背中を向ける格好だ。
もったいぶるように、ゆっくりと振り返る。
『頼みたいこと』なんて切り出されてはいるが、経験上、こういう時の社長は僕に拒否権を与えてはくれない。
「出席には条件があってな。」
「 条件?」
「パートナー同伴が必須条件だ。」
・・・ああ、それで。
どうして僕に振って来るのかが分かった。
難しいかなと思いつつも、更なる抵抗を試みる。
「でしたら、
予想通り、社長は苦虫を噛み潰したような顔をする。
「俺はパーティーなんてものは得意じゃない。
それに加えて、お守りなんてもっての外だ。」
華やかな場所が大好きな大叔母様のはしゃぐ様子と、そんな彼女に振り回される社長の姿が容易に思い浮かんだ。
僕は思わず苦笑する。
笑うな!と言わんばかりに、社長は睨んできた。
「勉強がてら、パク・ハさんと行って来い。」
僕もけして華やかな場所が得意な訳じゃないけれど、やはり拒否権は認められていないようだ。
「・・・分かりました。
パッカに相談してみます。」
「よろしく頼む。
難攻不落の会長の顏を拝んで来い。」
それまでの尊大な態度は一変し、親しげに肩を叩かれる。
社長は口元だけを吊り上げて、にやりと笑った。
どうやら、僕は斥候で・・・
難攻不落の城を落とせ。
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