「長編(完結)」
難攻不落の城
難攻不落の城 3
誰もが好んで行こうとは思わない社長室。
僕も、自ら進んで行くなど稀なことだと言える。
(ただし、大叔母様は例外中の例外で、大喜びでそこに行く。)
今日は、そんな数少ない稀な日だ。
ノックをすると返事があった。
入室してみれば、社長はいつもと同じように書類を捲っていた。
「良い返事はもらえたか?」
僕を見ようともしないでそう言う。
NOの言葉は受け付けないという意思表示でもある。
「はい。パッカも了承してくれました。」
社長は顔を上げ、にやりと笑った。
「さすが、パク・ハさんだな。」
社長が僕を褒めることはまずない。
多分、僕が彼女を拝み倒して説き伏せたことは察しているはずで・・・
僕の功績でないことは確かなのだ。
「これを見ておけ。」
今の今まで社長が手にしていた書類を手渡された。
結構な分厚さだ。
「・・・分かりました。」
パッカを伴い出席することになったパーティーの、その主催者に関する資料。
難攻不落の城攻めは、やはり僕の仕事になると言うことか。
***
仕事の合間を縫って、目を通した。
先方は四百年以上前からある歴史ある会社。
基は調味料に始まり、今では様々な食品を手がけている。
特に、希少な食材に関して独自の入手経路を持っていて、この会社でないと手に入らない物も少なくない。
通信販売業界でも最大手と言われるホーム&ショッピング社のみならず、多くのライバル会社が業務提携をしたいと名乗りを上げている。
社長は僕よりも少し年上で、もっと手を広げたいと何度も我が社に働きかけてきていた。
ウチと提携できれば、販路は大きく広がるだろう。
企業人としてはそういう思考になるよな。
ウチとしても『老舗』と言うブランドは魅力的だ。
他社との差別化の為には、独占できる商品が一つあればそれで良い。
先方の社長がH&S社を望んでくれているうちに、なんとかできれば・・・
ネックとなっているのは会長だった。
社長の祖母である会長は堅実がモットーで、業務拡大を目論む社長とは正反対。
頑としてH&S社との提携を拒んでいる。他社への態度も同じ。
社長の先代、つまり会長の息子は事故に遭った。
まだ若かったのに、夫婦揃って亡くなってしまった。
幼子を二人残して。
会長が二人の孫を育て上げたのだ。
兄の方は現社長。
妹の方は、営業部長であり現専務の息子でもある男の妻になっている。
典型的な同族経営だ。
社長は全く会長には頭が上がらないらしい。
僕と、ハルモニに似てるな・・・
祖母が生きていたら、今の僕を見て何と言うのだろう。
出来ることならば「パッカと出会えて幸せだよ」と伝えたかった。
*
一通りは頭に入れた。
あとは・・・
パッカのドレスをどこで選ぼうか。
今回は大叔母様には頼めない。
張り切り過ぎてパッカが振り回される姿が目に浮かぶ。
それに、本来は社長が行くべきだったなんて知れたら・・・
どんなことになるか。
僕は我知らず、ぶるりと身震いしていた。
結局、自分自身で解決するより他はなく、女性ファッション誌を大量に買い込み、ネット検索に勤しむこととなったのである。
テヨンはどんな顔をして女性ファッション誌を買い込んだのでしょう?(笑)
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僕も、自ら進んで行くなど稀なことだと言える。
(ただし、大叔母様は例外中の例外で、大喜びでそこに行く。)
今日は、そんな数少ない稀な日だ。
ノックをすると返事があった。
入室してみれば、社長はいつもと同じように書類を捲っていた。
「良い返事はもらえたか?」
僕を見ようともしないでそう言う。
NOの言葉は受け付けないという意思表示でもある。
「はい。パッカも了承してくれました。」
社長は顔を上げ、にやりと笑った。
「さすが、パク・ハさんだな。」
社長が僕を褒めることはまずない。
多分、僕が彼女を拝み倒して説き伏せたことは察しているはずで・・・
僕の功績でないことは確かなのだ。
「これを見ておけ。」
今の今まで社長が手にしていた書類を手渡された。
結構な分厚さだ。
「・・・分かりました。」
パッカを伴い出席することになったパーティーの、その主催者に関する資料。
難攻不落の城攻めは、やはり僕の仕事になると言うことか。
***
仕事の合間を縫って、目を通した。
先方は四百年以上前からある歴史ある会社。
基は調味料に始まり、今では様々な食品を手がけている。
特に、希少な食材に関して独自の入手経路を持っていて、この会社でないと手に入らない物も少なくない。
通信販売業界でも最大手と言われるホーム&ショッピング社のみならず、多くのライバル会社が業務提携をしたいと名乗りを上げている。
社長は僕よりも少し年上で、もっと手を広げたいと何度も我が社に働きかけてきていた。
ウチと提携できれば、販路は大きく広がるだろう。
企業人としてはそういう思考になるよな。
ウチとしても『老舗』と言うブランドは魅力的だ。
他社との差別化の為には、独占できる商品が一つあればそれで良い。
先方の社長がH&S社を望んでくれているうちに、なんとかできれば・・・
ネックとなっているのは会長だった。
社長の祖母である会長は堅実がモットーで、業務拡大を目論む社長とは正反対。
頑としてH&S社との提携を拒んでいる。他社への態度も同じ。
社長の先代、つまり会長の息子は事故に遭った。
まだ若かったのに、夫婦揃って亡くなってしまった。
幼子を二人残して。
会長が二人の孫を育て上げたのだ。
兄の方は現社長。
妹の方は、営業部長であり現専務の息子でもある男の妻になっている。
典型的な同族経営だ。
社長は全く会長には頭が上がらないらしい。
僕と、ハルモニに似てるな・・・
祖母が生きていたら、今の僕を見て何と言うのだろう。
出来ることならば「パッカと出会えて幸せだよ」と伝えたかった。
*
一通りは頭に入れた。
あとは・・・
パッカのドレスをどこで選ぼうか。
今回は大叔母様には頼めない。
張り切り過ぎてパッカが振り回される姿が目に浮かぶ。
それに、本来は社長が行くべきだったなんて知れたら・・・
どんなことになるか。
僕は我知らず、ぶるりと身震いしていた。
結局、自分自身で解決するより他はなく、女性ファッション誌を大量に買い込み、ネット検索に勤しむこととなったのである。
テヨンはどんな顔をして女性ファッション誌を買い込んだのでしょう?(笑)
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