「長編(完結)」
生まれ変わっても
生まれ変わっても 5
朝からソリは忙しく動き回っている。
お手伝いさんに、ああでもない、こうでもないと指示をしながらリビングのそこかしこに花を飾りつけていく。
自室から出て階段を下りてきたテヨンを捕まえると、天井から吊り下げて、と言って、キラキラふわふわのモールがたくさん入った段ボールを彼の胸に押しつけた。
何事かと箱の中を覗き込んだテヨンは、久寿玉まで入っているのを見付け呆れ顔だ。
それでもソリの言う通りにしておいた方が善いと分かっているので、渋々ながらも飾りつけを手伝った。
テヨンが目覚めたときもお祝いと称して食事会をした。
もちろん、その時もテクスを招待していたが、ここまで飾り付けたりはしなかった。
「大叔母様、ここまでしなくても・・・」
ソリは、ぼやくテヨンを無視してパーティーの準備を続ける。
昇進なんか大したことじゃあない。
実はソリも同意見なのだが、パク・ハも招待したとあって楽しくてしょうがない。
「だって、将来の嫁を迎えるのよ。豪華にしなくちゃ。」
は?嫁って・・・。
出会ってまだ数か月。彼は彼女に唇を重ねることすらできていないのに、いきなり結婚を仄めかされてテヨンは困惑した。
パッカの気持ちを確かめてもいないのに・・・。
「大叔母様、パッカに変なこと言わないでよ。」
「変なことって?」
「・・・だから、"嫁" だとか・・・。」
テヨンは顔を赤らめた。
「何を今更照れてるのよ。いつも言ってるわよ。」
「!!!」
驚きのあまりテヨンは口をあんぐりと開けてしまった。口をパクパクと動かすが言葉は出てこない。
無言のまま、わなわなとソリを指差した。
「人を指差すものじゃないわよ。失礼ね!」
立ち尽くすテヨンの横を、忙しい、忙しいと繰り返しながらソリがすり抜けて行った。
///////////////////////////////////////////////////////////////////////////
今日は早終いをした。
パク・ハは、右に左に向きを変えながらウィンドウに映る自分の姿をチェックする。
お化粧、濃過ぎないわよね?
この服もおかしくないかな。
ふわりとしたシルエットのミニ丈のワンピース。清楚に開き過ぎではない胸元と裾にはレースが施されている。
テヨンの好みそうな服だった。同時にイ・ガクの好みでもある。
店の前に見慣れた車が横付けされた。ドアが開いてテヨンが降りてくる。
パク・ハは店を出ると、ドアに鍵をかけた。
テヨンが助手席のドアを開けてくれる。そうとは気付かれないように、パク・ハを頭の先から爪先まで見ながら。
自分も運転席に座って、改めて隣のパク・ハを見た。
なかなか発進させようとしないテヨンを、パク・ハが不思議そうに見る。
「テヨンさん?」
「あ、ごめん。・・・何か雰囲気、違うよね。」
化粧、濃かったかしら、思わず両手で頬を覆う。
「髪型が違ってるから・・・。その髪飾りも素敵だよ。」
いつもは下ろしている髪を耳にかけているだけだが、今日はサイドの髪をカチューシャのように左から編みこんで右耳の後ろで止めてあった。
テヨンの褒めた髪留めは、薄紅色の小さな粒が集まったような花のモチーフ。色調も淡く、古風なデザインだった。
「そういうの好きだな。良く似合ってる。」
パク・ハはそっと髪留めを触った。テヨンは静かに車を発進させる。

ある時、パク・ハはイ・ガクの部屋で、この髪留めを見付けた。それからずっと自身のドレッサーの引き出しにしまっておいた。
簪を思わせるようなデザイン。イ・ガクの見立てに違いない。
イ・ガクが手渡そうとしてくれたとき、意地を張って受け取らなかった。
今日、彼が自分の為に選んでくれたであろうそれを身につければ、テヨンが何か思い出すのではないか、とパク・ハは思った。
ダメね。虫がよすぎるわ。
パク・ハとてプヨンとしての記憶はないのだ。
それでも、テヨンはそれを好きだと言った。良く似合っていると言ってくれた。
これ以上何を望もうと言うのか・・・。
テヨンさん。あなたが好き・・・愛してる。
パク・ハは心の中でつぶやく。今度はきちんと、言葉にしよう、そう思った。
お手伝いさんに、ああでもない、こうでもないと指示をしながらリビングのそこかしこに花を飾りつけていく。
自室から出て階段を下りてきたテヨンを捕まえると、天井から吊り下げて、と言って、キラキラふわふわのモールがたくさん入った段ボールを彼の胸に押しつけた。
何事かと箱の中を覗き込んだテヨンは、久寿玉まで入っているのを見付け呆れ顔だ。
それでもソリの言う通りにしておいた方が善いと分かっているので、渋々ながらも飾りつけを手伝った。
テヨンが目覚めたときもお祝いと称して食事会をした。
もちろん、その時もテクスを招待していたが、ここまで飾り付けたりはしなかった。
「大叔母様、ここまでしなくても・・・」
ソリは、ぼやくテヨンを無視してパーティーの準備を続ける。
昇進なんか大したことじゃあない。
実はソリも同意見なのだが、パク・ハも招待したとあって楽しくてしょうがない。
「だって、将来の嫁を迎えるのよ。豪華にしなくちゃ。」
は?嫁って・・・。
出会ってまだ数か月。彼は彼女に唇を重ねることすらできていないのに、いきなり結婚を仄めかされてテヨンは困惑した。
パッカの気持ちを確かめてもいないのに・・・。
「大叔母様、パッカに変なこと言わないでよ。」
「変なことって?」
「・・・だから、"嫁" だとか・・・。」
テヨンは顔を赤らめた。
「何を今更照れてるのよ。いつも言ってるわよ。」
「!!!」
驚きのあまりテヨンは口をあんぐりと開けてしまった。口をパクパクと動かすが言葉は出てこない。
無言のまま、わなわなとソリを指差した。
「人を指差すものじゃないわよ。失礼ね!」
立ち尽くすテヨンの横を、忙しい、忙しいと繰り返しながらソリがすり抜けて行った。
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今日は早終いをした。
パク・ハは、右に左に向きを変えながらウィンドウに映る自分の姿をチェックする。
お化粧、濃過ぎないわよね?
この服もおかしくないかな。
ふわりとしたシルエットのミニ丈のワンピース。清楚に開き過ぎではない胸元と裾にはレースが施されている。
テヨンの好みそうな服だった。同時にイ・ガクの好みでもある。
店の前に見慣れた車が横付けされた。ドアが開いてテヨンが降りてくる。
パク・ハは店を出ると、ドアに鍵をかけた。
テヨンが助手席のドアを開けてくれる。そうとは気付かれないように、パク・ハを頭の先から爪先まで見ながら。
自分も運転席に座って、改めて隣のパク・ハを見た。
なかなか発進させようとしないテヨンを、パク・ハが不思議そうに見る。
「テヨンさん?」
「あ、ごめん。・・・何か雰囲気、違うよね。」
化粧、濃かったかしら、思わず両手で頬を覆う。
「髪型が違ってるから・・・。その髪飾りも素敵だよ。」
いつもは下ろしている髪を耳にかけているだけだが、今日はサイドの髪をカチューシャのように左から編みこんで右耳の後ろで止めてあった。
テヨンの褒めた髪留めは、薄紅色の小さな粒が集まったような花のモチーフ。色調も淡く、古風なデザインだった。
「そういうの好きだな。良く似合ってる。」
パク・ハはそっと髪留めを触った。テヨンは静かに車を発進させる。

ある時、パク・ハはイ・ガクの部屋で、この髪留めを見付けた。それからずっと自身のドレッサーの引き出しにしまっておいた。
簪を思わせるようなデザイン。イ・ガクの見立てに違いない。
イ・ガクが手渡そうとしてくれたとき、意地を張って受け取らなかった。
今日、彼が自分の為に選んでくれたであろうそれを身につければ、テヨンが何か思い出すのではないか、とパク・ハは思った。
ダメね。虫がよすぎるわ。
パク・ハとてプヨンとしての記憶はないのだ。
それでも、テヨンはそれを好きだと言った。良く似合っていると言ってくれた。
これ以上何を望もうと言うのか・・・。
テヨンさん。あなたが好き・・・愛してる。
パク・ハは心の中でつぶやく。今度はきちんと、言葉にしよう、そう思った。
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