「長編(完結)」
生まれ変わっても
生まれ変わっても 7
パク・ハは小皿に料理を取り分けてテヨンに渡してやる。
「テヨンさん。飲んでもいいわよ。おば様が淋しそう。」
「そう?だったら、パッカがつきあってあげて。」
テヨンはシャンパンの栓を抜いた。
「大叔母様、飲んでよ。パッカと。」
「え?・・・悪いわよ。」
「もう、抜いちゃったからさ。ね?・・・さあ、パッカも。」
テヨンはパク・ハにウィンクを送る。そして、新しいグラスを持って来てくれるようお手伝いさんに頼んだ。
テヨンは、ソリとパク・ハのグラスにシャンパンを注いだ。
「パッカ。頂きましょうよ。」
ソリはグラスを手に取ると、パク・ハの方へ向けて少し傾けた。
グラスを合わせようという意味だ。
ソリに誘われては断るわけにもいかず、パク・ハもグラスを取ってソリのグラスに自分のグラスを合わせた。
キン、と小気味よい金属音が響く。
パク・ハもいける口なんでしょ?とソリが言うと、彼女は焼酎が好きなんだ、とテヨンが受けあった。更には口許に手を添えてパク・ハから隠れるような素振りをしながら、相当強いらしいよ、と続ける。
もう、テヨンさん、止めてよ。
楽し気な笑い声が部屋中に響いた。
「やだ。肝心な物を忘れてる。」
不意に、ソリが席を立ちキッチンの方へと消えて行った。
ほどなくしてお手伝いさんと一緒に戻ってきたが、ソリの後ろを付いてきたお手伝いさんの手には何やら大皿がある。
ソリの指示で、皆はテヨンの目の前にスペースを確保した。テーブルの、その空いた場所に料理の大皿を置くと、お手伝いさんは一礼してキッチンへ戻って行った。
パク・ハはその大皿を見て、思わず息を飲んだ。
「これこれ、テヨンの大好物を忘れるところだったわ。」
「お腹いっぱいで食べられなくなるところだったよ。大叔母様、ありがとうございます。」
テヨンは嬉しそうに言った。そして、ひょいっと蟹の醤油漬けを箸でつかむと、まずはパク・ハの皿の上に載せてやる。続いて大き目の蟹を自分の皿の上に載せた。
テヨンが蟹を自分の口に運ぼうとした時、パク・ハがテヨンの腕に手をかけて、それを止めた。
「大丈夫なの?」
「え?」
テヨンはパク・ハの方を見た。
ソリもテクスも何事かとパク・ハを見る。
「だって、蟹アレルギーが・・・」
そこまで言って、パク・ハはハッとした。
小さく、ごめんなさい、と言ってテヨンの腕を開放する。
「パッカ?蟹アレルギーだったの?」
ソリが心配そうに尋ねた。
「いえ、あの、そうではなくて・・・以前、目の前で知り合いが蟹を食べて呼吸困難になったことがあって・・・。」
「僕は大丈夫だよ。子供のころからの大好物なんだ。」
テヨンは蟹をおいしそうに頬張った。
うん、イケる、とパク・ハに片目を瞑って見せる。
食べた直後にその症状が出るわけではない。
パク・ハの脳裏には苦しむイ・ガクの姿が浮かぶ。
テヨンが蟹の醤油漬けを好きなことは、あの時の家族の会話で知っていたはずだ。
転生であってもその体質まで引き継ぐわけではないと、その時に理解していたはずだ。
しかし、パク・ハは掌が汗ばむのを感じていた。
ちらちらとテヨンを見る。
テヨンはパク・ハの視線を感じて、彼女を見るが、パク・ハの方がすぐに視線を逸らすから目が合うことはない。
蟹がテーブルに載ってから、パク・ハは他の料理にも手を付けようとしない。
ソリと会話を楽しんでいる風にも見えるが、やたらとシャンパンを口に運ぶ。
「パッカ。」
テヨンが彼女を呼んだ。どうかした?と続けるつもりだった。
しかし、彼もまた別の人物にその名を呼ばれて、会話を始めることができなかった。
「テヨンさん。飲んでもいいわよ。おば様が淋しそう。」
「そう?だったら、パッカがつきあってあげて。」
テヨンはシャンパンの栓を抜いた。
「大叔母様、飲んでよ。パッカと。」
「え?・・・悪いわよ。」
「もう、抜いちゃったからさ。ね?・・・さあ、パッカも。」
テヨンはパク・ハにウィンクを送る。そして、新しいグラスを持って来てくれるようお手伝いさんに頼んだ。
テヨンは、ソリとパク・ハのグラスにシャンパンを注いだ。
「パッカ。頂きましょうよ。」
ソリはグラスを手に取ると、パク・ハの方へ向けて少し傾けた。
グラスを合わせようという意味だ。
ソリに誘われては断るわけにもいかず、パク・ハもグラスを取ってソリのグラスに自分のグラスを合わせた。
キン、と小気味よい金属音が響く。
パク・ハもいける口なんでしょ?とソリが言うと、彼女は焼酎が好きなんだ、とテヨンが受けあった。更には口許に手を添えてパク・ハから隠れるような素振りをしながら、相当強いらしいよ、と続ける。
もう、テヨンさん、止めてよ。
楽し気な笑い声が部屋中に響いた。
「やだ。肝心な物を忘れてる。」
不意に、ソリが席を立ちキッチンの方へと消えて行った。
ほどなくしてお手伝いさんと一緒に戻ってきたが、ソリの後ろを付いてきたお手伝いさんの手には何やら大皿がある。
ソリの指示で、皆はテヨンの目の前にスペースを確保した。テーブルの、その空いた場所に料理の大皿を置くと、お手伝いさんは一礼してキッチンへ戻って行った。
パク・ハはその大皿を見て、思わず息を飲んだ。
「これこれ、テヨンの大好物を忘れるところだったわ。」
「お腹いっぱいで食べられなくなるところだったよ。大叔母様、ありがとうございます。」
テヨンは嬉しそうに言った。そして、ひょいっと蟹の醤油漬けを箸でつかむと、まずはパク・ハの皿の上に載せてやる。続いて大き目の蟹を自分の皿の上に載せた。
テヨンが蟹を自分の口に運ぼうとした時、パク・ハがテヨンの腕に手をかけて、それを止めた。
「大丈夫なの?」
「え?」
テヨンはパク・ハの方を見た。
ソリもテクスも何事かとパク・ハを見る。
「だって、蟹アレルギーが・・・」
そこまで言って、パク・ハはハッとした。
小さく、ごめんなさい、と言ってテヨンの腕を開放する。
「パッカ?蟹アレルギーだったの?」
ソリが心配そうに尋ねた。
「いえ、あの、そうではなくて・・・以前、目の前で知り合いが蟹を食べて呼吸困難になったことがあって・・・。」
「僕は大丈夫だよ。子供のころからの大好物なんだ。」
テヨンは蟹をおいしそうに頬張った。
うん、イケる、とパク・ハに片目を瞑って見せる。
食べた直後にその症状が出るわけではない。
パク・ハの脳裏には苦しむイ・ガクの姿が浮かぶ。
テヨンが蟹の醤油漬けを好きなことは、あの時の家族の会話で知っていたはずだ。
転生であってもその体質まで引き継ぐわけではないと、その時に理解していたはずだ。
しかし、パク・ハは掌が汗ばむのを感じていた。
ちらちらとテヨンを見る。
テヨンはパク・ハの視線を感じて、彼女を見るが、パク・ハの方がすぐに視線を逸らすから目が合うことはない。
蟹がテーブルに載ってから、パク・ハは他の料理にも手を付けようとしない。
ソリと会話を楽しんでいる風にも見えるが、やたらとシャンパンを口に運ぶ。
「パッカ。」
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