「長編(完結)」
生まれ変わっても
生まれ変わっても 8
テヨンを呼んだのはソリだった。
「やい。テヨン!あなた達、いつ結婚するのよ!」
とろんとした目で若い二人を見つめている。
「飲み過ぎだ。」
隣のテクスがソリの手からグラスを奪った。
「何よぉ。まだ5杯しか飲んでないわよ!だいたい、あなたがいけないのよぉ。」
矛先がテクスに向かう。
ソリはテクスの方に向き直ると拳を振りかざし、テクスはそれを避けようとした。
ソリの拳はテクスに振り下ろされることはなく、そのままだらんと腕を下げたかと思ったら、彼女はテクスにもたれかかって寝息を立て始めた。
テクスはソリを自分の身体から引き剥がすと、とりあえず椅子に彼女の背をもたれかからせて座らせた。
それでも目を覚ます様子はない。
コホンと咳払いをして、テクスは衣服を整え、蝶ネクタイを整えた。
「部屋に連れて行きましょう。」
テヨンの言葉に、ああ、と頷いてテクスが立ち上がる。
そして、椅子に座らせたソリの傍にしゃがみ込むと、彼女の左腕を自分の首にかけ、背中から右手を廻して肩を抱き、左手を膝の下から差し入れて抱き上げた・・・かったのだが、立ち上がれない。
一呼吸おいて、ふんっ、と力を入れるも動けない。
「僕が連れて行きます。」
テヨンは軽々と大叔母を抱き上げ、すたすたと歩を進める。
身長もあるし、何と言っても俺よりずっと若いからな・・・。テクスは口の中でぶつぶつと言った。
「パッカ、ドア開けて。」
後ろから付いて来たパク・ハにドアを開けさせるとソリの部屋に入った。
ベッドに横たえ布団をかぶせてやる。
3人で覗き込んでいると、ソリが眠そうにしながらも目を開けた。
「・・・テクスさんが運んでくれたの?」
まどろみながらも、誰かに抱き上げられ連れて来られたとは感じていたらしい。
いや、とテクスが言いかけたが、テヨンが遮るように、そうだよ、と言った。
ソリは嬉しそうににっこりと笑って、また眠りに落ちていく。
きっと、いい夢を見ているに違いあるまい。
ソリの部屋を出て3人はリビングに戻った。
「俺はもう帰るぞ。」
「そうですね、お開きにしましょう。パッカ、送って行くよ。」
ヨン家の邸を出て、それぞれ家路についた。
車の中でパク・ハは饒舌だった。一人で楽しそうにしゃべっている。
いつも彼女がテヨンの車の助手席に座るとき、どちらからともなく笑いあっておしゃべりを楽しむには楽しむ。
パク・ハの方が口数が多いと言えば確かにそうだが、テヨンが無口であるというわけでもない。
しかし、今はパク・ハの方が一方的にしゃべっていて、テヨンは穏やかに、うん、とか、そうだね、とだけ言って相槌を打っている。
彼女の頬はピンクに染まり、ほろ酔い気分でいるのだろうとも見えた。
屋根部屋の下に到着すると、キッと音を立てて車は止まった。
「テヨンさん、今日はありがとう。楽しかったわ。」
パク・ハがシートベルトを外す。そして、いつもそうしているように、テヨンの方に向き直った。
「明日は、お休みよね?」
仕事が休みのとき、テヨンはパク・ハをランチに誘うことがあった。
明日はどうするのか、という意味でパク・ハは尋ねているのだ。
テヨンは微かに口の端を上げた。しかし、何も言おうとはしない。
微笑んではいても、寂し気に見えた。
「・・・ゆっくり、休んでね。」
パク・ハはテヨンに背を向けると、ドアを開けようとレバーに手を掛けた。
突然、テヨンの右手がパク・ハの左手首を掴む。
パク・ハは驚いて、再度テヨンの方に身体を向け、開きかけたドアをまた閉じた。
「パッカ。」
彼女の名を呼んで、テヨンは黙り込んだ。手首は掴んだままだ。
パク・ハはテヨンの次の言葉を待つ。
「パッカ。・・・蟹アレルギーの知り合いって、イ・ガクのことだろ?」
「やい。テヨン!あなた達、いつ結婚するのよ!」
とろんとした目で若い二人を見つめている。
「飲み過ぎだ。」
隣のテクスがソリの手からグラスを奪った。
「何よぉ。まだ5杯しか飲んでないわよ!だいたい、あなたがいけないのよぉ。」
矛先がテクスに向かう。
ソリはテクスの方に向き直ると拳を振りかざし、テクスはそれを避けようとした。
ソリの拳はテクスに振り下ろされることはなく、そのままだらんと腕を下げたかと思ったら、彼女はテクスにもたれかかって寝息を立て始めた。
テクスはソリを自分の身体から引き剥がすと、とりあえず椅子に彼女の背をもたれかからせて座らせた。
それでも目を覚ます様子はない。
コホンと咳払いをして、テクスは衣服を整え、蝶ネクタイを整えた。
「部屋に連れて行きましょう。」
テヨンの言葉に、ああ、と頷いてテクスが立ち上がる。
そして、椅子に座らせたソリの傍にしゃがみ込むと、彼女の左腕を自分の首にかけ、背中から右手を廻して肩を抱き、左手を膝の下から差し入れて抱き上げた・・・かったのだが、立ち上がれない。
一呼吸おいて、ふんっ、と力を入れるも動けない。
「僕が連れて行きます。」
テヨンは軽々と大叔母を抱き上げ、すたすたと歩を進める。
身長もあるし、何と言っても俺よりずっと若いからな・・・。テクスは口の中でぶつぶつと言った。
「パッカ、ドア開けて。」
後ろから付いて来たパク・ハにドアを開けさせるとソリの部屋に入った。
ベッドに横たえ布団をかぶせてやる。
3人で覗き込んでいると、ソリが眠そうにしながらも目を開けた。
「・・・テクスさんが運んでくれたの?」
まどろみながらも、誰かに抱き上げられ連れて来られたとは感じていたらしい。
いや、とテクスが言いかけたが、テヨンが遮るように、そうだよ、と言った。
ソリは嬉しそうににっこりと笑って、また眠りに落ちていく。
きっと、いい夢を見ているに違いあるまい。
ソリの部屋を出て3人はリビングに戻った。
「俺はもう帰るぞ。」
「そうですね、お開きにしましょう。パッカ、送って行くよ。」
ヨン家の邸を出て、それぞれ家路についた。
車の中でパク・ハは饒舌だった。一人で楽しそうにしゃべっている。
いつも彼女がテヨンの車の助手席に座るとき、どちらからともなく笑いあっておしゃべりを楽しむには楽しむ。
パク・ハの方が口数が多いと言えば確かにそうだが、テヨンが無口であるというわけでもない。
しかし、今はパク・ハの方が一方的にしゃべっていて、テヨンは穏やかに、うん、とか、そうだね、とだけ言って相槌を打っている。
彼女の頬はピンクに染まり、ほろ酔い気分でいるのだろうとも見えた。
屋根部屋の下に到着すると、キッと音を立てて車は止まった。
「テヨンさん、今日はありがとう。楽しかったわ。」
パク・ハがシートベルトを外す。そして、いつもそうしているように、テヨンの方に向き直った。
「明日は、お休みよね?」
仕事が休みのとき、テヨンはパク・ハをランチに誘うことがあった。
明日はどうするのか、という意味でパク・ハは尋ねているのだ。
テヨンは微かに口の端を上げた。しかし、何も言おうとはしない。
微笑んではいても、寂し気に見えた。
「・・・ゆっくり、休んでね。」
パク・ハはテヨンに背を向けると、ドアを開けようとレバーに手を掛けた。
突然、テヨンの右手がパク・ハの左手首を掴む。
パク・ハは驚いて、再度テヨンの方に身体を向け、開きかけたドアをまた閉じた。
「パッカ。」
彼女の名を呼んで、テヨンは黙り込んだ。手首は掴んだままだ。
パク・ハはテヨンの次の言葉を待つ。
「パッカ。・・・蟹アレルギーの知り合いって、イ・ガクのことだろ?」
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