「長編(完結)」
生まれ変わっても
生まれ変わっても 11
テヨンはベンチに腰を下ろすと、どこをスケッチするかな、と辺りを見廻した。
そう言えば、ここでセナさんに会ったんだった・・・。
パク・ハの姉を思い浮かべ、連想ゲームのようにしてイ・ガクの名を思い浮かべた。
そして、忘れていた夢のことを思い出す。
どうして、あんな夢を見たんだろう。
パク・ハといる時は、彼女といるのが嬉しくて、楽しくて、すっかり頭から抜け落ちていたが、考え始めると止まらない。
もう絵を描くどころではなくなってしまった。
昨夜、パク・ハはテヨンに愛の言葉をささやいた。
それは間違いなく真実で、テヨンにもそのことはよく分かっていた。
だから、たまらず口づけて、離したくないと思った。
パク・ハの腕がテヨンの首に絡みついてきたとき、男の熱が湧きあがるのを彼は感じた。
このままでは自制が利かなくなる、と思った。
だから、唇を離した。
例え、そのまま熱に身を任せていたとしても、パク・ハは拒まなかっただろう。
しかし、そのこともすっかり理解した上で、テヨンは自制した。
僕は聖人君子なんかじゃない。でも・・・。
初めてのキスの勢いに任せて彼女を奪ってしまうなど、あまりにも不誠実な気がした。
そのぐらい、愛しているのだ。
彼女が、イ・ガクに似ているから自分を愛しているのだとしても、隣にいてくれるのならそれでもいいと思う。
ずっと一緒にいて、イ・ガクと過ごした時間よりも自分との時間が長くなれば、自分との思い出の方が多くなる。
彼女の中にイ・ガクよりもヨン・テヨンが増えてくる。
彼は、そうなるのをゆっくり待とうと思った。
イ・ガクが現れさえしなければ、それは可能なはずだ。
そう、イ・ガクが現れさえしなければ・・・・。
セナは、パク・ハがイ・ガクを諦めていると言っていた。
パク・ハ自身の口からもそう受け取れる言葉を聞いた。
彼にはもう二度会えない。
本当にそうなのだろうか?
イ・ガクはどこに行ってしまったんだろう?
パッカは、その行方を知っているみたいだった。
どうして、二度と会えないのか・・・。
僕と、イ・ガクとが、同時に彼女の前に立ったとしたら?
自分の思いを打ち消すように、テヨンは首を横に振った。
パク・ハの店が閉まる時間、再びテヨンはそこを訪れた。
嬉しそうに迎えるパク・ハと、笑い合って、ふざけ合って、時が流れる。
ソリのためのジュースを作ってもらっている間に、テヨンは車を廻してきた。
屋根部屋までの道中も楽しくて仕方がない。
屋根部屋に到着すれば、離れがたい思いでキスを交わす。
誰がどう見ても幸せそうな恋人同士の姿だった。
テヨンは、またその夜も夢を見た。
ざわつく南山公園。
手を取り合う二人。
まただ、とテヨンは思った。
これは夢だと自覚している。
昨日と違ったのは、今度はパク・ハの手を取っているのはテヨンだった。
立派な韓服を纏っているのはテヨン自身だった。
紺色の上衣の胸には、金糸で龍の刺繍が施されている。
よく見れば両肩にも、背中にも龍の刺繍がある。
これは、袞龍袍(コルリョンボ)?
紺色ということは王世子の着るもの?
あろうことかパク・ハの手を握っていたテヨンの手が透け始める。握り直そうとしても触れることができない。
涙を流すパク・ハが目の前にいる。
抱きしめようと伸ばしたテヨンの両手が、空を切った。
「パッカ!」
テヨンは叫んで、飛び起きた。
ぜいぜいと肩で息をしながら、辺りを見廻す。いつも通りの自分の部屋。
両手を広げて確かめる。広げた掌を見て、握って開いた。返して手の甲も見る。
何度かその動作を繰り返してみた。
血が通った当たり前の質感を持って、彼の両手はそこに存在していた。
そう言えば、ここでセナさんに会ったんだった・・・。
パク・ハの姉を思い浮かべ、連想ゲームのようにしてイ・ガクの名を思い浮かべた。
そして、忘れていた夢のことを思い出す。
どうして、あんな夢を見たんだろう。
パク・ハといる時は、彼女といるのが嬉しくて、楽しくて、すっかり頭から抜け落ちていたが、考え始めると止まらない。
もう絵を描くどころではなくなってしまった。
昨夜、パク・ハはテヨンに愛の言葉をささやいた。
それは間違いなく真実で、テヨンにもそのことはよく分かっていた。
だから、たまらず口づけて、離したくないと思った。
パク・ハの腕がテヨンの首に絡みついてきたとき、男の熱が湧きあがるのを彼は感じた。
このままでは自制が利かなくなる、と思った。
だから、唇を離した。
例え、そのまま熱に身を任せていたとしても、パク・ハは拒まなかっただろう。
しかし、そのこともすっかり理解した上で、テヨンは自制した。
僕は聖人君子なんかじゃない。でも・・・。
初めてのキスの勢いに任せて彼女を奪ってしまうなど、あまりにも不誠実な気がした。
そのぐらい、愛しているのだ。
彼女が、イ・ガクに似ているから自分を愛しているのだとしても、隣にいてくれるのならそれでもいいと思う。
ずっと一緒にいて、イ・ガクと過ごした時間よりも自分との時間が長くなれば、自分との思い出の方が多くなる。
彼女の中にイ・ガクよりもヨン・テヨンが増えてくる。
彼は、そうなるのをゆっくり待とうと思った。
イ・ガクが現れさえしなければ、それは可能なはずだ。
そう、イ・ガクが現れさえしなければ・・・・。
セナは、パク・ハがイ・ガクを諦めていると言っていた。
パク・ハ自身の口からもそう受け取れる言葉を聞いた。
彼にはもう二度会えない。
本当にそうなのだろうか?
イ・ガクはどこに行ってしまったんだろう?
パッカは、その行方を知っているみたいだった。
どうして、二度と会えないのか・・・。
僕と、イ・ガクとが、同時に彼女の前に立ったとしたら?
自分の思いを打ち消すように、テヨンは首を横に振った。
パク・ハの店が閉まる時間、再びテヨンはそこを訪れた。
嬉しそうに迎えるパク・ハと、笑い合って、ふざけ合って、時が流れる。
ソリのためのジュースを作ってもらっている間に、テヨンは車を廻してきた。
屋根部屋までの道中も楽しくて仕方がない。
屋根部屋に到着すれば、離れがたい思いでキスを交わす。
誰がどう見ても幸せそうな恋人同士の姿だった。
テヨンは、またその夜も夢を見た。
ざわつく南山公園。
手を取り合う二人。
まただ、とテヨンは思った。
これは夢だと自覚している。
昨日と違ったのは、今度はパク・ハの手を取っているのはテヨンだった。
立派な韓服を纏っているのはテヨン自身だった。
紺色の上衣の胸には、金糸で龍の刺繍が施されている。
よく見れば両肩にも、背中にも龍の刺繍がある。
これは、袞龍袍(コルリョンボ)?
紺色ということは王世子の着るもの?
あろうことかパク・ハの手を握っていたテヨンの手が透け始める。握り直そうとしても触れることができない。
涙を流すパク・ハが目の前にいる。
抱きしめようと伸ばしたテヨンの両手が、空を切った。
「パッカ!」
テヨンは叫んで、飛び起きた。
ぜいぜいと肩で息をしながら、辺りを見廻す。いつも通りの自分の部屋。
両手を広げて確かめる。広げた掌を見て、握って開いた。返して手の甲も見る。
何度かその動作を繰り返してみた。
血が通った当たり前の質感を持って、彼の両手はそこに存在していた。
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