「長編(完結)」
生まれ変わっても
生まれ変わっても 12
毎日、毎晩、同じような夢を見た。
同じような、というのは、情景は同じなのだが、パク・ハの手を取っているのが自分だったり、自分とそっくりな人物だったり、日によって入れ替わるのだ。
自分にそっくりな人物と言えばイ・ガク以外には思いつかないから、あれは、テヨンだったり、イ・ガクだったりしているということだ。
少し離れた場所から二人の姿を見せられる。
そのときは、袞龍袍(コルリョンボ)を纏っているのはイ・ガクの方で、そのうち彼の身体が透け始める。
パク・ハが哀しみの表情でそれを見つめていて、彼女の、その哀しみが伝わってくる。
いたたまれなくなって、彼女の名を呼んでしまう。
すると、イ・ガクと自分が入れ替わったかのように、自分がパク・ハの手を握って立っている。
パク・ハの手を取るのは、洋服を着たテヨンになっているのだ。
そして、目が覚める。
最初からパク・ハの手を握っているときは、袞龍袍を纏っているのはテヨン自身だ。イ・ガクの姿はどこにもない。
そして、彼自身の手が透け始めるから、パク・ハを抱きしめようとする。
彼の手は空を切り、パク・ハは哀しみでいっぱいの顔をする。
焦りと不安で、やはり彼女の名を呼んでしまう。
そこで、目が覚める。
それは、いつもいつも同じで、変わることがない。
まるで、お気に入りのDVDを、毎日、毎晩、再生しているかのようだ。
もちろん、テヨンはそんな夢を気に入っているはずがない。
自分の弱さがそんな夢を見せるのだ、とテヨンは思った。
イ・ガクが現れてパク・ハを連れ去るのではないか、という不安が夢に顕れているのではないかと思っていた。
そんな夢は見たくない。
見たくないから、眠りたくない。眠りたくないから、起きている。
読書をしても、映画を見ても、内容が頭に入ってくるわけもなく、どうやって時間をつぶすか考えているうちに眠気がくる。そうして、全く眠らずにいられるはずはなく、うとうとと眠り始めると夢を見ることになる。
いつもの筋書きを辿って目を覚ます。目を覚ませば、また眠りたくない。
二十代の若い肉体を持ってしても、そんな状態で普通に生活できるはずもない。
まして、精神的にはかなり張りつめた状態になっていた。
相変わらずパク・ハの店には通い詰めている。
パク・ハと一緒にいるとき、その笑顔を間近に見つめ、手に触れ、肩を抱き、キスを交わすとき、テヨンは安らいだ。
彼女が自分の傍にいることを確認しなければ、一日を終えることができない。
しかし、一日の終わりには、夢を見る。
夢が一週間も続いたころ、テヨンに憔悴の色が表れ始めた。
パク・ハもそれに気付いていた。
「テヨンさん、大丈夫?」
「何が?」
テヨンは努めて明るく言った。
「疲れてるみたい。」
「そう?本部長になって、こき使われてるんだよ。」
テヨンは微笑んで、パク・ハの頬にキスをした。
パッカには言えない。
自分が不安がって、同じ夢を見ていると伝えれば、彼女は自分自身を責めてしまうに違いない。
彼女さえ傍にいてくれたら、それでいい。傍にいて、笑っていてくれたら、それでいい。
「愛してるよ。」
テヨンは、自分の想いを確認するかのようにパク・ハに唇を重ねた。
しかし、このままでいいはずがない。
日常生活に支障を来し始める一歩手前であったし、精神的にもおかしくなりそうだった。
夢は何を意味しているのか・・・。
テヨンは、その夜、どうせ眠りたくないのだから、とノートパソコンを開いた。
インターネットに繋げ、検索サイトを開く。
夢 意味
カタカタとキーボードをたたいて、エンターキーを弾いた。
夢占い、夢診断などに関する情報がヒットしてくる。
しかし、彼の疑問を解消してくれるような情報を、得ることはできなかった。
どうして、こうも毎日、毎日、同じ夢を見続けるのか。
変化と言えば、日によって、僕とイ・ガクが入れ替わることぐらいで・・・。
まるで、一つのシナリオ通りに描かれた物語のように、繰り返される夢。
・・・続きがあるのだろうか?
夢の中で違う行動を取ったら、どうなるんだろう?
夢が思い通りになるかどうかなど、テヨン自身にも分からない。
しかし、本より正確な対処法など分かりはしないのだ。
思いつくことは試してみよう、とテヨンは思った。
眠ろうという意思を持って、彼はベッドに入った。
眠るためにベッドに入るということが久しぶりであるとは、もう既に日常生活を送っているとは言い難いのかも知れない。
同じような、というのは、情景は同じなのだが、パク・ハの手を取っているのが自分だったり、自分とそっくりな人物だったり、日によって入れ替わるのだ。
自分にそっくりな人物と言えばイ・ガク以外には思いつかないから、あれは、テヨンだったり、イ・ガクだったりしているということだ。
少し離れた場所から二人の姿を見せられる。
そのときは、袞龍袍(コルリョンボ)を纏っているのはイ・ガクの方で、そのうち彼の身体が透け始める。
パク・ハが哀しみの表情でそれを見つめていて、彼女の、その哀しみが伝わってくる。
いたたまれなくなって、彼女の名を呼んでしまう。
すると、イ・ガクと自分が入れ替わったかのように、自分がパク・ハの手を握って立っている。
パク・ハの手を取るのは、洋服を着たテヨンになっているのだ。
そして、目が覚める。
最初からパク・ハの手を握っているときは、袞龍袍を纏っているのはテヨン自身だ。イ・ガクの姿はどこにもない。
そして、彼自身の手が透け始めるから、パク・ハを抱きしめようとする。
彼の手は空を切り、パク・ハは哀しみでいっぱいの顔をする。
焦りと不安で、やはり彼女の名を呼んでしまう。
そこで、目が覚める。
それは、いつもいつも同じで、変わることがない。
まるで、お気に入りのDVDを、毎日、毎晩、再生しているかのようだ。
もちろん、テヨンはそんな夢を気に入っているはずがない。
自分の弱さがそんな夢を見せるのだ、とテヨンは思った。
イ・ガクが現れてパク・ハを連れ去るのではないか、という不安が夢に顕れているのではないかと思っていた。
そんな夢は見たくない。
見たくないから、眠りたくない。眠りたくないから、起きている。
読書をしても、映画を見ても、内容が頭に入ってくるわけもなく、どうやって時間をつぶすか考えているうちに眠気がくる。そうして、全く眠らずにいられるはずはなく、うとうとと眠り始めると夢を見ることになる。
いつもの筋書きを辿って目を覚ます。目を覚ませば、また眠りたくない。
二十代の若い肉体を持ってしても、そんな状態で普通に生活できるはずもない。
まして、精神的にはかなり張りつめた状態になっていた。
相変わらずパク・ハの店には通い詰めている。
パク・ハと一緒にいるとき、その笑顔を間近に見つめ、手に触れ、肩を抱き、キスを交わすとき、テヨンは安らいだ。
彼女が自分の傍にいることを確認しなければ、一日を終えることができない。
しかし、一日の終わりには、夢を見る。
夢が一週間も続いたころ、テヨンに憔悴の色が表れ始めた。
パク・ハもそれに気付いていた。
「テヨンさん、大丈夫?」
「何が?」
テヨンは努めて明るく言った。
「疲れてるみたい。」
「そう?本部長になって、こき使われてるんだよ。」
テヨンは微笑んで、パク・ハの頬にキスをした。
パッカには言えない。
自分が不安がって、同じ夢を見ていると伝えれば、彼女は自分自身を責めてしまうに違いない。
彼女さえ傍にいてくれたら、それでいい。傍にいて、笑っていてくれたら、それでいい。
「愛してるよ。」
テヨンは、自分の想いを確認するかのようにパク・ハに唇を重ねた。
しかし、このままでいいはずがない。
日常生活に支障を来し始める一歩手前であったし、精神的にもおかしくなりそうだった。
夢は何を意味しているのか・・・。
テヨンは、その夜、どうせ眠りたくないのだから、とノートパソコンを開いた。
インターネットに繋げ、検索サイトを開く。
夢 意味
カタカタとキーボードをたたいて、エンターキーを弾いた。
夢占い、夢診断などに関する情報がヒットしてくる。
しかし、彼の疑問を解消してくれるような情報を、得ることはできなかった。
どうして、こうも毎日、毎日、同じ夢を見続けるのか。
変化と言えば、日によって、僕とイ・ガクが入れ替わることぐらいで・・・。
まるで、一つのシナリオ通りに描かれた物語のように、繰り返される夢。
・・・続きがあるのだろうか?
夢の中で違う行動を取ったら、どうなるんだろう?
夢が思い通りになるかどうかなど、テヨン自身にも分からない。
しかし、本より正確な対処法など分かりはしないのだ。
思いつくことは試してみよう、とテヨンは思った。
眠ろうという意思を持って、彼はベッドに入った。
眠るためにベッドに入るということが久しぶりであるとは、もう既に日常生活を送っているとは言い難いのかも知れない。
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